対義語:一切合切(いっさいがっさい)
「氷山の一角」と反対の意味を持つ言葉が「一切合切」です。「一切合切」は、何もかも全てを意味します。明治時代から使用が始まり、小説などにも頻繁に登場する言葉です。
同義語である「一切」と「合切」を組み合わせ、意味を強調した言葉です。「一切合財」と表記される場合もあります。
ビジネスシーンで相手に一任するという場面で「一切合切を君に任せよう」のように使われることもあります。
一切合切/一切合財(いっさいがっさい)
《同義語の「一切」と「合切」を重ねて、意味を強めた語》
1 全部。残らず。すべて。「—が灰になる」「—を売り払う」
2 (あとに打消しの語を伴い副詞的に用いて)全然。いっさい。「今後は—関知しない」
「氷山の一角」の使い方と例文
「氷山の一角」の意味と類義語、対義語についての知識を付けたところで、使い方のポイントを確認していきましょう。
自然に使いこなすコツは、良くないことの一部が表面化している場合に使うことです。ネガティブなニュアンスを含む言葉であるため、良い意味では使わないのが一般的です。
実際の会話で活用できる例文もご紹介します。
良くないことの一部が表面化している場合に使う
「氷山の一角」は、表面に出てきているのが、悪い事柄全体の一部分でしかないことを指して使います。
例えば、報道された政治の汚職問題に関して、まだまだ隠された事実があると予測できるような場面で、「氷山の一角」を使った表現が可能です。
「氷山の一角にすぎない」または「氷山の一角どころではない」などのフレーズで覚えておくと、さらに活用がしやすいでしょう。
「氷山の一角」を使った例文
例文をチェックして、実際に使いこなせるようにしましょう。
例文
今回の失敗は氷山の一角だと心得て、全体の状況を見直そうと思う。
氷山の一角という言葉があるように、潜在的な問題に対する解決策を考える必要があるだろう。
まだ状況把握ができていない今の被害者数は、氷山の一角にすぎない。
エラーの原因は特定したが、これは氷山の一角ではないかと嫌な予感がする。
まとめ
「氷山の一角」とは、好ましくないできごとのほんの一部のみが表面化している状態で、大部分はいまだ隠されていることを意味します。ネガティブなニュアンスを含んでいるため、一般的には悪い意味で使われることが多いです。
氷山は全体の7分の1しか水面に出ておらず、大部分は水中に隠れていてその姿を見ることができません。そんな氷山の様子から、見えていることより見えていないことのほうが多いという意味の慣用句となりました。
「氷山の一角」は、政治問題や犯罪行為、災害の様子を伝える際に、ニュース報道でもよく使われる言葉です。一方で、仕事上のミスやシステムエラーが発生してしまった場合など、ビジネスシーンでも活用できるのがポイントです。
利用できるシーンの多い「氷山の一角」の意味や使い方のポイントを正しく理解して、自然に使いこなせるようにしましょう!何か身の回りで問題が起きた時にも、表面化した部分は「氷山の一角」だと捉えて、再発防止のための対策が取れるといいですね。
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(引用全て〈小学館 デジタル大辞泉〉より)
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