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「画竜点睛」の意味や読み方とは?
大学の入試問題にも出題されることが多くある「画竜点睛」。読み間違いやすい熟語でもあります。まずは、読み方や意味をチェックしていきましょう。
読み方や意味
「画竜点睛」は「がりょうてんせい」と読みます。「がりゅうてんせい」と読むのは誤り。また、字は「晴」ではなく「睛」と書きます。読み方や漢字は間違いやすいポイントなので注意してください。意味は以下の通りです。
最後の大事な仕上げ。また、ほんの少し手を加えることで全体が引き立つこと。(<小学館 デジタル大辞泉>より)
「画竜」は「竜の絵」のことをいいます。そして「点睛」は「瞳を描くこと」。「点睛」の「睛」は、「瞳」という意味を持ちます。つまり「画竜点睛」とは、「竜の絵に瞳を描き入れること」を表し、瞳を描き入れることは絵に表情を与え、魂を吹き込むようなもの。そのことから「最後の大仕上げ」や、「少しの手を加えることで、仕上がりがいちだんと良くなること」を表す熟語として使われています。
「画竜点睛」の由来とは?
「画竜点睛」は中国の古事成語。『歴代名画記』に記されたものから由来します。そこには「点睛即飛去」と記されており、「睛を点せば即ち飛び去らん」、すなわち「瞳を描けばすぐに飛び去ってしまう」という意味の文です。
それは中国南北朝時代。梁(りょう)に、張という画家がいました。絵の名人として名高かった張は、ある寺の壁に竜を描くことに。そこに張は4つの竜を描きます。よく描かれた竜でしたが、よく見ると瞳が描かれていません。
そこで、「なぜ瞳がないのか?」と人々が張に聞くと、「瞳を描くと、竜が飛び去ってしまうから」と答えます。しかし、人々はそれを信じず、張に「瞳を描いてほしい」と懇願します。張はそれを聞き入れ、2つの竜に瞳を描き入れました。
そうすると、たちまち瞳が描かれた竜は、壁から飛び去ってしまったのです。寺の壁に残されたのは、瞳が描かれなかった竜のみ。そんな物語から、物事の大切な仕上げを、瞳を描き入れることに喩えた、「画竜点睛」という言葉が生まれました。
「画竜点睛」の使い方を例文でチェック
「画竜点睛」は、実際にはどのように使うのか例文をみていきましょう。
「せっかく良い作品なのに、見せ方が悪い。まさに画竜点睛を欠くとはこのことだ」
「画竜点睛」の使い方で最も多いのが、「画竜点睛を欠く」という表現です。「欠く」は「不足する」や「怠る」という意味。よって「画竜点睛を欠く」とは、「最後の仕上げができていない」というネガティブな意味になり、「詰めが甘い」などというニュアンスで使われます。このフレーズは、見せ方が悪いせいで、せっかくの良い作品が台無しになったことを表しています。
「ケアレスミスを防ぐために点睛を意識することが大事だ」
「画竜点睛」の「点睛」だけでも使うことができます。意味は、「画竜点睛」と同じ。最後に仕上げる重要なポイントをいいます。
「彼女が優秀なのは画竜点睛を怠らないからだ」
最後まで気を抜かず、物事を成し遂げる人は優秀な人といえるでしょう。
「画竜点睛」の類語や言い換え表現にはどのようなものがある?
「画竜点睛」の意味や使い方がわかったところで、次は類語や言い換え表現についてみていきましょう。