何年も我慢を重ね、年の瀬に別居を実行
43歳の美幸さん(仮名)は、子ども2人をもつワーキングマザー。3歳年下の夫と結婚12年目を迎えていましたが、これまで複数回にわたる夫の浮気や日常的なモラハラに耐えかね、ずっと別居をしたいと考えてきました。そんな美幸さんは年の瀬が迫ったある日、ついに別居へと行動に移しました。
「仕事のことや子どもたちの学校のことを考えたら、年末年始のタイミングで別居に踏み切るのが一番いいなと思って、年の瀬に子どもたちを連れて家を出ました。新しい家は賃貸で、12月に入ってから契約したんです。ちょうど、夫が年末に友人たちと釣りに行くと聞いていたので、このタイミングしかないなと思って決行しました」
夫と何度も別居や離婚に向けて話し合いをしてきたものの、土壇場になると夫が「逃げてしまって、話がまとまらなかった」と美幸さん。「話を進めるためには、私が出て行って別居の事実を作るしかないと思っていました」とのこと。
思い切って行動したら数年ぶりに清々しいお正月を迎えられた
「夫に言わずに家に出るのは、最終手段にしようって思ってきたので、これまではなかなか行動に移せずにいました。でも夫と暮らすのは、もう私が限界だったので、今回こそはと思い切ったんです。
結果として、数年ぶりに清々しい気持ちでお正月を迎えることができました。今はコロナ禍で、ウチは今年までこれまで恒例だった義実家への帰省も控えているけれど、来年になったら我が家も帰省をする習慣が戻っていそうだなと思ったのもあって、この年末が最後のチャンスかも…って、思い切ることができました」
ここ数年は、夫との関係が悪く、年末年始などの長期休暇には、一緒に過ごすことにストレスしかなかったと言う美幸さん。今年は数年ぶりに、子どもたちに凝ったお雑煮を食べさせたり、初詣に出かけたりといった余裕のある過ごし方ができたことに満足しているそうです。
「別居をしないで解決できればよかったんですけど、我が家の場合はもう無理でしたね。我慢もたくさんしたし、結婚生活の後半は自分を殺してきたような生活でした。あのとき『まだもう少し頑張ってみよう』と別居を思いとどまっていたら、今頃はまた鬱々とした気持ちで過ごしていたと思います。
年が明けると、みんなの気持ちが前向きになるじゃないですか? でも私は毎年、年が明けるたびに『いつまでこんな環境を続けなくてはいけないんだろう』って憂鬱になっていたんですよ。それも本当に嫌でした。今年のお正月はそれがなくて、本当に久しぶりに清々しい気持ちです。離婚に向けた準備はこれからが本格スタートですけど、まずは別居に進んだことに安堵しています」
別居や離婚を心の中では決めていても、何かのきっかけがなければなかなか行動に移せない人は少なくないのではないでしょうか。美幸さんは「2024年にはコロナ禍が明けていそうであること」と「年の瀬」が重なって、ついに行動に移すきっかけとなったようです。
別居や離婚に至ることなく夫婦が円満に収まることがベストなのは言うまでもありませんが、美幸さんのようにすでに破綻した関係を続けている場合には、自分にとって「ベストなタイミング」を見極めて行動に移すことが、前向きな気持ちで新生活を始めるきっかけに繋がる例もあるのでしょう。
取材・文/並木まき