コート・ダジュールの名産プロヴァンスロゼ
フランスのニースやカンヌといった高級避暑地コート・ダジュールで、盛夏に人々に飲まれているワインといえば、もう圧倒的にロゼワインです。
じつはプロヴァンス地方は、生産量の約90%がロゼワインという一大産地。ロゼの魅力はなんといっても、そのフレッシュでエレガントな味わい。たとえワインに詳しくなくても、楽しく陽気に、そして美味しく飲むことができてしまうのです。
プロヴァンスが高品質のロゼを生み出す理由のひとつは、ミストラルという強い風の恩恵により畑に湿気がこもらず、ぶどうのオーガニック栽培がしやすいこと。プロヴァンスのぶどう畑のじつに19%がオーガニック栽培で、これはフランス国内でもっとも多い数字となっています。
▲ ラベンダーやヒマワリ、オリーブの木とロゼ、青い海がプロヴァンスの代名詞
ブラピ&アンジーも魅了されたワイン
そんなプロヴァンスロゼには、世界のセレブリティーたちもすっかり魅了されてしまっています。いまは離婚したけれど、世紀のカップルとして話題になったブラッド・ピット&アンジェリーナ・ジョリーもプロヴァンス地方にワイナリーを購入、その銘柄「ミラヴァル・ロゼ」は大きな話題を呼びました。
それ以外にも映画監督ジョージ・ルーカスや歌手カイリー・ミノーグなども、自らロゼワインを造ってしまっているほど。
そんなセレブたちの多くは、バカンスなどで南仏を訪れてプロヴァンスロゼを飲み、その魅力に開眼。その様子をインスタグラムなどのSNSにアップすると、アメリカなどの海外ではロゼワインの消費量が飛躍的に伸びたのです。
ロゼはどんな料理にも合わせやすい
そんなプロヴァンスロゼの魅力を伝えるイベントが先月、都内で開催されました。
▲ エレガントなものから複雑な味わいのものまでタイプもさまざま
「ロゼは白ワインと赤ワイン、その両方の長所を兼ね備えているのでさまざまに料理にあいます。アペリティフに出されるようなフィンガーフード、なかでも桃やイチジク、生ハムやサーモンなど同じピンク色をした食材とは好相性。スパイスや香辛料の効いたアジアン料理にもぴったりです」
この日のナビゲーターを務めたワインエキスパートの瀬川あずささんはそう言います。また南フランスの家庭料理を供する「ココット・キュイジーヌ」のシェフ、ファニー・フェルナンデスさんはイクラや鯖のへしこなど、一瞬ワインとは合わないのでは?と感じるような食材をパンにのせた、カナッペを提案してくれたから驚き。
「ポイントは、バゲットや田舎パンにプロヴァンス風バターを塗ること。そうすると個性的な魚介類とも味が調和します」
▲ ピンク系果物や生ハムなどのフィンガーフードとぴったり
そのプロヴァンス風バターは、家庭でも簡単に作れてしまいます。バターにタイムやローズマリー、オレガノやセージを入れて、ただ混ぜ合わせるだけ。好みでニンニクを加えるのもおススメ。パンにこのプロヴァンス風バターを塗り、そのうえに山羊のフロマージュ+蜂蜜+クルミをのせたフランス風も美味しいので、ぜひお試しを。
▲ ロゼの魅力を伝えるファニー・フェルナンデスさん(左)と瀬川あずささん(右)
今夏はプロヴァンスロゼと相性のいいお料理とともに、楽しい家飲み時間を過ごしましょう。
取材協力/プロヴァンスワイン委員会
ライター
鳥海 美奈子
共著にガン終末期の夫婦の形を描いた『去り逝くひとへの最期の手紙』(集英社)。2004年からフランス・ブルゴーニュ地方やパリに滞在、ワイン記事を執筆。著書にフランス料理とワインのマリアージュを題材にした『フランス郷土料理の発想と組み立て』(誠文堂新光社)がある。雑誌『サライ』(小学館)のWEBで「日本ワイン生産者の肖像」連載中。ワインホームパーティも大好き。