「昔取った杵柄」の読み方や意味、由来
「昔取った杵柄」の読み方は、「むかしとったきねづか」です。「杵柄」とはお餅を作るときに使う「杵」の、手で握る棒状の「柄」の部分です。
「昔取った杵柄」とは、過去に身につけていた技能のことを指します。はじめに、「昔取った杵柄」のさらに詳しい意味や、語源・由来となったものについてチェックしていきましょう。
「昔取った杵柄」とは過去に身につけた技能のこと
【昔(むかし)取った杵柄(きねづか)】
過去に鍛えた腕前。若いころに身につけた技能。「―で、泳ぎ方に無理がない」
(引用〈小学館 デジタル大辞泉〉より)
「昔取った杵柄」とは若いころに身につけた技能のことを指します。過去鍛えた腕前が、今でも衰えていないという意味があることわざです。
自らに対して「昔取った杵柄だ」と使うときは謙遜の意味ですが、相手に対して「昔取った杵柄ですね」と使うときは相手を持ち上げる意味で使われます。
「昔操った杵柄」という表記もありますが、あまり使われていません。一般的に使われている「昔取った杵柄」という漢字表記で覚えるといいでしょう。
「昔取った杵柄」の語源・由来
「昔取った杵柄」の語源となったものは、いろはかるたです。京都周辺の地方で親しまれている「上方いろはかるた」のうちの一句が語源だといわれます。
その言葉ができる由来となったものは、餅つきの様子です。餅つきでは、杵の柄を持って餅をつく人とこねる人とでテンポを合わせる必要があります。またタイミングを見計らって、餅が杵につかないように水分を供給することも重要です。
餅つきとはタイミングが取りづらく難しいものですが、経験者は年をとっても上手に餅つきができます。このことから、「昔取った杵柄」という言葉ができました。
「昔取った杵柄」の使い方と例文
スムーズに使えるようになるために、「昔取った杵柄」の使い方を例文とあわせてチェックしていきましょう。「昔取った杵柄」とは、相手を褒めるときや自分のことを謙遜するときに使用する言葉です。
基本的に悪い意味では使われませんが、目上の人に対して使う場合には注意が必要です。それぞれ確認していきましょう。
褒めるときや謙遜するときに使用
「昔取った杵柄」とは二種類の使い方をすることわざです。褒め言葉として「昔取った杵柄」を使う場合の例文は、以下のとおりです。
・やっぱりお母さんはスケートが上手だ。まさに【昔取った杵柄】だね。
このように、昔磨いていた腕前が今でも衰えていない場合に相手を褒める意味合いで使います。また、見てすぐに経験者だとわかるような場合にも使われます。
謙遜するときの例文は以下のとおりです。
・中学の部活でやっていたので、【昔取った杵柄】といったところですね。
このように、自慢するわけではなく経験があることについて相手に伝えるときに使います。
「昔取った杵柄」は悪い意味では使わない
「昔取った杵柄」とは、悪い意味では使わない言葉です。そのことは、由来となった餅つきの様子に悪い意味が含まれていないことからも理解できるでしょう。
「昔取った杵柄」を悪い意味として使うことは誤用となるため、注意が必要です。たとえば、「君は小さいころからミスばかりだね。またミスしたのも昔取った杵柄かな」などと、相手を悪くいうときに使うのは間違いです。