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2018.05.25

身近に潜む株価暴落のときを知る方法【飯田泰之 半径3メートルからの経済学】

 

アラフォー世代に刺さる経済、社会、働き方などについて、経済学者・飯田泰之さんがわかりやすく語ります!

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株価暴落のときを知りたければ、「流行を終わらせる人」に注目せよ

日経平均株価は今年1月23日に24000円台を回復した後、下落に転じました。米国の株安を受けて、2月上旬の株式市場は冴えない展開です。その中で「今回の下落は本格的な暴落の前兆では?」という疑問をおもちの方も多いでしょう。 現在の株価水準が高すぎか否かを判断する完全な方法はありませんが、ある程度、経験のある投資家は、企業業績と株価の比較によって相場の過熱感をはかっています。

しかし、経済や会計の専門的な知識がないとわからない分析方法よりも、簡単で、時に正確な判断方法があるのです。そして、その方法は株に限らず、地価やマンション価格といった他の資産価格にも――さらにはビジネスや日常生活にも応用可能です。 第一のポイントは「新理論」と「天才」の登場です。 株価が大幅に上昇し、これまで用いられてきた判断方法ではどう考えても高すぎるという状態になったとしましょう。普通に考えれば、株価が高すぎるようだから今のうちに手放そうという人が増え、株価は下がるはず……ですが、バブル状況ではそうはなりません。 「今までの株価判断の方法は時代遅れで、これからの新時代は○○に注目する必要がある。○○の将来性を考えれば株価はまだ高いとは言い切れない」という主張が登場し、メディアを賑わすようになります。

縁のなさそうな人まで興味を持ち始めたときが要注意!

このような新たな理屈と併せて登場するのが、天才です。経済学者ガルブレイスが1990年に出版した『バブルの物語―暴落の前に天才がいる』のタイトル通り、バブルの絶頂期、つまりは暴落の直前には「新たな経済の潮流をつかんで巨万の富を得た」という天才が注目されるようになります。80年代バブルの際にも株や土地で大もうけした人々の話題がメディアを賑わせましたが、彼らも暴落前の「天才」だったのではないでしょうか。 これに加えて、それまで「絶対に投資なんてしそうになかった人」が投資を始めたら、いよいよ暴落は目前かもしれません。

ケネディ大統領の父は、1929年の世界大恐慌の直前、靴磨きの少年たちが株式投資の話をしているのを聞き、持ち株をすぐに売って、後の暴落を避けることが出来たと言います。とても縁などなさそうな人までもが興味を持ち始めたとき、バブルは終わるのです。新理論・天才・無縁な人の参入の3つはトレンドを読む上でも重要な判断材料です。新しい商品の流行がどこまで続くのか、今はやりのファッションアイテムの賞味期限はいつまで続くのか。 大ヒットの理由がそれまで聞いたことのない理屈で語られる商品、カリスマ的な人気のユーザーが注目されるようになったブランド、おしゃれに興味のない人が持ち始めたアイテム――いずれももう賞味期限間際かもしれませんよ! トレンドを読むために、このように「流行を終わらせる要因」に注目してみてはいかがでしょう?

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経済学者

飯田泰之

1975年生まれ。エコノミスト、明治大学政治経済学部准教授、シノドスマネージング・ディレクター、内閣府規制改革推進会議委員。東京大学経済学部卒業、同大学院経済学研究科博士課程単位取得退学。わかりやすい解説で、報道番組のコメンテーターとしても活躍。

Domani4月号 新Domaniジャーナル「半径3メートルからの経済学」 より
本誌取材時スタッフ:構成/佐藤久美子

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