私より収入が低いのに、嫌がらせのように浪費する夫
夫婦の仲に修復不可能な亀裂が入るのって、どんなときなのだろう。
自分より稼ぐようになった妻に、酔っ払った夫が漏らした、妻の会社を貶めるようなひとこと。それが、ヒロミさんが仮面夫婦になったきっかけだった。
今まで見ないふりしてやり過ごして来た、自分と同じ広告代理店という業種に勤務する夫との間の収入格差。年上でかっこいいと思っていた夫を尊敬できなくなったときに、ヒロミさんの愛は急速に冷めて行った。
それと比例するかのように、夫の無駄遣いが多くなった。
ヒロミさん:うちは生活費を共同財布に同じ額だけ入れて、残った分は預金に回してたんです。だけど私の収入の方がだいぶ多いから、ほとんど私のお金みたいなものなんですよね。それなのに、夫はそこから勝手にお金を引き出して、レコードとかフィギュアとか、趣味に浪費するようになったんです。
今思えば、夫はやけくそになっていたのかもしれない、と、ヒロミさん。
その買い物も、レアもののレコードを、聴く用と飾る用の2枚買うなど、ちょっと尋常ではなかった。
「ねえ、それはふたりの口座じゃなくて、そっちの財布から出すべきじゃない?」と言っても、「いいじゃん、別に」とスルー。
「子どもは嫌いだから、欲しくないんだよね」
さらに愛が冷めた原因は、他にもある。
ある日のこと。街を歩いていたとき、小さい子どもが目の前をふざけて蛇行しながら歩いていた。ぶつかりそうになった瞬間に、夫がその子どもに「危ない!」と叫んで突き飛ばした。
ヒロミさん:もちろん、軽くですけど…。子どもと一緒にいたお父さんが「何するんだ!」と怒鳴ると、夫は「危ないのはそっちだろ」と怒鳴り返したんです。確かに向こうが悪くはあったけれど、すごく嫌な気持ちになりました。あとで彼に、「子ども嫌いなの?」と聞いたら、「うん。嫌い」って。
「子ども欲しくないの?」と尋ねたヒロミさんに対して、「欲しくないね」と。即答だった。
ヒロミさん:それでまた、彼に対して〝ドン引き〟というくらい引いてしましたね。―若いときに結婚したこともあって、それまで彼と子どもの話をしたことが、一度もなかったんです。だけどそのとき初めて、「私は欲しいな」って思った。だから、この人と長くはいられないな、と思いました。
そしてしばらくヒロミさんにとっての仮面夫婦生活が続いたあとに、ヒロミさんの仕事のプロジェクトが山場を迎え、それと同時に結婚生活も終焉を迎えることになる。
その顛末は、次回に続く。
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インタビュー・文
さかい もゆる
出版社勤務を経て独立。と思った矢先、離婚してアラフォーでバツイチに。女性誌を中心に、海外セレブ情報からファッションまで幅広いジャンルを手掛けるフリーランスエディター。Web Domaniで離婚予備軍の法律相談に答える「教えて! 離婚駆け込み寺」連載も担当。著書に「やせたければお尻を鍛えなさい」(講談社刊)。講談社mi-mollet「セレブ胸キュン通信」で連載中。withオンラインの恋愛コラム「教えて!バツイチ先生」ではアラサーの婚活女子たちからの共感を得ている。