「選んだ道で精一杯努力する」。自分と向き合って決めた道を邁進中!
前回ご登場いただいた、元宙組娘役の遥羽らら(はるは・らら)さんからのバトンは、宝塚歌劇団を6月に退団した元雪組男役スターの綾 凰華(あや・おうか)さんへ。おふたりは98期、宝塚音楽学校の2年間をともに過ごしてきた同期です。
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実は取材を同日、時間をずらして行いました。久しぶりに会ったというおふたりのツーショット! さすが同期、久しぶりの再会でもすぐに話が盛り上がっていました。
写真をもっと見る遥羽さんいわく、「綾とは本名の苗字が近かったので、音楽学校のダンスの試験が一緒でした。私の退団が発表された後に劇団の食堂でばったり会って、そこから延々と1時間半も話し続けて。組が分かれちゃうと会うことが少なくなるから、あの偶然はうれしかったです」。
遥羽さんが「退団間近に食堂でばったり会って、長く、いろいろ話したことを思い出します」とおっしゃっていました。
綾さん(以下敬称略):まおちゃん(遥羽さん)は、音楽学校に入った時からキレイで華がありました。入団してからどんどん活躍していく姿を見て、「私も頑張ろう」と刺激をもらっていました。男役は男役、娘役には娘役のこだわりや苦労があると思うのですが、いろいろな男役さんと組んで、素敵な娘役さんとして輝いている姿を尊敬していました。
そうそう、お互いの退団が近かった時にばったりと。私はまだ退団がちゃんと決まってなかった頃かもしれません。確か廊下で会ったんですよ。話し始めたら止まらなくなって、長くなりそうだから食堂に行こうとなって、ずーっとしゃべっていました(笑)。今回こうして呼んでいただけてうれしいです。
写真をもっと見る宝塚歌劇団を卒業して約3か月半。そこまで時間が経っているわけではないですが、どんな時に退団したことを実感しますか?
綾:ふとゆっくりしている時に感じます。自宅で「いい天気だな」などと思いながらボーッとしている時に、「あぁ、私は卒業したんだな」と。在団中はずっと、次へ次へ次へ…とタスクが連なっていて頭をフル回転させていたので、それとはまったく違う時間を過ごしている時に実感するのかもしれません。退団後はスパンと切り替えて次のことに向かうのではなく、青春を捧げた宝塚歌劇団で過ごした時間を大切にしつつ、ひとりの人間として社会に少しずつ感覚を慣らしていきたいなと思っています。
ゆっくりと、四季を感じる時間も過ごされていますか?
綾:在団中は日中に外に出ることがあまりなかったので、四季をあまり感じられなかったんですよね。最近はよく外出しています。日焼け対策に疎かったせいか、日焼け止めも塗らず何も持たずに真夏の日差しの下に出てしまうこともあって。外に出た後に「あ、日傘!」と思い出して家に取りに戻るみたいな(笑)。もうだいぶ習慣づきました!
写真をもっと見る退団を決めたことについて聞かせてください。突然のことで驚かれたファンの方も多いと思うのですが、長く悩まれて決断をされたのですか?
綾:そうですね、短い期間ではないですね。本当に身が削られるような思いで対峙したことだったと、今でも思います。自分の人生においてひとつ重大な決断をすることが、こんなにも重いものなんだと知りました。自分の問題だから友達にも家族にも相談することなく、ひたすら自分と向き合っていた期間でした。そこまで悩めることがあるということは濃い人生を歩んできていることなのだとありがたいですし、人生の選択を悩んだ時間がこれからの人生において大きな勉強になったとも感じています。
宝塚大劇場の千秋楽の挨拶で言ったように、ここに立っていられるなら永遠に立っていたいと思うほどタカラヅカは愛に溢れた素晴らしい場所。でもいつかは選ばないといけない道があり、「こちらを選んだから正解」というのではなく、「私はこちらを選んだのだからこれが正解になるように努力をする」ことが大事だと思って今を過ごしています。しっかりしなきゃ、という思いはあります。正解にするのは自分自身しかないから。
宝塚歌劇団にいたからこその強みや、それを今後どう生かしていくかということは考えていらっしゃいますか?
綾:タカラヅカで得たものは本当にたくさんあり全部大切ですが、その中で最も大きなものは「ご縁」だと思います。すべてが自分の学びにつながる素晴らしい方々と出会うことができ、ファンの方の応援からはとてつもないパワーをいただけました。一緒に舞台を作るメンバーとは、よりよい舞台を作るため、高みを目指し、切磋琢磨して刺激を与え合って。自分の足りないものを気づかせてくれたり、逆に自分が持っているものに目を向けさせてくれたり…ひとりじゃないからここまで向き合って進んでくることができたんだなと思います。人とのご縁というのは、大好きで仲良しであることも大切ですが、それだけではないんですよね。みんなで一丸となって“舞台を作る”ということに打ち込み、大変なことも苦しいことも乗り越えたからこそ、その先にある舞台に立つ時の幸せを分かち合える。いろいろな経験をしてつないできた絆はタカラヅカにしかないものだと思います。
自分の長所はなにかと聞かれたら、自分というよりも、常に自分のまわりに学びとなり教えとなってくれる素晴らしい方たちがいてくれること。それに対して自分が感謝の気持ちを忘れてしまうとその方たちがいなくなってしまうと思うので、これからも感謝しつつ勉強させていただけたらと考えています。
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