「日進月歩」とは?意味と読み方をご紹介
日進月歩とは、絶え間なくかつ急速に進歩することです。辞書によっては「絶え間なく進歩する」と記載されていることもありますが、ゆっくりとした歩み・進歩を指すことはあまりないようです。
たとえば、何千年とかけて人類が成長してきたことを指して、「日進月歩」とは表現しません。しかし、数十年、数年などの人類の歩みと比べると短い期間で急激な成長を見せてきた科学技術やデジタル技術などを指して、「日進月歩」だとすることはあります。
【日進月歩】にっしんげっぽ
日ごと月ごとに絶えず進歩すること。「—の科学技術」
(引用〈小学館 デジタル大辞泉〉より)
■座右の銘や企業のモットーにも使われる
絶え間なく進歩することは、人や会社にとっても望ましい状態といえます。そのため、座右の銘や企業モットーにも「日進月歩」は使われることがあります。
・わたしの座右の銘は日進月歩だ。知識を増やして経験を積み、期待される以上のスピードで前進したい。
・我が社のモットーは「世界を日進月歩するリーディングカンパニーになる」だ。
■日進月歩の由来とは?
日進月歩は、古代中国の思想家のひとり、荀子(じゅんし)がまとめた書物の一節が由来です。
原文:君子敬其在己者、而不慕其在天者、是以日進也
意味:立派な人格者は自分の努力に重きを置いているため、外から与えられるものや偶然などには期待していない。そのため、彼らは毎日進歩できる
なお、原文には「日進月歩」という言葉はありませんが、「日進」の「日」から対になる「月」を連想し、「進」から「進歩」を連想して「日進月歩」という言葉が誕生したようです。
■日進月歩の間違い例
日進月歩は、絶え間なく進歩する意味の言葉ですが、コツコツ努力するなどの意味で使うのは間違いです。絶え間なく、なおかつ急速に進歩することを表現するため、遅々とした歩みには使いません。
また、日進月歩は「歩む」と「進む」がすでに含まれている表現です。そのため、「日進月歩で進む」や「日進月歩で進歩する」は重複表現になり、間違いです。「日進月歩する」「日進月歩している」「日進月歩だ」と使ってください。
「日進月歩」と類似する表現
日進月歩のように、絶え間なく進歩する様子を示す表現はいくつかあります。たとえば、次の表現は、日進月歩と類似しています。それぞれの意味や使い方を、例文をとおしてご紹介します。
「日就月将(にっしゅうげっしょう)」
日就月将(にっしゅうげっしょう)とは、学問や事業などが着実に前進していることを示す表現です。また、日進月歩と同じく、技術などが進歩する様子を示すときにも使われます。
・創業からわずか5年で、すでに業界をリードする企業として評価されている。まさに日就月将だ。
・実力を高め、日就月将していきたい。
日就月将は、「日に就り月に将む(ひになりつきにすすむ)」と読み下すこともあります。この場合の「就る」は「成る」と同じ、「将む」は「進む」と同じ意味で使われます。
・日に就り月に将む。毎日勉強をすることで、着実に模試の順位は上がってきている。
・日に就り月に将むというとおり、毎日パソコンを使っていれば、タイピングのスキルも上手になるだろう。
「日進月異(にっしんげつい)」
日進月異(にっしんげつい)とは、止まることなく急速に進歩している様子を示す言葉です。日進月歩と同じ意味で使われますが、最後の漢字が「歩」ではなく「異」である点に注意しましょう。
・医療の世界は日進月異だ。出産で休んだ間にも大きく変化している。病院に復帰するまでに、勉強しておかなくてはいけない。
・彼の座右の銘は日進月異だ。実際に日々進歩するために、努力をしている。
「飛躍的(ひやくてき)」
飛躍的(ひやくてき)とは、急激に成長・進歩する様子を示す言葉です。ただし、日進月歩のように「進む」や「歩む」を示す言葉が含まれていないため、それ自体では成長や進歩を示せません。
「飛躍的な成長を遂げる」「飛躍的に進歩する」のように、言葉を組み合わせて使うようにしましょう。
・彼はここ3か月ほどで飛躍的な成長を遂げた。
・去年と比べると、入館者数が飛躍的に増えている。わかりやすい展示方法に変えたことだけでなく、SNSを使った宣伝が功を奏しているのだろう。
「日進月歩」と反対の意味を持つ表現
日進月歩と反対の意味を持つ表現としては、次のものが挙げられます。それぞれどのような状況で使うのか、例文をとおしてご紹介します。
「旧態依然(きゅうたいいぜん)」
旧態依然(きゅうたいいぜん)とは、昔のままで進歩していない様子です。昔のままでいることは悪いことではありませんが、旧態依然の言葉にはネガティブなニュアンスがあり、昔と変わっていないことが好ましくないときに使われます。
・旧態依然とした業務の進め方が、業績悪化につながっていると思われる。
・温故知新というが、古いものがよいものとは限らない。旧態依然とした仕組みを変えることで、成長できることもある。
「時代錯誤(じだいさくご)」
時代錯誤(じだいさくご)とは、異なる時代のものを混ぜてしまうことや、時代遅れの行動や態度をとることなどの意味で使われます。進歩や成長とはあまり関係のない言葉のため、日進月歩の真逆とはいえませんが、前進できていない点では反対の意味と考えられます。
・時代錯誤の発言は、企業としての信頼を失いかねない。
・彼は時代錯誤でも、大声で主張するのが格好いいと思っている。
「日進月歩」を正しい意味で使おう
日進月歩はポジティブな表現のため、個人や企業のモットーとしても使われています。日々目覚ましい進歩や成長が見られる場面において、「日進月歩」を使って表現してみてください。
また、日進月歩は頻繁に使われる表現のため、類似する表現を覚えておくこともおすすめです。表現力にも成長が見られるように、語彙力を増やしていきましょう。
あわせて読みたい