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FASHION おしゃれプロ

2024.01.20

2本のフォークを比べて知った「無難」という魅力【今日からは、自分のために服を着たいvol.63】

毎日、お家でなんの気もなしに使っているフォークやスプーン。2種類あるけど、気つけば、手に取っているのは片方のデザインだけでした。これっておしゃれにも通じるところがあって……。

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editor_kao
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筆者のイメージイラスト

こんにちは、editor_kaoです。

わが家には2種類のテーブルフォークがあるのですが、そういえば私、いつも片方ばかり使っているなー、と、先日気づきました。1本は首のあたりにラインが入った、それなりにフォーマルなデザイン、もう1本は特に装飾のないシンプルなものなのですが、どうしても後者ばかりに手が伸びてしまいます。ちなみにスプーンとナイフも同様にそろえていますが、こちらも然り。

ひとり暮らしを始めるのが遅かった弊害

私は実家を離れ、ひとり暮らしを始めたのが30代と比較的遅く、すでに予算もあればこだわりもあったので、インテリアやうつわを選ぶのに、そうとう時間がかかりました。引っ越しはしたものの、お気に入りのベッドが見つからず、しばらくマットレスだけを床に敷いて生活していたことも、いい思い出……。そういえば昨年、今の部屋に引っ越したときも、新しいカーテンがなかなか選べなくて、サイズの合わない前の家のものを、しばらく流用していました。カーテン選びって難しいですよね。絶対に失敗できないですし、価格とクオリティがしっかり直結しますし。

気に入ってるのに、なぜか使わないカトラリー

で、カトラリーの話に戻るのですが、今はほとんど使用していないデザイン性のあるほうが、最初に手に入れたものなんです。当時は気合い十分!ライフスタイル本をチェックしたり、知り合いのインテリアスタイリストにリサーチして、イケてるショップはどこかを調べていました。ある日「長く使うカトラリーは、きちんとしたところでそろえないと!」と、「コンランショップ」へ出向き、数あるデザインから厳選したことを、はっきりと覚えています。そのときは全然わかっていなかったけれど、調べたら日本の由緒あるカトラリーブランドのものでした。なんだかうれしい。

もうひとつの、2番目にそろえたシンプルなカトラリーについては、正直なんの記憶もありません……。いつどこで買ったのか、なぜ買ったのかすらも、まったくわからなくて。ここからは私の推理なのですが(自分のことだけど)、どうやら最初に手に入れたカトラリー、気に入ってはいるものの「立派すぎて自分の食事に合わない」と、感じたからではないでしょうか。自炊はしますが、料理上手というわけではありませんし、いわゆる家庭料理しかつくりません。ホームパーティなんてほとんどしたことないですし、改めて振り返れば、ナイフなんてほぼしまいっぱなしで、登場するのはフォークとスプーンばかり。たとえば自分がつくったパスタに、このカトラリーがふさわしいのかどうかは、あやしいものです。だから今は、買ったときの思い出こそないものの(とほー)、手なじみの感じや食べるものとのバランスがいい、シンプルなふたつめのカトラリーを、愛用しているのだと思います(そして十分満足している)。

日常的なアイテムに「無難」は、ほめ言葉かもしれない 

あら、この現象って、おしゃれにも通ずるものが。たとえば白いレースブラウスを買ったとします。ものすごく気に入っているものの、いざ着てみようとすると、あまりの繊細さに二の足を踏むというような経験、ありませんか?似合っていないわけじゃない、でも今日のスケジュールとテンションが合ってる?と考えたり、ごはん中に汚したらどうしよう?と心配してみたり。そこで結局、少々雑に扱っても大丈夫な、黒のカットソーに着替えてしまうみたいなこと、私はよくあります。
美しいレースブラウスも、フォーマルなカトラリーも素敵だけれど、日常的に使うものは、無難なものこそ気持ちがラク、ということが起こるんですね。「無難」って言葉の響きはあまりよくないけれど、実は魅力的な意味合いにもなるのかしら。もちろん、無難イコールなんでもいいわけではありませんが。自分のライフスタイルに無理なくなじみ、なおかつ魅力的に感じるものを選べたら最高です。無難よ、ばんざい!

【今日のひと手間】黒いバッグに安全ピン型のビンテージ風なチャームがついている様子

個人的に、バッグチャームが気になっています。これはチャームではないけれど、最近気に入っているのは、ワンハンドルのバッグに大きな真鍮のピンを付けるアレンジ。クラシックなバッグにモードな雰囲気が加味されて、印象が変わって見えてきます。ほかにも小さなバッグに大きなチャームを付けるとか、少しギャップのある組み合わせもできたらな。

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エディター

editor_kao

大人の実用ファッションを中心に、人物インタビューや日本の伝統文化など、ジャンルレスで雑誌やブランドサイト、ウエブマガジンで活動中。また、インスタグラム@editor_kaoでは、私服コーディネートを紹介するかたわら、さまざまなブランドや百貨店とのコラボレーションも手がけている。ライフスタイルWEBメディアkufura(クフラ)でも「4ケタアイテムで叶えるオシャレ」を連載中。

イラスト/柿崎こうこ

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