2:「雲丹」とは?
「雲丹」は、主に食品用に加熱や加工されたウニのこと。「雲丹」の「雲」は空に浮かぶ水滴の塊で「丹」は「赤い」という意味。「赤い雲」とは、ウニの食用となる部分が、赤色をした雲のように見えることが由来です。日本では、古くからウニを保存食として塩で加工して「塩雲丹」といって用いられてきました。
「海栗」と「海胆」は、生物としてのウニを指していますが「雲丹」は加工品のこと。しかし、最近は「海栗」の中身を取り出した「海胆」について「雲丹」と表記されている場合も。しかし本来の使い分け方を知っていると、実際に選ぶ時に参考になるので、覚えておいて損はないでしょう。
「海胆」と「雲丹」と「海栗」の使い分けは必要?
本来の意味での「海胆」と「雲丹」と「海栗」の使い分け方を説明しましたが、実際のところは、混在して使われているようです。例文で確認してみましょう。
故郷の海で潜ると、海栗を簡単に見つけることができる
きれいな海に潜ると、海底で生息しているトゲのあるウニは見つけやすくて、捕まえやすい生き物の一つ。海で、栗のような殻の付いた「海栗」を見つけると、テンションが上がりますね。
日本で獲れる食用の海胆の種類は限られている
本来の意味だと「海胆」は、食用部分の「海栗」の中身のこと。しかし、生きている状態の「海栗」とあわせて「海胆」の漢字が広い意味で使われる場合も。使われ方に応じて読み解くとよいでしょう。
父は行きつけの寿司屋では、大好物の雲丹の軍艦巻きを何個も注文する
「雲丹」は、加工されたウニのこと。しかしながら、スーパーやお寿司屋さんでは、生のウニの「海胆」のことを「雲丹」と表記されるケースも見かけます。実際に「雲丹」と表記された方が、ウニだとわかりやすい人もいるのかもしれません。本来の意味とは使われ方が変わってきているといえそうです。
「海栗」の英語表現は?
世界中の海で「海栗」は生息していますが、食用として愛好される地域とそうではない地域があります。ウニの英語表現は「Urchin」「Sea urchin」「Uni」が一般的。最も一般的なのは「Sea urichin」です。「海栗」「海胆」「雲丹」の英語表記を説明します。
I ordered the fresh sea urchin rice bowl.(私は、うに丼を注文した)
生のウニを表す「海胆」を英語で表記すると、生ウニ「fresh sea urchin」「raw sea urchin」となります。「うに丼」は「the fresh sea urchin rice bowl」。
She likes canned sea urchin.(彼女は雲丹の缶詰が好きです)
加工された「雲丹」の缶詰は「canned sea urchin」で伝わります。「canned」は「缶詰」です。
I made pasta with frozen sea urchin yesterday.(私は昨日、冷凍のウニでパスタを作った)
生鮮品はおいしさを保存するために缶詰「canned」に加工されたり、冷凍「frozen」されて、使われます。「冷凍された雲丹」は「frozen sea urchin」です。
最後に
ウニには、「海栗」「海胆」「雲丹」の3つの表記があって、それぞれ使い分けられています。日常生活で身近な食べ物の漢字表記が違うことは、なんとなく気づいているものの、正しい意味は案外知らないことも。
そして、本来の意味とは違う使われ方をするのも、生きた言葉の特徴といえるでしょう。本来の意味がわかると、日常生活で言葉が果たす役割に気づきやすくなります。スーパーや料理店にあるウニの表記一つから、言葉の深さを発見する楽しみを感じてみてください。
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