幼稚園にかかる費用には何がある?
集団生活のはじまりである幼稚園は、教育費の入り口でもあります。子どもが幼稚園に通うと、どんな費用が発生し、いくら必要になるのか知っておきましょう。
「幼稚園の費用」総額は
文部科学省が発表している「令和3年度子供の学習費調査の結果について」をもとに、幼稚園にかかる費用の総額を解説します。
公立幼稚園総額
年間16万5,126円
《内訳》学校教育費:6万1,156円/学校給食費:1万3,415円/学校外活動費:9万555円
私立幼稚園総額
年間30万8.909円
《内訳》学校教育費:13万4,835円/学校給食費:2万9,917円/学校外活動費:14万4,157円
学校教育費とは、保育料(月謝)や行事費、教材費などを指します。幼稚園で提供される食事やおやつ代は学校給食費に分類され、習い事や自宅学習などの費用は、学校外活動費に含まれます。
公立と私立で大きな差があるのは学校教育費ですが、これは保育料(月謝)の差額によるものでしょう。私立の幼稚園はどうしても費用が高くなりがちですが、設備や教育内容、保育内容が充実している園が多いのも確か。保育料だけで決めず、子どもや教育方針に合った幼稚園を選ぶようにしましょう。
出典:文部科学省公式ホームページ 令和3年度子供の学習費調査の結果について
「幼稚園の費用」幼児教育・保育の無償化とは
地域によっては、公立の幼稚園がなく、選択肢は私立だけという場合も。子育て世帯をサポートするための制度である、幼児教育・保育の無償化について解説します。
幼児教育・保育の無償化について知ろう
2019年にスタートした幼児教育・保育の無償化は、幼稚園や保育園を利用する際にかかる費用を国や地方自治体がサポートする制度です。幼稚園は、助成額上限が設定されており、月額2万5700円以内であれば、利用料はかかりません。超過した利用料は保護者負担になりますので、特に私立幼稚園は、事前に費用を調べておきましょう。
幼児教育・保育の無償化対象になるのは、主に3~5歳の幼稚園や保育園に通う子どもです。条件を満たせばどの家庭でも利用でき、所得による利用制限もありません。なお、0~2歳の子どもについては、住民税非課税世帯のみが無償化の対象になります。
幼児教育・保育の無償化:対象になる費用は
幼稚園にかかる費用で無償化になるのは、保育料や月謝などの利用料です。そのほかの費用は原則保護者負担になりますので、注意しましょう。
無償化対象外の費用の一例は次の通りです。
・入園料
・受験出願料(検定料)
・延長保育代
・制服代
・給食費(おやつ代含む)
・学用品
・行事にかかるお金
・課外保育にかかるお金
・写真代
・通園にかかるお金(幼稚園バス利用料)
・PTA会費
・冷暖房費 など
制度を利用したからといって、保護者負担0円で幼稚園に通えるわけではありません。また、利用料に含まれる費用は幼稚園によって異なります。詳細は、幼稚園もしくはお住まいの市区町村で確認しましょう。
幼児教育・保育の無償化:申請の方法は
幼児教育・保育の無償化は、幼稚園と自治体の間で利用手続きを行います。ただし、通う幼稚園が制度の利用対象外であれば、保護者の手続きが必要になります。その場合も、基本的には幼稚園から手続きの案内があり、幼稚園経由で申請をします。
通園する幼稚園が、幼児教育・保育の無償化対象かどうかは、幼稚園またはお住まいの市区町村で確認できます。
私立幼稚園の場合は補助を受けられる自治体も
自治体によっては、私立幼稚園に通園させている保護者を対象に入園料や保育料の一部を補助している場合も。対象となる方や金額は自治体によって異なるため、公式サイトなどをよく確認しましょう。
「幼稚園の費用」私立幼稚園補助金って?
私立の幼稚園に子供を通わせる場合は、私立幼稚園補助金を利用することができます。この補助金についても知っておきましょう。
私立幼稚園補助金とは
満3~5歳児の入園料と月謝に対して補助金が出る制度です。兄弟の人数や年齢、保護者の収入、住んでいる自治体によって、助成金額は異なります。自治体によっては、独自の給付金を上乗せしているところや、公立幼稚園に通う世帯に対しても助成しているところがあります。
私立幼稚園補助金:対象になるのは
私立幼稚園補助金を利用するには、条件を満たすことが必要です。自治体によって条件は異なりますが、共通しているのは以下のものです。
・利用者と児童ともに当該市町村に居住しており、そこに住んでいる
・私立幼稚園に入園料を納付している
私立幼稚園補助金:新宿区の場合
私立幼稚園補助金を導入している新宿区の場合を見てみましょう。この制度の案内は、新宿区から各幼稚園に送付されます。
<新宿区:私立幼稚園補助金の概要>
・新宿区内在住(住民登録をしていること)の、通園する園児(満3歳児・3歳児・4歳児・5歳児)の保護者が対象
・国の幼児教育・保育の無償化制度に上乗せして入園料や保育料の補助金を交付
・私立幼稚園や、東京都知事が認定した幼稚園類似施設が該当
・幼稚園の認可を受けていない幼児施設(インターナショナルスクール等)に通園している場合は、補助金の対象外とする
<入園に対する補助金>
8万円が上限(所得制限なし)。ただし、該当年度に園へ納付した入園料の額までとする。交付は、年度に1回。
<保育料に対する補助金>
補助金額は、世帯の特別区民税額と子供の人数や年齢により変動。入園補助金と同じく、当該年度内に園に納付した保育料の額までが対象。
申請には、特別区民税課税証明書や源泉徴収票、収入を証明する書類が必要になるケースがあります。特に新宿区に転入してまもない人は、事前に必要書類を調べておきましょう。
補助金の振込時期は、入園補助金が11月末、保育料補助金前期分は11月末、後期分は翌年5月末の予定です。幼児教育・保育の無償化分とは別で交付されます。
私立幼稚園補助金:注意したいこと(新宿区の場合)
・年度の途中で入園や退園があった場合
日割り交付の対象となりますが、手続きが別途必要になります。
・幼稚園に納めた保育料等の納入額が、国の幼児教育・保育の無償化補助額に満たない保育料補助金が交付されない可能性があります。
・未申告等で特別区民税額が確定していない場合
補助金の交付はできないとされています。
最後に
幼稚園にかかる費用を軽減する制度を知っておきましょう。制度を利用しても、保護者負担になる費用はありますので注意が必要です。幼児教育・保育の無償化や私立幼稚園補助金は、お住まいの地域によって内容が異なります。詳細については、幼稚園またはお住まいの市区町村で確認してください。
監修
コトヅテ 益田瑛己子(ますだ・えみこ)
ライター・キャリアコンサルタント/金融機関の営業職(FP職)として長年勤務し、現在はライター(ブック・Web)として活動中。趣味は、好きなアーティストのライブに行くこと。子供が自立し、仕事にまい進する日々を謳歌している。
執筆/京都メディアライン
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