つい先日、夫が単身赴任から戻ってきてワンオペ体制がひとまず終了。今後、どの〝名もなき家事〟を渡していくか、検討中です(笑)
今月の母:小林明子さん
BuzzFeed Japan株式会社
『BuzzFeed Japan』特集エディター・40歳
ハードな働き方への適応が難しいなら、柔軟なやり方を選べばいい
「前職の上司に、“就職氷河期世代の女性は、社会を変えたい気持ちが根底にある。自分たちとは仕事に対する熱量がどこか違う”と、言われたことがあるんです」と語る小林さん。
WebメディアのBuzzFeed Japanで「#MeToo」や「#国際女性デー」など女性の生き方企画を手がける特集エディター。「〝アムラー〟になれなかった40歳は、いつ引退できるのだろう。」「〝名もなき家事〟に名前をつけてみた。」等々彼女の記事に多くの女性が納得や共感をし、その反響も大きい。 夫婦別姓を考えるような革新的な母の影響か、子供のころから女性の生き方に漠然と関心があった。新卒で記者となって以降は“書く”仕事に従事。20代は新聞社で事件や事故を伝える記者として。30代は週刊誌の編集部で、念願だった女性の働き方や子育てについて深掘りする企画を担当。しかし39歳で退職。
Webメディアへの転職理由はふたつあった。 「ひとつは子供世代が触れるメディアが紙からネットに変わってきて、そこで発信したいと思ったこと。もうひとつは前職でデスクの世代になったこと。管理職になりたくなかったわけではないんです。紙媒体の校了作業は自宅では難しく、月に何日かはシッターも頼めない時間まで残業が必要。記者時代は過酷な環境に適応できずに辞めた自分が、負け犬に思えました。でも雑誌の仕事を通じて、自分だから書ける分野も確立できた。今度は強みを活かして、柔軟な働き方ができる場を求めようと考えたのです。現在、管理職ですがお迎えのために18時20分には退社します」
入社当初は速報のニュースに日々対応していたが、今年の1月からはじっくり考えて特集の戦略を練る雑誌的な動きをするポジションとなり、“スローでエバーグリーンな記事”を生み出す日々にさらに手応えが増した。この3年は新聞記者である夫の単身赴任でワンオペ育児をまわし、気の張る日々も続いていた。それも先日ついに終了。自身の記事で夫たちの“家事をやってるつもり”に正面から意見をぶつける彼女に、現状を聞いてみた。
「それが、家では夫に家事を突きつけることができないんですよ。知人からは“言ってることとやってることが違う”とダメ出しも(苦笑)。角が立たないよう、少しずつ権限委譲しようと思っています。課題はもうひとつありまして、少し前に息子から“ママはいつもスマホ見すぎ”と怒られ、子供たちが荒れてしまった時期がありました。しかし仕事を辞めたくはない。話し合いを重ねて、今は毎日帰宅後30分、子供たちと3人で、犬の散歩に行く時間をつくるようになったんです。もちろん、スマホは家に置いていきます(笑)」
Profile
こばやし・あきこ/1977年、岡山県生まれ。関西学院大学社会学部卒業後、毎日新聞社に新卒入社。記者として九州に赴任する。24歳で結婚、遠距離結婚生活に。26歳で夫の転勤を機に退職・上京し、フリーライターとして週刊誌『AERA』で執筆。27歳で長男出産。30歳で正社員に。35歳で長女出産。39歳で退職、BuzzFeed Japanへ転職する。最近の楽しみは、子供の習いごとの待ち時間に、自由が丘をぶらぶらすること。
Domani2018年7月号『女[独身]、妻[既婚子供なし]、母[子供あり]Catch! 働くいい女の「月曜16時30分』より
本誌撮影時スタッフ:撮影/真板由起(NOSTY) ヘア&メーク/今関梨華(P-cott) 構成/谷畑まゆみ