私ノってるな、と感じられた「今際の国のアリス」のミラ
「またあの緊張感がやってくる。長ゼリフをうまく言えるかしら。乗り切れるかな。シーズン1を終えて2の撮影までの2年は、ずっと張り詰めた気持ちが抜けませんでした」と仲さんが語るのは、配信中のNetflixシリーズ「今際の国のアリス」の思い出。ミラは、生き残りを賭けた“げぇむ”の参加者たちを、会話劇と心理戦で惑わせる正体不明の人物。と同時に、変わり果てた東京と、この“げぇむ”の真相を握っています。
“げぇむ”でも人生でも、戦略は大の苦手です
——謎に包まれ、かつ難解なミラという人物。彼女をどう解釈されたのでしょうか。
「シーズン1のときから、ミステリアスでもっと知りたくなる人物がミラでした。魅力的ではあるけれど、怖さもある。特にシーズン2では、容姿はまったく乱れないのに、人の気持ちばかりブンブンかき乱す。彼女の言ってることは本当なのか? いや真実は別のところにあるのかも? 私自身も振り回されながら、終わったときは肉体的な疲れよりも精神的な疲労でぐったり。ものすごいカロリー消費で、暴飲暴食しそうでした(笑)。
でも、私自身とまったく別人でキャラの濃い役を演じるのは、やっぱり楽しいし、調子がいい。ノってるな、と自分でも感じられる時間でした」
Netflixシリーズ「今際の国のアリス」シーズン2より
© 麻生羽呂・小学館/ROBOT
——では、もしも仲さんが生き残りゲームの中に入ったとしたら? 戦略は立てていくほうですか? それとも…。
「走ったり逃げたりする体力系のゲームは、まず無理。数字を扱う頭脳系も苦手。できるとしたら…、お芝居をすること。人に嘘をついたり、だまそうとしている人を直感で見抜いたりするのは、得意かもしれません。でも、戦略的に戦ったり、緻密に策略を立てていく、みたいなことはできません。
Netflixシリーズ「今際の国のアリス」シーズン2より
© 麻生羽呂・小学館/ROBOT
昔から私、流れでしか生きていない人間で、まあだからこうなってるんですけど(笑)。行き当たりばったりの連続です。東京に出てきたこと、仕事を始めたこと、そして子育ても。私自身が、夏休みの宿題を最後まで残すタイプだから、息子にも同じことをしてしまうんです。休みの間、遊びの予定をぎゅうぎゅうに詰め込んで、最後の最後に親子で一緒にベソかきながら宿題をやるという…。きちんと戦略的にやりたい、という憧れはあるんですよ。でも、いまだできたことがありません」
みんな、子どもにもっと怒っていいんじゃない?
仲さんといえば、YouTubeで親子共演をしたり家庭内をそのまま見せていることでも人気です。忙しい中でも時間をつくり、そこで見せる息子への愛情表現はとってもストレート。
——仕事を楽しみながらも、子育てと両立させる、仲さんなりの方法があれば教えてください。
「家事も育児も、誰がやるとか決めていないし、できないときは姉妹や周囲の人に頼ります。もちろん、家の中のことは子どもにだって手伝ってもらいます。
よく、息子と仲がいいって言われるけれど、厳しいところ・甘やかすところはメリハリをつけているつもりです。『愛してる』の表現はストレートにするけれど、怒ったときは私、怖いんです。この世の終わりかってぐらいにブチギレます。しかも言い方がギャル。これは外でも同じです」
——怒ることを難しいと感じているお母さんたちも多い中、仲さん流のアドバイスを。
「みんな、もっと怒っていいんじゃない? って言いたいです。この前も、電車のホームで走ってる子がいても、親は止めようともしない。なんでだろう。褒めて育てるとか、怒りを収めるとか、そういうマニュアルもあるけれど、危ないことは危ないし、怒ることは怒るべき。だから、そのとき電車のホームで息子に言いました。『あれをあなたがやったら、どうなると思う? おうち入れなくなるよね』って。息子は隣で震えてましたけど」
——その成果は、どんなふうに出ていると感じますか?
「どういうわけか、めちゃめちゃ優しい子になりました。一緒に道を歩いていると、『僕が外側を歩くよ。僕よりママの命が大事だから』って。そして、これもどういうわけか、赤ちゃんのときからめっちゃ空気を読める子です。
将来のことはまだわからないけど、最近はコウテイペンギンになりたいって言ってます。あんなかわいいペンギンが、仲間を崖から突き落とすというワイルドさに惹かれるって。関心はどんどん広がって、温暖化から『シロクマを助けたい』とまで言い出して。今度、友達とSDGsについてオンライン会議をするそうです。息子が偉すぎて、本当に私から生まれた子ですか? って思うくらいです」
*1月27日発売の『Oggi』3月号では、仲里依紗さんのお仕事論をインタビューで掲載しています。ぜひご覧ください!
俳優
仲 里依紗
なか・りいさ/1989年生まれ、長崎県出身。2006年アニメ映画『時をかける少女』で主人公の声優を務め、注目を集める。以降の出演作は、実写映画『時をかける少女』『ゼブラーマン〜ゼブラシティの逆襲〜』『土竜の唄』シリーズ、ドラマ10『大奥』(放送中)。劇場版『TOKYO MER~走る緊急救命室~』は4月28日公開予定。
Netflixシリーズ「今際の国のアリス」シーズン2
2020年のシーズン1に続き、植物化した東京で生き残りをかけた難易度の高い“げぇむ”が繰り広げられる。その黒幕にいるのはだれなのか、目的はなんなのか。仲里依紗さんは、その鍵を握る重要人物ミラを演じる。 原作:麻生羽呂「今際の国のアリス」(小学館「少年サンデーコミックス」刊)
監督:佐藤信介
出演:山﨑賢人 土屋太鳳 村上虹郎、三吉彩花、桜田通、朝比奈彩、恒松祐里、渡辺佑太朗、森永悠希、町田啓太、磯村勇斗、井之脇海、 毎熊克哉、さとうほなみ、山本千尋、金子ノブアキ、阿部力 青柳翔、仲里依紗、山下智久
シーズン1~2:Netflix にて独占配信中
撮影/黒沼 諭(aosora) スタイリスト/番場直美 ヘア&メイク/mayu 構成/南 ゆかり
ワンピース¥390,500・ピアス¥158,400・ネックレス(中)¥79,200・ネックレス(下)¥88,000・バングル¥111,100・ブレスレット¥143,000・リング¥68,200・ブーツ¥268,400(ヴェルサーチェ ジャパン〈ヴェルサーチェ〉) その他/スタイリスト私物
問い合わせ先/ヴェルサーチェ ジャパン www.versace.jp