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2019.02.08

リーダーシップの講義で身につく「加点思考」が婚活に役立つ!?【MBAと婚活/早苗の場合2】

MBA取得はビジネスのためだけれど、実は結婚にも大いに役立つ!? キャリアもおしゃれも完璧を目指した結果、カレに浮気された早苗だけれど・・・。

Text:
南 ゆかり(フリーエディター)
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story2 ワインバーでMBAのことを考える

Profile
早苗さん(37歳・仮名) 既婚・子どもひとり
職業/医療機器メーカー・広報
趣味/海外旅行、ワイナリー巡り
住まい/シンガポール(賃貸戸建)

story1 私には結婚という形が合わないのかもしれない

念願の企業広報に異動

入社11年目、33歳になったとき、早苗は部署異動希望が通って、念願の企業広報に異動になった。これまでの医療機器の企画業務からは大きく変わって、会社の財務状況や経営メッセージをメディアに伝える仕事になる。

「新人に戻ったみたいに、覚えることだらけでした。社長の記者会見のセッティング、新聞社とのおつきあい、新聞記者への決算発表、新製品の発表会…。これまでになかった社外とのつきあいは、自分の視野が広がっていくようで、楽しかったですね。それを1年続けると、年間のどのタイミングで何をやるかがわかって、ようやく企業広報の全体像が見えてくる。ひとつずつの業務が点の連続でも、ひとつの線になる感覚が、すごく面白かった。これを、ずっと続けていきたいなと思うようになっていました。彼氏はいなかったけど、まあ、それも仕方ないかなと思っていました」

一年でいちばん忙しい、決算発表の仕事が終わった日、早苗はいつものように、ワインバーでジュヴレ・シャンベルタンを飲みながら、自分に「お疲れ様」の乾杯をしていた。こういうときは、だれかを誘うよりひとりで飲むほうがいい。そして、ずっと頭の片隅にあったMBAのことを考えていた。今、会社の経営に近い場所で仕事をしていく上では、断片的に身についた知識を、もう一度きちんと体系立てて勉強してみたい。

ほろ酔いの頭でも、手元のスマホはビジネススクールのMBA取得について調べ始めていた。

加点方式で男性を見るということ

34歳の春、早苗は「2年間は寝る時間はないかもしれないけど、最短期間でMBAを取得する」と決意した。仕事を抱えながらのビジネススクール通いは、3年、4年を覚悟で通う人もいるけれど、早苗は「短期間で学んで、早く仕事に活かしたい」という思いが強かった。そう決めておかないと、ずるずると長引かせてしまいそうだし、集中力も続かない。

「月に2回ずつある授業を4科目。だから、仕事の後はほぼ勉強の毎日で、でも久しぶりの学生感覚は、すごく楽しいものがありました。企業広報の仕事にすぐに役立ったのが、『アカウンティング(会計)』の授業です。会社では3か月ごとに決算の開示をしていたので、今までただの数字だと思って見ていたものも、その意義や戦略との関連性が見えて、すごく面白くなるんです。
学ぶだけでなく、こんなふうに新しい気づきを与えてくれるのも、MBAの授業でした。たとえば、上司・同僚・部下から360度調査をしてもらったり、自分の現状診断をする『リーダーシップ開発』。自分の長所である積極的に仕事に臨む姿勢や向上心が高い点がわかったのと同時に、相手の気持ちにもっと気を配らないといけないという自分の改善点も痛感させられました。

勉強で苦労したのは、『ファイナンス』。どれだけ投資してどれくらい回収できるかの計算など、事業投資に必要なスキルを学びます。事前に参考書でも予習もしますが、その後にさらに仲間同士の勉強会にも参加して。そうしないと、本当に授業に追いついていけないんです」

授業は40人くらいのクラスだが、勉強会はそのときどきで5~10人が集まり、授業でわからなかった箇所など確認したり、仲間と一緒に次回のケース(課題)の認識合わせをしたりする。その後、食事や飲みに流れることも多かった。

早苗が現在の夫・慎一郎と出会ったのは、MBAの授業が始まって3か月たったころだった。『リーダーシップ』の授業で一緒になり、さらにその後の勉強会仲間として、月に一度は顔を合わせていた。慎一郎は化粧品会社の営業で、仲間内では最年少の29歳。「若い!」が第一印象だった。

「食事会は毎回“肉の店”って決まっていて、5人で幹事を回していくんです。みんな仲間であり同志というつきあい。あるときは焼肉、あるときはステーキ、すき焼き、ちょっと変わり種でシュラスコのときもありました。

慎一郎の第一印象は“若い”だったけど、時間がたつほどに、そのほかの長所も私の中に加わっていったんです。勉強会のまとめ役をすすんで引き受け、参加者誰に対しても同様に接するところ。いつも優しくニコニコしているけれど、ビジネスの話となると、真剣な瞳に急変するところ。上司が独断的でうまくいかないことが多いけど、なんとか新しいことをやっていきたいという挑戦者なところ…。なんだか慎一郎に対して、どんどん星が増えている。私って、もしかして、好きなのかな? 慎一郎のこと」

この星を加点していく思考は、リーダーシップを学ぶ講座で自然と身についていた。このときはまだ、早苗はそれに気づいていなかったけれど。(story3に続く)

南 ゆかり

フリーエディター・ライター。『Domani』2/3月号ではワーママ10人にインタビュー。十人十色の生き方、ぜひ読んでください! ほかに、 Cancam.jpでは「インタビュー連載/ゆとり以上バリキャリ未満の女たち」、Oggi誌面では「お金に困らない女になる!」「この人に今、これが聞きたい!」など連載中。

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