「白羽の矢が立つ」という言葉、あなたはどのように使っていますか? 多くの中から特別に選ばれることは、一見素晴らしいことのように思えますが、実は悪い意味も含まれています。本記事では、言葉の由来や使い方、類語、英語表現を解説します。
「白羽の矢が立つ」の意味や読み⽅とは?
「白羽の矢が立つ」とは、「しらはのやがたつ」と読みます。まずは、意味を見ていきましょう。
いい意味と悪い意味がある
「白羽の矢が立つ」の意味は、一般的には「多くの中から特に指定・選び出されること」です。このほかにも、「多くの中から犠牲者として選び出されること」という意味もあります。
一見いい意味で使われる言葉のように思いますが、自分の望まない役割を与えられてしまったなどの、悪い意味でも使われることもあります。その理由として、実は「白羽の矢が立つ」の由来が関係しているのです。では、どのような由来があるのかを見てみましょう。
少し意外な由来
「白羽の矢が立つ」という言葉は、人身御供(ひとみごくう)を求める神が、希望する処女の家の屋根に人しれず白羽の矢を立てるという俗説から生まれたといわれています。
この矢が立てられることで、その人物が犠牲者として選ばれたことを示していました。このような背景から、現代では「多くの中から特に選ばれる」という、いい意味で使われることが多いですが、悪いことの場合にも用いられるのです。
「白羽の矢が当たる」は誤用
文化庁が発表した「国語に関する世論調査」(平成29年度)において、「白羽の矢が立つ」ではなく「白羽の矢が当たる」というような使い方をする人が、約15%いるという結果が発表されました。
矢で的を射るイメージからこのように覚えてしまうのかもしれませんが、これは誤った表現です。正しい表現を使えるように、神が家の屋根に矢を立てたという由来も一緒に覚えておくといいかもしれませんね。
「白羽の矢が立つ」の使い⽅を例⽂でチェック
「白羽の矢が立つ」は、会話であまり使われない分、使い方が難しいと思われるかもしれません。実際に、いくつかの例文を見ながら使い方を確認していきましょう。
部員たちは、チームの中で特にしっかりしている彼女が部長になるべきだと白羽の矢を立てた。
「白羽の矢が立つ」は、学校や部活など多数の人によって形成される場でよく使われます。白羽の矢が「立つ」とすると選ばれる側の目線になりますが、白羽の矢を「立てる」とすることで選ぶ側の目線から使うこともできます。
次期社長候補として、彼に白羽の矢が立った。
仕事の場では、何らかの役職に推薦された時に使うことが多いでしょう。一般的には、多くの中から選び出される場合に使われます。