「変化していく七海ひろきが感じられる。それが一番の見どころ」
宝塚歌劇団の人気男役として活躍していたころから、〝人の心をときめかせる天才〟と名高い七海さん。〝エモーショナル〟をテーマに、自身の心を動かす物事をポートレートと語り文で表現する連載企画を『CamCam』で1年半以上にわたって続けられています。今回の写真集は、約1年分の同連載アーカイブに『星のや軽井沢』での撮り下ろし写真を加えてつくられたものですが…
「そもそも『CanCam』さんで連載をさせていただけるなんて想像もしていなくて(笑)」と七海さん。
「こんなにも長く連載を続けることができて、しかも一冊の写真集にできる日がくるなんて、自分がいちばん驚いています。本当にありがたいことです、嬉しいなぁ…」優しくはにかみながら、連載当初を懐かしそうに振り返ってくださいました。
「はじめは〝エモい〟って単語の意味を辞書で調べるところから始めたんです。で、それをメモした紙を初回の撮影現場に持って行ったりして…(笑)。それが今となっては、お仕事でもプライベートでも、ふとした瞬間にすぐ『エモい!』って言葉が口をついて出るようになりました(笑)」
と連載が続いていく中でエモーショナルに対する感度がどんどん上がっていったと語ります。この写真集はまさにその連載の〝積み重ね〟が具現化されたもの。
「変化していく七海ひろきが表現されている、それがこの写真集の一番のみどころだと思います」
先ほどチラリと話に出てきた連載の初回を撮影したのは「一昨年の…確か6月末だったかな」。なんと1年半以上も前へと時間をさかのぼることに。「正直なことをいえば、はじめは不安もありました」と前置きをして、連載企画を通して感じた自分自身の〝変化〟についてゆっくりと話し始めてくださいました。
「どう撮影していくんだろうとか、どんな衣装を着るんだろうとか。緊張していたし、いざカメラの前に立ったら『頑張ってかっこいい自分を見せなくては…!』とすごく力が入ってしまって。だって、『CanCam』ってきれいな人もかっこいい人もたくさん載ってるじゃないですか。どうしよう、自分で大丈夫だろうか…って実は不安だったんですよ(苦笑)」
と今だから語れる、当時の素直な気持ちを明かします。
「でも、いざ撮っていただいた写真をみたらすごく素敵で! いつの間にか不安が消えていって、逆に心がワクワクしていったことを覚えています。とはいえ、写真集で改めて見返すと、めちゃくちゃ緊張していることがわかる顔をしているんですけど(苦笑)。でも、それがそのときのありのままの自分だし、そこからどんどん表情が変わっていくところがまた〝エモい〟んですよ」
▲【『〝Unknown〟Emotional-Time 七海ひろき写真集』より】こちらがその連載初回カット。「カッコよすぎる!」「こんな人とすれ違ったら間違いなく恋に落ちる!!」…とSNSが騒然となりましたが、七海さん自身は緊張していたというから驚き。ここからどう七海さんが変化していくかは、写真集を見てみてくださいね。
そんな連載初回のテーマは「出会い」。連載企画との〝はじめまして〟を表現する写真になっていたともいえるのかもしれません。
「『前回よりさらにいいものを見せたい』『前回とはまた違う自分を表現したい』という気持ちで毎回撮影にのぞんでいました。これも連載ならではの意識ですよね。だから、今までしたことのない表情やポージングにチャレンジすることも多かったんです」
さまざまな学びの中で、どんどん被写体としてレベルアップしていく七海さん。
「頑張ろうとすればするほど緊張や力みが出てしまいそうなものだけど、むしろ肩の力はどんどん抜けていったんです。回を重ねるうちに、いい意味でスタッフの皆さんに自分を委ねることを学んだからかな。自分も全力で頑張るけれど、同時に自分を任せて〝引き出してもらう〟楽しさがわかってきて。どんどんナチュラルになっていく自分を感じていました。そうしたら『こういう表情もするんだ!』と自分でも驚いてしまうくらい、まだ知らなかった七海ひろきが現れてきて…。写真集をみていただくと、回を追うごとに新しい顔が出てくることがわかると思います」
▲【Oggi3月号掲載写真を特別に公開!】力の抜けた柔らかな表情の中に、確かな力強さが潜む一枚。ひとりの編集者としてコメントをさせていただくと…この表情、本職のモデルであっても簡単には出せないし、まして一朝一夕でできるようになるものでもないんです。表現力を磨き続けてきた七海さんの努力がうかがえます。
連載が続くと同時に、そのほかのさまざまな活動の中でも多くのチャレンジを続けてきた七海さん。それがまた被写体としてのレベルアップにつながっているはず。
「この写真集の魅力は、やっぱり〝時間がかかっている〟ところだと思うんです。声優としても、俳優としても、そしてアーティストとしても変化していく自分自身が現れていて〝一年の歩み〟も感じられる。そのときどきで髪の色がガラッと変わっていたりしますし(笑)。いろんな切り口から楽しんでもらいたいですね」