由布院の原風景に浸る穏やかなひととき
星野リゾートが全国に展開する温泉旅館ブランド「界」より、この夏新たに【界 由布院】がオープン。大分県・由布院温泉に位置し、コンセプトは「棚田暦 (たなだごよみ) で憩う宿」。由布院の原風景のひとつである棚田が広がり、四季折々に表情を変える情景を楽しめます。
四季の移ろいを感じる「棚田テラス」
大分という地名は「大いなる田」が由来とされているように、田んぼにゆかりがある地域。山間にある由布院エリアにも棚田が広がっており、界 由布院の敷地内にも元々棚田がありました。そんな由布院の原風景のひとつである棚田を宿の中心に配置した施設の設計・デザインを手掛けたのは、建築家・隈研吾氏。
▲棚田テラス
棚田を一望できる「棚田テラス」からは、爽やかな青空や赤く染まる夕焼け空が映り込む田植え前の水鏡、田植え直後の瑞々しい新緑、一面に広がる秋の稲穂の金色、冬の風物詩である稲刈り後の藁こづみが置かれた風景など、季節の移ろいを感じることができます。縁側でくつろぐようにテラスの椅子に座れば、由布院の原風景に入り込んでしまったかのような感覚に。どこか懐かしい由布院の景色を感じながら、時間を忘れて憩うことができる空間です。
▲棚田 水鏡 夕景
自分だけのお守りを作る「わら綯い体験」
界ブランドのおもてなしのひとつが、ご当地の文化を体験できる「ご当地楽」。界 由布院では、由布院の農閑期に行われる手仕事「わら綯 (な) い」を用いたお守り作りができます。
▲ご当地楽「わら綯い体験」
藁をより合わせて作る縄は手を合わせて行うことから「祈りのかたち」を表しており、そこに稲穂や水引などの飾りをつければ完成。由布院の原風景を感じることのできるご当地楽です。
心休まる景色と伝統工芸に囲まれた客室
全45の客室の中でも特に注目なのが、2タイプの離れ。1つ目は棚田の中に静かにたたずむ「蛍かごの間 (棚田離れ) 」で、棚田の畝の連なりや棚田と空の広がりを独り占めできる贅沢な造りです。縁側に腰をかけてのんびりとくつろげば、静けさの中に響く虫の音色まで聞こえてくるはず。
▲「蛍かごの間 (棚田離れ) 」縁側
2つ目は、くぬぎ林に面した「蛍かごの間 (くぬぎ離れ) 」。湯小屋があり、由布院温泉の優しい温泉に静かに浸かる贅沢を味わえるのが魅力。どちらも室内の畳は大分県の国東半島で栽培されている希少な七島藺 (しちとうい) が使用され、部屋に入った瞬間から優しい香りに包まれます。
▲「蛍かごの間 (くぬぎ離れ) 」外観
また、全6タイプの客室すべてがご当地部屋「蛍かごの間」で、螺旋状の形が特徴的な「蛍かご」に着想を得た照明が配されています。「蛍かご」は本来、麦わらをはじめとする素材でできたかごに蛍を飼い、簡易的な照明として使用されるもの。大分県・国東市在住の七島藺工芸作家である岩切千佳氏が手掛けた「蛍かご照明」は、七島藺の独特の風合いや優しい香りを感じることができ、あたかも籠の中に蛍が生きているかのように淡い光が点滅するのが特徴です。さらに、マダケ竹材の生産量が日本一の大分県は伝統工芸の竹細工も有名で、ヘッドボードやソファには竹を使用した設えが取り入れられています。
▲ご当地部屋「蛍かご照明」
▲ご当地部屋「蛍かごの間(和室)」
由布岳を眺めながら湯浴みを満喫する大浴場
国内有数の源泉数・湧出量を誇る由布院温泉。界 由布院の大浴場は、四季折々の花や紅葉で色づく雄大な由布岳を眺める開放的な空間が魅力です。内風呂には、さっぱりとした湯がたのしめる源泉かけ流しの「あつ湯」と、ゆっくりと浸かり心身ともにリラックスできる「ぬる湯」の2つの浴槽を用意。
▲大浴場 内風呂
露天風呂には寝湯もあり、豊後富士とも呼ばれる由布岳を眼前に望むロケーションで、季節の風を感じながらのんびりと長湯を楽しめます。
▲大浴場 露天風呂
野山の恵みを堪能する特別会席
お待ちかねの夕食は、プライベート感が保てる半個室のある食事処で、猪肉や穴熊肉などの野山の恵みを堪能できる特別会席が提供されます。先付は、猪肉と椎茸をあわせて最中で挟んだ「猪と椎茸の最中パテ」。大分県名産の「かぼす」のドレッシングでたのしむクレソンサラダが添えられ、後味はさっぱり。
▲先付「猪と椎茸の最中パテ」
その後、大分県名産である竹をモチーフにした器とともに、酢の物・八寸・お造りを一緒に盛り合わせた華やかな「宝楽盛り」が登場。メインの台の物は、滋味豊かなスッポンの出汁に牛肉、猪肉、鹿肉、穴熊肉の4種の肉をくぐらせる「山のももんじ鍋」。個性的なそれぞれの肉にあわせた4種のタレで味わえます。
▲特別会席「山のももんじ鍋」
棚田や由布岳が作り出す唯一無二の景色に浸れる界 由布院。これから秋や冬にかけて、また違った表情を見せてくれるはず。オープンしたばかりの新旅館にぜひ注目してみてください。