「こちらが知りたいと思わなければ、キャラクターは自分のことを教えてくれない」
テレビアニメ『ポケットモンスター』で新主人公・ゴウ役を演じている、声優の山下大輝さん。ここまでのインタビューを通して感じたのは、山下さんがとにかく『ポケモン』という存在を心の底から愛しているということ。スペシャルインタビュー第5回目となる今回は、山下さんの声優論——作品やキャラクターとの向き合い方について、そしてご自身の〝声〟について聞いてみました。
▲本日放送された『ポケットモンスター』第6話「ポケモン大量ゲットだぜ!ミュウへの道!!」にちなんで、今回のポートレート写真のテーマは〝ミュウ探しをする山下さん〟。山下さん演じるゴウの夢は、すべてのポケモンをゲットしてミュウにたどり着くこと。さて、山下さんはミュウをゲットできるのでしょうか…!?
まず山下さんが声優として一番大切にしていることを教えてください。
「作品やキャラクターが好きであること、これが一番かなと思っています。単純なことですけど、やっぱり好きじゃないと辛いじゃないですか。無理に演じても、その気持ちが自分の声に浮き出てしまうような気がして。逆に言えば、好きな気持ちも声に自然とにじみでてくる。演じるものへの愛情を持っていないと、自分の中から出てくるセリフもなんだか嘘っぽく聞こえる、薄っぺらいものになってしまうのではと感じるんです」
そう、山下さんが何よりも大事に考えているのは、演じる対象を好きになること。今回の取材中に感じた〝ポケモン愛〟の強さは、まさに「声優・山下大輝」の在り方そのものの表れだったのかもしれません。「ただ好きでいるだけで終わらずに、さらに好きになるための〝探求力〟も大事にしています」と話す山下さん。〝探求力〟っていったいどんなものですか?
「疑問をもつこと、ですね。たとえば誰かが『このキャラクターが好きなんです!』って話してくれたとき、『どうしてそのキャラクターが好きなんだろう?どんなところが好きなんだろう?』って思ったりしますよね。そういった気持ちを相手に向けるのはもちろん、自分自身に対しても向けるようにしています。〝好き〟という気持ちの深掘りというか。自分がまだ知らない魅力を相手は知っているかもしれないし、自分が気づいていない魅力を無意識のうちに僕自身も感じ取っているかもしれない。隠されている魅力をどんどん解き明かせるように、常にアンテナを高くはっているよう意識しています」
▲おっと、まさか山下さん、ミュウを発見……!? って、後ろ後ろ〜!!
今演じているゴウのことも「もっと好きになれる、もっと好きになりたい」と思っているのだそう。
「見た目はかわいらしくて、それでいて10歳とは思えない高い分析力を持っていて。今わかっている部分だけでもゴウの魅力、好きなところはたくさんあります。でも、まだ僕が知らないゴウの良さってたくさん隠れているはず。今は、演じながらそれを探していくのが楽しみなんです。新しい魅力を発見できたらうれしいし、もっともっとゴウのことを好きになっていきたいし、好きになれたらいいなって思う。好きだからこそできることって、たくさんありますよね」
「それから…」と演じるキャラクターに対しての〝探究心〟の話は続きます。
「たとえば、どうしてこの子はこのセリフを言うのかな、ってキャラクターから出てくる言葉のひとつひとつにも疑問を持つようにしています。特にとっさに口からあふれたような言葉とか…その言葉が、そのキャラクターの過去にも未来にもつながっていると思うんです。どんな過去を過ごしたか、これからどんな未来へ進んでいきたいか。小さなことに対しても『何でだろう?』って疑問や興味を持っていないと、その存在のことを深く知ることなんてできないし、こちら側が知ろうと思わなければキャラクター側も知らせてはくれないだろうし。でも、そうやって内面を突き詰めていくパワーは〝好き〟から生まれるものだと思うから、やっぱり〝好きでいること〟が何より大切です」
思っていることは、声でバレバレ!? 山下さんが思う、自分の声の強みと弱み
次に聞いてみたいのは、山下さん自身が考える〝自分の声の強みと弱み〟について。生まれ持った個性を大きく生かせる部分もあれば、生まれつきだからこそどうしても変えられない部分もある…そんな「声」を武器に勝負をしていく世界。山下さんが想う〝山下大輝の声〟とは…?
