「好事魔多し」は良いことには邪魔が入るという意味
「好事魔多し」とは、良いことにはとかく邪魔が入りがちであるという意味の語句です。実際に使用する際は「好事、魔多し」と読点をつける表記が多いでしょう。ビジネスシーンや日常会話でもよく使われており、好調である時ほど注意しなければならないという戒めのニュアンスのある言葉です。「好事、魔多し」の読み方や由来を解説します。
【好事魔多し:こうじまおおし】
よいことにはじゃまが入りやすい。
(引用:小学館『デジタル大辞泉』より)
「好事、魔多し」の読み方
「好事、魔多し」の読み方は「こうじまおおし」です。「こうじ」と「ま」「おおし」の間で一拍あけて区切って読むのがポイントといえるでしょう。「好事、魔多し」は「好事」「魔」「多し」という3つの言葉に分解できるからです。
「好事」は良いこと、喜ばしいことなどの意味、「魔」は修行や悟りのさまたげとなるもの、人をまどわして災いをもたらすものなどの意味があります。
「好事、魔多し」の由来は『琵琶記』
「好事、魔多し」の由来は中国元代の末から明代の初期にかけての詞曲『琵琶記』です。この戯曲の作者は劇作家の高明で、都に行って出世したまま故郷に帰らぬ夫を、琵琶を弾きながら妻が探して再会する物語が描かれています。
この物語に出てくる「好事多磨」という語句が語源です。「磨」とは当時の中国で困難や挫折を表す言葉で、日本に伝わった際に「磨」が「魔」に変化して定着しました。
「好事、魔多し」の使い方と例文
「好事、魔多し」はビジネスの現場でもよく使われている言葉です。注意を喚起する場面や教訓として説明する場面などで登場することが多いといえるでしょう。
例文
・好事、魔多しという言葉があるように、セールスの成績が好調である時ほど、慢心することなく、謙虚になる必要があると思います。
・業界トップの売上を誇っていたA企業は、新興国の企業への投資で大きな損失を出してしまい、好事、魔多しの典型的な例となってしまいました。
・昨年新人王に輝き、今年も圧倒的なピッチングで勝ち星を重ねてきた我がチームのエースは、好事、魔多しで肩を故障してしまい、今シーズン中の復帰は絶望的となってしまいました。
「好事、魔多し」の類義語
「好事、魔多し」にはさまざまな類義語があります。共通するニュアンスを持った言葉がいくつかあるのは、良いことばかりが続くことはないと考えている人が多いことを意味するでしょう。主な類義語は以下の3つです。
「月に叢雲花に風」と「花に嵐」は「花」という言葉が使われているという共通点があります。「寸善尺魔」は「好事、魔多し」と同様に、「魔」という漢字が使われている点が特徴的です。それぞれの意味と例文を紹介します。