友人から夫のアプリ登録を知らされ…
春奈さん(仮名)は41歳で結婚9年目。夫との間に息子がひとりいますが、夫婦仲は数年前から冷めきっていて、たびたび離婚も考えるほどの仲が続いていたとのこと。そんなある日、春奈さんは婚活中の女性の友人から、自分の夫がマッチングアプリに登録している事実を知らされました。
「びっくりしましたけど、あーやっぱりねーっていう感じもありましたね。私たち夫婦は冷めきっていて、レスになって6年くらいになるし、子どもが小学校に入ってからは家族で一緒に旅行に行く機会も減り、仮面家族みたいな雰囲気でしたから。何度も離婚の話も出ていますが、コロナ禍になったこともあり“なんとなくの現状維持”が続いたまま、今に至るって感じだったんです。
だから、友人が夫の写真を見せながら『これ、春奈ちゃんの旦那さんだよね?』って訊いてきたときも、そこまで衝撃ではなかったんですよね」
何か離婚のきっかけとなる出来事があれば、きっとためらわずに離婚するんだろうなと思いながらも何年も夫婦を続けてきたと話す春奈さん。夫のアプリ登録を知っても、腹が立つこともなく「いい相手ができたら浮気するだろうから、そこで慰謝料をもらって別れればいいのかな」と妙に冷静だったと振り返ります。
「バツイチ」を騙る夫の姿に同情
「変な話ですけど、アプリに書いてある夫のプロフィールを読んだら“バツイチ”ってなっていて、妙に同情しちゃいました。嘘をついてまで“切れ目なく相手を探したい”っていう夫の見栄や意地みたいなものを感じて、なんだかかわいそうになったというか。私はもう今の夫と離婚したらしばらくは結婚とか恋愛とかいいやって気分だけど、彼は真剣に次の恋愛を探したいのかな、だから必死なのかなって思ったらおかしくて」
春奈さんは、今も妻に内緒で次の相手を探している夫に、怒りの感情は全くないのだそう。ただ「どのタイミングで離婚をするのが、自分にとって有利なのかをいつも考えている」と話します。
離婚をするのに有利なタイミングを待つべき?
「子どもはもうある程度大きくなっているし、養育費についても揉めそうにないので、ここも心配していません。だけど慰謝料をもらうとなれば、夫が浮気をしてその証拠を掴んでからのほうが、私にとって有利に離婚できるのかな?って。
アプリに登録しているってことは、浮気が始まるのも時間の問題だろうから、今は静観して着々と証拠集めの時期を待つほうが賢いのかしらって、考えちゃいますね。でも、そんなふうに考えながら毎日を過ごすのって、すごくつまらないんですよ。早くスッキリして次の生活に移ったほうがいいのかなとも思うけれど、なんだかそれも夫に対して癪なんです。有利なタイミングを待って離婚に着手するか、もう夫とは破綻しているんだから、浮気の慰謝料とか関係なく早めに動き出すか…、どちらが私にとっていいのか迷います」
ずっと仮面夫婦が続いていた場合には、何らかの出来事をきっかけとして離婚へと急展開するケースは珍しくありません。春奈さんは、夫がアプリに登録していたのを知ったことを機に、気持ちが急速に揺れ動いているようです。
離婚を損得で捉えるときには、お金だけでなく時間のロスも考慮するに越したことはありません。離婚を考え始めた時点の経済的背景にもよりますが、40代は30代までよりも“時間”の大切さも痛感する世代だけに、客観的かつ冷静に後悔の少ないであろう選択をしたいものです。
取材・文/並木まき