そんな質問を投げかけると「え〜、強みと…弱み!? 何だろうなぁ〜」とちょっと困った顔で笑いながら、答えを考えはじめた山下さん。「あ、こういうことでいいのかな」とこれまた笑顔で話してくださいました。
「『ポケットモンスター』でも音響監督をされている三間雅文さんがおっしゃってくださったことなのですが、僕って、こう、素直といいますか、思ったことがそのまま声に出てしまうというか(笑)。三間さんから『すごくわかりやすく声に乗るね』と言われまして(笑)。だけど『そこがいいところなんだよ』とも言っていただけたので、なるほどな、と。自分の声のよさってそういうところにあるのかって発見した部分ではありますね」
質問の答えとして返ってきたのは、なんとも山下さんらしいエピソード。
▲ゴウより早く「ミュウ、ゲットだぜ〜!」な山下さん。
「『おや? って思ってるでしょ? ちょっと今、腑に落ちてないよね?』ってとにかく自分の気持ちや想いを当てられちゃいます(笑)。でも〝わかりやすい〟ってことは、〝伝わりやすい〟ってことでもあるのかなって。自分がセリフに込めた気持ちや想いがまっすぐに伝わるなら、それはすごく自分の強みになっていると思うんです」
想いが声にストレートに表れるからこそ、気持ちに嘘はつけない。その強みは、先の話題に出ていた〝好きという感情をとことん探求する〟というスタンスにも繋がっているような気がします。では、その一方で山下さんの声の弱みって…?
「どんなに頑張っても、カイリキーみたいな声は出せないことですかね…僕がやっても〝なんか頑張ってるカイリキー〟になっちゃうんじゃないかな〜(笑)。『なんかあのカイリキー細くない!?』って言われちゃそう(笑)。カイリキー(cv.山下大輝)は、相当筋トレ足りてない見た目になりますね」
そんな妄想で取材現場を爆笑させた山下さん。「三宅さんが演じるようなキャラクターの声は、僕にはなかなかできないですから!」と〝出せない声〟の例として挙げてくれたのは『ポケットモンスター』でロケット団のボス・サカキを演じている三宅健太さんでした。物語の中でゴウとサカキが対面する日はくるのか…!? またひとつ違う角度から『ポケットモンスター』を追いかける楽しみが増えそうです…!
▲もう一度、気を取り直してミュウとのツーショット。こんな撮影もノリノリで楽しんでくださった山下さん。来週の記事内ポートレートでは、ポケモンに見守られながらの〝意外な姿〟をお見せします♡
次回のインタビュー記事は、来週12月29日(日)に更新予定。『ポケットモンスター』第7話「激闘のホウエン地方!挑戦バトルフロンティア!!」の放送終了後にお届けします。また来週もお楽しみに!
◆テレビアニメ『ポケットモンスター』大好評放送中!
テレビ東京系にて、毎週日曜ゆうがた6時から放送中。
※一部地域では放送時間が異なります。
原案:田尻智/増田順一/杉森建
総監督:冨安大貴 監督:小平麻紀
クリエイティブスーパーバイザー:湯山邦彦
シリーズコンストラクション:米村正二
キャラクターデザイン:安田周平
脚本:吉田玲子/米村正二/赤尾でこ/藤咲淳一/土屋理敬/待田堂子/宮田由佳/松井亜弥/冨岡淳広/面出明美 ほか (執筆順)
音響監督:三間雅文
音楽:林ゆうき
アニメーション制作:OLM
製作:テレビ東京/MEDIANET/ShoPro
テレビアニメ「ポケットモンスター」番組ホームページ (テレビ東京あにてれ)
テレビアニメ「ポケットモンスター」公式Twitter(@anipoke_PR)
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やましただいき
山下大輝
やました・だいき/9月7日生まれ。2012年にテレビアニメ『リトルバスターズ!』で声優デビュー。2013年テレビアニメ『ガイストクラッシャー』の白銀レッカ役で初主演を果たす。主な作品に『弱虫ペダル』の小野田坂道役、『ジョジョの奇妙な冒険 黄金の風』のナランチャ・ギルガ役など。2014年には、第8回声優アワード新人男優賞を受賞。
ニット[税抜価格]¥27,500(Sian PR<CULLNI>) TEL:03-6662-5525
その他/スタイリスト私物
撮影/福本和洋(TAKMI) スタイリスト/浅井直樹(Vigroo) ヘア&メーク/YUTO 取材/旧井菜月