「その後の女妻母たち」への追跡インタビュー。【母】大古殿美穂さん(39歳)の後編をお届けします。
Vol.6【母】大古殿美穂さん・39歳
特定非営利活動法人ワールド・ビジョン・ジャパン
サポートサービス部 人事・総務課
前回のお話>子どもふたりが小学生になり、できたゆとりでボランティアを始めました
国際協力NGOに勤務して、仕事とふたりの子育てに追われるような30代を過ごしてきた大古殿さん。とにかく通常業務を滞りなく回すこと、日常生活を回すことで精一杯だった日々を経て、今では仕事を楽しむことができるようになってきたと語ります。そして40代を目前に、強く思うこととは…。
社の周年行事準備の山を乗り越えたことで仕事に対する意識が一変
お子さんが成長してボランティアを始めたことのほかにも、この3年で何か変化はありましたか?
仕事を楽しんで取り組めるようになってきたことですね。事務局長の秘書的業務と団体内のカルチャー醸成を担当しているのですが、細々した業務も含めるとかなりのボリュームがあり、配属1年目はとにかく前任者に教えてもらいながらただただこなすという感じでした。
2年でなんとか自分ひとりでやれるところまでこぎつけたので、3年目は人に聞かず、ミスなく、自分ひとりでも安心して業務ができることを目標に掲げました。ちょうど団体の30周年行事や式典などの大きなイベントが行われる年でもあり、その準備から当日の進行まですべての山を乗り越えたあたりからですね。仕事を楽しめるようになってきたのは。
ただがむしゃらにミスなく取り組むのではなく、質の向上を目指したり、愛や想いをもって取り組みたいとマインドが変わってきたんです。人からの言葉もちゃんと受けとめて、結果が良くても悪くてもその経験を次に活かそう、人として成長したいと強く思うようになりました。
夢をすべて達成したはずなのに、まだこれで終わりたくない気持ち…
実はもうすぐ40代を迎えます。そこで、これからは自分がさらに成長するためのチャレンジや“乗り越え経験”をしたいと考えているんです。
入職して17年。振り返ればものすごい勢いで走り続けてきたなと感じています。初めは電話の取り方もわからず、パソコンもExcelも日々の業務で覚えました。結婚して出産して復職して、仕事と家庭の両立に務めてきました。けれども自分を高める時間はほとんどもつことができなかったと思っている自分にふと気がついたのです。
そのために何がしたいのかは今はまだわかりません。できれば楽しみながら何かひとつ自分に自信がもてるスキルを身につけられたらいいなと考えているところです。
まさにターニングポイントに直面しているのですね。40代はどのように過ごしていきたいですか?
今の気持ちは、50歳になったときに何かができるために、40代の10年間は自分のために使いたいなという思いがあります。20代、30代は子育てから学びました。ここからは“自分育て”にシフトできたらと思っています。
若いころは“結婚したい”とか“就職して仕事に就きたい”とか“子どもが欲しい”などの夢がありました。夢をすべて達成してきたはずなのに、でも「終わった、だん!」とも思えなくって。将来子どもたちが巣立ったら、プラスだったのがマイナスになってしまうかもしれない。1年後に何か見つかっているかもしれないけど、まだ悩んでいるかもしれない。それでも“欲しい”と思い続けていたら、きっと見えてくるものがあるんじゃないかとそんな期待をしています。
日々考え、日々祈り、考えが行ったり来たり、ひらめいたりひらめかなかったり、泣いたり笑ったり、イラっとしたり不安になったり…。そんなジェットコースターのような毎日を楽しんでいる今日このごろです(笑)。
▲「最近、なぜか子どもとの約束忘れが増えてきました。買い物時のリストづくりもマストです。周囲や自分をがっかりさせないように、気を引き締めて頑張ります!」と大古殿さん。
本誌掲載:2016年Domani4月号「働くいい女の月曜16時」
本誌撮影時スタッフ: 構成/谷畑まゆみ メイン画像&アイキャッチ画像:ShutterStock.com
テキスト
谷畑まゆみ
フリーエディター・ライター。『Domani』連載「女の時間割。」、日本財団パラリンピックサポートセンターWEBマガジン連載「パラアスリートを支える女性たち」等、働く女性のライフストーリー・インタビュー企画を担当しています。