仕事やスポーツをした後、とても疲れ切っている時に「満身創痍だ」ということはありませんか? 「満身創痍」と聞くと、肉体的な疲労をイメージする方も多いかもしれませんが、精神的なダメージを負っている場合にも用いられることがあります。本記事では、「満身創痍」の意味や使い方、類語・対義語などを解説します。
「満身創痍」が持つ2つの意味
「満身創痍」は、「まんしんそうい」と読みます。意味を辞書で確認してみましょう。
全身傷だらけであること。転じて、徹底的にいためつけられること。
『デジタル大辞泉』(小学館)より引用
「満身創痍」には2つの意味があります。1つは「体中が傷だらけでボロボロな状態」、もう1つは「精神状態の落ち込みや苦しい状況」です。一般的によく使用されるのは「体中が傷だらけでボロボロな状態」であり、こちらの意味を連想する方も多いでしょう。
しかし、精神状態が限界な状態という意味でも、「満身創痍」は使用可能です。2つの意味を詳しくみていきましょう。
体中が傷だらけでボロボロな状態
「満身」は全身や体中という意味があり、「創痍」はもともと、刃物や銃など武器で受けた傷を意味します。現在では傷の種類に関係なく、「体中が傷だらけでボロボロな状態」を表現する言葉として使用できますよ。
周りの人間が状態を判断して使用するのはもちろん、自分の状態をアピールするために本人が使用することも可能です。
精神状態の落ち込みや苦しい状況
「満身創痍」は、「精神状態の落ち込みや苦しい状況」「精神的に追い込まれた状態」を表現する際にも使用できます。周りの人間が判断して使用するケースが多く、自ら「満身創痍」だと発信する人は少ないでしょう。
このように、「満身創痍」は「肉体的な状態」と「精神的な状態」のいずれも表せる言葉です。
「満身創痍」の例文と使い方
続いて、「満身創痍」は会話の中でどのように使うのが正しいのかチェックしていきましょう。
「同僚のBさんは徹夜明けで、満身創痍の状態だ」
徹夜で仕事をして、ひどく疲れて身も心もボロボロの状態だということですね。一睡もせずひたすら残業をしていた様子が伺えます。睡眠不足や肩こりなどの肉体的な疲れはもちろん、精神的にもストレスが溜まっていることが考えられますね。
「運動不足にも関わらず、週末に登山をして、父はすっかり満身創痍だ」
普段あまり体を動かす習慣がないにも関わらず、ハードな運動をして後悔したことはありませんか? 始めた頃は張りきっていたにも関わらず、途中から過酷な目にあって体が疲れ切ってしまった経験は年を重ねるごとに増えてくることも…。自分の体と相談して、無理のないペースで行いたいものですね。
「妹は失恋をして、満身創痍の様子だ」
パートナーに浮気をされたり、振られることの精神的なダメージはとても大きいものです。特に別れる前に大喧嘩をしたり、他の人との浮気現場を見てしまったらショックを受けることでしょう。ひどく落ち込んでいる様子が、側から見てもわかるかもしれませんね。
「満身創痍」の3つの類義語
「満身創痍」の類義語には、3つが挙げられます。「疲労困憊」や「半死半生」は、日常でも聞き馴染みのある言葉かもしれません。しかし「気息奄奄」は普段はあまり使うことがなく、聞いたことがない方も多いでしょう。それぞれの意味について詳しく解説します。
疲労困憊(ひろうこんぱい)
「疲労困憊」の意味は以下のとおりです。
[名](スル)ひどくつかれて苦しむこと。つかれはてること。「徹夜続きで―する」
『デジタル大辞泉』(小学館)より引用
「疲労困憊」は、「疲れ切っている状態」を意味する四字熟語です。「仕事が大変で疲れ果てている」といった様子を表現できますよ。「満身創痍」と同様に、肉体に対しても精神に対しても使用できます。
例文
・人手不足なのに来店客が多くて、6連勤初日にして疲労困憊だ。
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半死半生(はんしはんしょう)
「半死半生」の意味は以下のとおりです。
死にかかっていること。もう少しで死にそうなようす。「―の目に遭う」
『デジタル大辞泉』(小学館)より引用
「半死半生」は「すぐにでも死にそうな状態」を表す四字熟語です。「半死」は半ば死んでいる状態、「半生」は半ば生きている状態を意味します。
「満身創痍」の類義語ではあるものの、「半死半生」は「満身創痍」よりも危険な状態のときに使用される言葉です。