点睛開眼(てんせいかいがん)
「点睛開眼」と「画竜点睛」の意味と由来は、同じ。中国の故事『歴代名画記』より由来し、「最後の重要な仕上げ」という意味です。
肝(きも)
「肝」とは肝臓や腎臓、心臓を表しています。臓器は人体にとって欠くことのない重要なもの。そのことから、特に重要で、物事の要となることを「肝」と表現します。また、「肝心」や「肝要」も同じ意味合いで用いられます。
入眼(じゅがん)
物事を完成させること。成し遂げることをいいます。
「画竜点睛を欠く」の類語は?
「画竜点睛を欠く」の類語は「仏作って魂入れず」と「九仞の功を一簣に虧く」が挙げられます。
「仏作って魂入れず」
物事がほぼ完成しているのにもかかわらず、最後の重要な仕上げが抜けていることを表すことわざ。「仏像を作っても肝心な魂を入れないことには、その辺の木や石と同じこと」ということから由来します。
仏像に魂を入れる作業とは、眼を描き入れること。それを「開眼」といいます。「仏作って眼(まなこ)入れず」も同じ意味で用いられます。
「九仞の功を一簣に虧く」
「九仞(きゅうじん)の功(こう)を一簣(いっき)に虧(か)く」とは、「長い間、努力し続けてきたことが、あともう一歩のところで水の泡となること」。
「仞(きゅう)」は、古代中国で使われていた高さや深さの単位。「九仞」は、非常に高いことを表しています。「簣」は土を運ぶカゴのこと。「虧く」とは、「欠く」という意味です。つまり「高い山を作るのには、最後のかご一杯の土なしでは完成しない」ということから由来します。
「画竜点睛」の対義語とは?
「画竜点睛」の対義語は、「蛇足(だそく)」です。「蛇足」とは、「重要ではないもの」「無くてもよいもの」という意味です。由来は中国の故事。
その昔、蛇の絵を描く競争が行われ、ある男が一番先に描き終えました。しかし調子にのったその男は、完成していた自分の蛇の絵に足を付け足してしまいます。それがもとで敗れてしまう、という物語が由来です。
また、「蛇足ですが…」と補足で何かを説明することがありますよね。これは他人に対してへりくだった言い回し。「必要ないかもしれませんが…」や「余計なことを言いますが…」というニュアンスで使われます。
「画竜点睛」の英語表現とは?
「画竜点睛」は英語で表現するならば、「finishing touch 」。「最後の一筆」や「最後の仕上げ」という意味です。一方で、「画竜点睛を欠く」は「lack the finishing touches 」。「lack」は「不足している」や「欠いている」という意味があります。
最後に
「画竜点睛」は、読み書きともに間違いやすい熟語です。言葉の意味や由来を理解していても、読み方や書き方を誤ってしまうと、それこそ「画竜点睛を欠く」ではないでしょうか。今一度、正しい表現を確認しておきたいものですね。