「昨夜」とは？
普段何気なく使っている「昨夜」という言葉。まずはその読み方と、厳密な意味からチェックしていきましょう。
読み⽅
「昨夜」は一般的には「さくや」、「ゆうべ」と読みます。また、「ゆんべ」、「ようべ」、「よべ」、「よんべ」と読むことも。日本各地で方言として使われている読み方で、例えば「ゆんべはねれなんだ」なら、「昨夜は眠れなかった」という意味になります。
意味
「昨夜」は、「昨日の夜」を縮めた言葉で、意味もそのまま「昨日の夜」という意味です。
ちなみに、この場合の「夜」とは、何時から何時までのことでしょうか。ここでは気象庁の時間の定めについて見ていきましょう。
気象庁が「夜」という言葉を使う場合には、18時頃から翌朝の6時頃まで、「朝」は6時頃から9時頃まで、「夕方」は15時頃から18時頃までとしています。この他には、「未明」は午前0時から午前3時頃まで、「明け方」は午前３時頃から午前6時頃まで、「昼前」は午前9時頃から12時頃まで、「昼過ぎ」は12時頃から15時頃までなど、一応の決まりがあります。
しかし、「夜明け前」は日の出前の2時間くらいと定義していて、日の出日の入りの時刻が季節によって異なることを考慮すると、これらの定義も厳密なものとはいえません。
このことから、気象庁では18時から翌朝の6時頃までを「夜」としているものの、一般感覚としては、日が沈んでから、翌朝日が昇るまでを「夜」と考えるのが妥当でしょう。季節によって「夜」の時間的な感覚が変わるというのは、自然なことと考えられます。
また、ひと口に「夜」といっても、「深夜」や「未明」、「夜遅く」など、細かな時間によってその表現はさまざま。「夜」だけではなく、人によっては「朝」、「昼」の感覚も異なるでしょう。
ビジネスシーンでは、「朝」や「夜」は、独特の使い方がされることも。上司に対して、「朝までには必ず資料を仕上げます！」という場合、この「朝」は、日の出ではなく、上司が出社する時間を表します。日が昇ったらアウトというわけではありません。夜を徹して、上司が出社するまでに仕上げればセーフなのです。
取引先に対しても、「検討してお返事しますので、夜までお時間をいただけますでしょうか」という場合、常識的には相手が退社するまでに返事をするべきですが、追い詰められて間に合わない場合、この「夜まで」は、深夜に及ぶこともあります。翌朝相手がメールをチェックするまでに返事を送ればセーフという考えです。これらは少し極端な例ですが、人や事情によって、「夜」の範囲は変化することもあるのです。
また、昼ごろに出社した社員が、「おはようございます」と挨拶することも、違和感なく受け入れられています。挨拶された方も、何の疑問もなく「おはようございます」と返しているのではないでしょうか。これは、仕事始めが朝という考え方です。このように、「朝」、「昼」、「夜」は、シチュエーションによって、かなりフレキシブルなものといえるでしょう。
使い⽅を例⽂でチェック
少し話が逸れましたが、ここからは「昨夜」の使い方を例文でチェックしていきましょう。
昨夜遅くに悪報が入った
夜遅くに電話が鳴ると、何かよくない報せではないかと、ドキッとする人も多いのではないでしょうか。「昨夜遅くに悪報が入った」は、まさにそんな状況を表すフレーズです。「昨夜」だけだと、何時頃に電話が鳴ったのか漠然としていますが、「昨夜遅くに」だと、深夜近くの時間帯であることが推測されます。
昨夜のカレーがまだ残っている
この「昨夜」は、カレーという言葉が使われていることによって、夕食をとる時間帯を指すことがわかります。「夜」の中でも、比較的「夕方」に近い時間帯でしょう。「昨夜のカレー」は、普段の家庭でも話題にのぼる言葉ではないでしょうか。大量に作ったカレーは、翌日のお昼にはカツカレー、夕食ではカレーうどん…などとアレンジされることもありますよね。
昨夜の地震は、寝ていて気付かなかった
この「昨夜」は、一般に人々が寝静まった後の時間であることがわかります。朝になってニュースを見て、昨夜の地震を知ったということも、珍しいことではないでしょう。
「昨夜」の類語や⾔い換え表現にはどのようなものがある？
「昨夜」の類語や言い換え表現についても確認しておきましょう。
昨晩
「昨晩」は、「さくばん」と読み、「昨夜」と似通った言葉です。厳密には「夜」が日の沈んでいる時間帯を表すのに対し、「晩」は夕方から夜中までを指します。つまり「昨夜」の中の一部が「昨晩」であるといえます。
昨日の夜
「昨夜」は「昨日の夜」を縮めたものなので、「昨夜」と「昨日の夜」は同じ意味となります。
