「切ない」の意味とは?
日々の生活の中で、切ない感情を抱く機会は誰にでもあるでしょう。しかし、「切ない」とは具体的にはどのような気持ちなのでしょうか。いざ説明しようとすると、意外に難しい言葉でもあります。まずはじめに、言葉の意味や語源から詳しく見ていきましょう。
心が苦しいこと
「切ない」とは、悲しさや寂しさで胸がしめつけられ、やるせない気持ちになること。恋愛をしているときに、相手を好きすぎてどうしてよいのか分からなくなったり、なぜか悲しい気持ちになったことがある人は少なくないでしょう。
そのようなときに感じるやりきれない思いの全てが、切ないという感情です。つまり、自分でコントロールできない悲しさや寂しさによって心が苦しくなってしまう状態のことを、「切ない」という言葉で表しているといえます。
肉体的に苦しい意味もある
地域によっては心理的な状態を表す場合以外に、肉体的な辛さや苦しさを表現する言葉としても使われています。
たとえば静岡県や山梨県で「咳が出て切ない」と言ったら、それは「咳が出て苦しい」という意味。また、栃木県では「金銭的に乏しい」の意味として用いられており、実際に発言するときは「せつねー」と訛って使われます。たとえば「今ではすっかりせつねー暮らしをしてます」と言ったら、「今ではすっかり貧しい暮らしをしてます」という意味に。
全く異なる使い方のように思えますが、心理的にも肉体的にも身動きが取れず苦しい状態という点では、同様の意味合いがあるといってよいでしょう。
語源は「大切に思う」
もともとは、「大切に思う」という意味で使われていた「切なし」が変化した表現です。切には、「心の状態や程度がはなはだしいさま」という意味があり、切なる思い・切に願うなどのように使われることもあります。心にかけて深く思っているというポジティブな意味で使われていた「切なし」が、時代の流れとともに「寂しさで心が苦しい」といった、悲しいニュアンスに変化したのです。
「切ない」の使い方や類語との違い
実際に日常生活ではどのように使われているのでしょうか?使い方とあわせて、似たような意味がある「悲しい」や「寂しい」との違いについても、例文を見ながら確認していきましょう。
自分ではどうしようもない辛さを表現
切ないという言葉を使うのは、胸が苦しくて辛い気持ちになったときです。自分ではその辛さをどうすることもできない、というニュアンスを含んでいます。日常生活では、好きな人への思いが募ったときなど、恋愛において抱くことが多い感情です。
●昔の写真を見ていると、別れた彼氏のことを思い出して切ない気持ちになる
●遠距離の彼氏と電話していると、今すぐ会いたくて切なくなる
●彼女は、別れた恋人への切ない思いをどうすることもできず毎晩泣いている
また、「切ない」は恋愛以外の場面で、悲しくて胸が苦しい気持ちを表すときにも使います。
●ペットの犬が死んでしまって、写真を見るたびに切ない気持ちでいっぱいになる
●卒業写真を見ていたら、学生時代の楽しかった思い出がよみがえり、切ない気持ちが込み上げてきた
「悲しい」や「寂しい」とはどう違う?
切ない気持ちを説明するときに悲しさ・寂しさという言葉を使いますが、それぞれどのような違いがあるのでしょうか?
「悲しい」は、「思わず泣けてくるほど心が痛むこと」を表す言葉です。何かショックな出来事があり、心が打ち砕かれて涙が出てくるようなときに使います。
●大好きな祖母が亡くなって、とても悲しい
また、「寂しい」は、何か物足りなさを感じたときや、気持ちが満たされない場合に使う言葉です。孤独感や心細さを表すために用いられます。
●周りに大勢の人がいるときでも、なぜか寂しい気持ちになることがある
「悲しい」や「寂しい」は、「切ない」と同じように気持ちが沈んでいることを表す言葉です。しかし、細かい違いを説明するなら、悲しさや寂しさを感じた後で心の中にじわじわと沸き起こってくるのが、「切ない」気持ちだということができるでしょう。
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「切ない」と感じるのはどんなとき?
切ない気持ちは、恋愛において起こりやすい感情です。実際にどのような場面で切なくなるのか、恋愛で「切ない」と感じやすいケースを3つ挙げて解説します。
好きな人がほかの人と話しているとき
自分の好きな人がほかの人と親しそうに話をしているのを見ると、切なくなる人は多いのではないでしょうか。ただの友人同士だと分かっていても、好きな人が自分以外の人と一緒に笑っていたり、楽しそうにしていたりするのは見たくないと思うものです。交際していない相手であれば、なおさら切ない気持ちが募るでしょう。
「自分の方を見てほしい」「できればほかの人と仲良くしてほしくない」という、言葉にできない願いをどうすることもできず、辛い気持ちになってしまうのです。恋をしているとさまざまな感情が生まれ、自分でもどうしてよいのか分からなくなることがあります。切ない気持ちも、そういった感情のひとつなのです。
過去の恋愛を思い出したとき
昔好きだった人や交際していた人をふと思い出して、切ない気持ちになることも。楽しかった思い出だけでなく、喧嘩をしたことや別れたときのことも思い出されて、懐かしさと同時にほろ苦い気持ちも込み上げてきて切なくなるのです。
相手から振られてしまった場合は、切なさもひとしおでしょう。相手をなかなか忘れられずに、いつまでも切ない気持ちを引きずってしまうことになります。
LINEの返信がないとき
好きな相手に勇気を出してLINEを送ったのに、なかなか返信が来ないと切なくなることもあります。「きっと仕事が忙しいんだ」と思っても、「迷惑だったかも」「嫌われているのかもしれない」などと想像を膨らませて、ついネガティブな方向に考えてしまう人もいるのではないでしょうか?
友人や仕事仲間からの返信なら、多少遅くても気にならないかもしれません。しかし、好きな相手からの返信はとくに遅いように感じて、切ない気持ちになるのです。相手の気持ちが分からない分待っている間にどんどん切なさが募り、胸が苦しくなってしまうのでしょう。
「切ない」気持ちになる3つの理由
好きな人のことを考えたり、昔の恋愛を思い出したりすると、切ない気持ちになるものです。しかし、同じような状況になっても、あまり切ないと感じない人もいるかもしれません。切ない気持ちになるのには、何か理由があるのでしょうか?考えられる理由を3つ挙げて説明します。