俳優・猪塚健太さんがDomani初登場! 猪塚さんの「役者の顔」と「オフの顔」に迫ります
現在、土曜ドラマ『ゼイチョー ~「払えない」にはワケがある~』(日本テレビ系/毎週土曜よる22時〜)に出演中の俳優・猪塚健太さん。11月3日(金)から公開中の映画『人生に詰んだ元アイドルは、赤の他人のおっさんと住む選択をした』にも出演しています。アットホームな雰囲気から、シリアスでスリリングな表情、果ては女子を沼らせる“クズ男”まで、実に幅広い役柄を演じる猪塚さん。お仕事のこと、日常のことなど多岐にわたってお話いただきました!
シリアスな表情からやさしい笑顔まで。撮り下ろし写真をすべて見る
──俳優として15年以上活動する猪塚さんですが、演じるうえでのモットーはありますか?
大切にしていることはたくさんありますが、いちばんは「謙虚でいること」ですね。そのほうが、お芝居でもより色々なことにチャレンジできると思うんです。「こんなふうに演じたい」と提案されたとして…生意気な人よりも、日頃から謙虚な人の意見を聞きたいと思いませんか? やっぱりドラマや映画は「総合芸術」。みんなで作るものですから、人との関わりが大切。大先輩のみなさん見ていても、謙虚な方ばかりです。
演じている最中は、相手の話をよく聴くことを大事にしています。お芝居はただ台詞を覚えるものではなく、「会話とリアクション」。だからその時、その空間で変化があるほうが、相手のノリもよくなるんじゃないかと思っています。
──10月からスタートしたドラマ『ゼイチョー ~「払えない」にはワケがある~』に出演中ですね。注目してほしいポイントは?
熱いヒューマンドラマと、コメディとして面白い部分とが、いいバランスで噛み合っています。毎話しっかりと人間模様が描かれているので、そこは注目してほしいですね。
『ゼイチョー』は市役所の納税課のお話で、僕は徴税吏員の鷺沼宏樹を演じています。「納税」って、この国に暮らしている以上、全員に関係がある内容のはず…ですが、あまり意識したことがない人が多いのではないでしょうか。僕もそのひとりで、まずは「徴税吏員ってなんだ?」というところからスタートしました。
徴税吏員というお仕事は、きちんと納税している人ならほとんど関わることのない存在だと思います。だけど、事情があってどうしても税金を払えない…という方もいて。さまざまな制度を駆使して、そんな人たちを救っていく物語になっています。
──となると、なかなか辛い場面も…
そうですね。払えるお金がないことで苦しんで、命を断とうとしてしまう人もいたり…さまざまな事情で生活に困難を抱えている人がいて、観ていてどこか自分と重なる部分もある、と思う方もいるかもしれません。でも、そんなふうに苦しんでいる人たちを、「制度」で助けることもできる。僕たちがちゃんと納税することで、助かる人がいる…そう気づかせてくれるドラマでもありますね。
──主演の菊池風磨さん、山田杏奈さんとは初共演ですが、印象はいかがでしょうか。
風磨くんは、演じる饗庭蒼一郎(あいばそういちろう)を、想像以上におもしろいキャラクターに仕上げてくれています。アドリブも多く、お芝居でも僕たちを引っ張ってくれる存在。現場の空気もいつも明るくしてくれて、本当に頼れる座長です。
杏奈ちゃんは、(所属)事務所が一緒なので面識はあったものの、共演は初めて。男だらけのチームの中に女性ひとりですが、自然に輪の中に入ってきてくれて。僕らのくだらない話にもニコニコとついてきてくれます。
──現場の楽しげな雰囲気が伝わってきます。
現場の雰囲気はとってもいいです! ドラマのなかで僕が所属する「第三係」のメンバーはみんな楽しい人ばかりで、普段からワイワイと盛り上がっています。最近はもっぱら松田元太くんをみんなでいじり倒してリアクションを楽しんでいて(笑)。もう彼は天然すぎて、本当におもしろいんですよ。
──いったいどんなおもしろリアクションが…(笑)。
今回ご一緒する前から松田くんのことはバラエティ番組で観ていて、僕が一方的に好きだったんです。彼の有名な(?)エピソードで「九九が言えない」というのがあり、それをどうしても生で見たかったため、「6の段は?」と振ってしまいます(笑)。毎回嫌な顔ひとつせず、期待通りの九九を披露してくれるので、それでひと盛り上がりして、みんなの団結力もさらに上がっているような気がします。
本当に楽しい現場で…まだまだ撮影中ですが、すでに「ゼイチョーロス」の予感です…。終わったらぜったい寂しくなるだろうな。
優しい上司から、女子を沼らせるダメ男まで…演技の幅を広げる秘訣は?
──『ゼイチョー』で優しい上司を演じる一方で、現在配信中のU-NEXTオリジナルドラマ『MARICE』ではシリアスな秘書役。さらに11月公開の映画『人生に詰んだ元アイドルは、赤の他人のおっさんと住む選択をした』では、ヒロインを振り回すクズ男の役と、演じるキャラクターの幅が本当に広いですよね。それぞれを演じ分けるのが大変そうですが…。
うーん、まずは「演じ分け」を意識せずに、物語のなかの役割を第一に考えることでしょうか。キャラクターを深掘りしていくうちに、自然とその人になっていく…というイメージです。
ただ、似たキャラクターを演じていると、知らず知らずのうちに同じような感じになってしまう…ということもあって。そんなときは、その役の範囲内で少し演技を変えてみようかな?と理論的に調整することも、もちろんあります。
──猪塚さんとしては、普段の自分と近いキャラクターと遠いキャラクターだったら、どちらがやりやすいですか?
遠ければ遠いほどやりやすいですし、楽しいです! それに印象にも残る。なので、実は数年前からマネージャーさんに「クズとかワルの役をどんどんやらせてください!」ってお願いしていて、今年に入ってからほぼそんな役しかやっていないんです。『ゼイチョー』では久しぶりにまともな公務員の役でした(笑)。
──ということは、普段の猪塚さんは「クズ」からはかけ離れていると…
どうなんでしょう? (にやりとしながら)本当はそれがいちばん近いという可能性も…? でも、誰しもダメな部分って、隠しているだけで絶対もっているものですから。それを芝居で発散できるのは、役者の醍醐味ですよね。
──では、今後目指したい役者像は?
役者でいるあいだは、とにかく「素の自分」を限りなくゼロにしたいです。作品を観るみなさんには、「猪塚健太」のパーソナルな部分を意識しないで、その役として認識してほしい。そうなればなるほど、観ている人は作品に入り込めると思うんです。ゼロにするのはとても難しいですが、プロとしてできる限りその努力はしていきたいです。