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2025.01.30

「内々定」とは? 知っておくべき内定との違いやリスク、実務対応のポイント

内々定は、企業が正式な内定を出す前に、採用候補者に対して採用の意思を非公式に伝える行為のことです。本記事では、内々定の意味や内定との違い、内々定の取り消しが発生する背景などを解説します。

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「内々定」は、新卒採用や転職市場で頻繁に使われる言葉ですが、その実態や活用方法を正しく理解している人は意外と少ないかもしれません。本記事では、管理職として採用に携わる立場から、内々定の本質や実務での対応方法について深掘りします。これを機に、より戦略的な採用活動を実現してください。

「内々定」とは? 基本の定義と「内定」との違い

内々定は、採用プロセスの中でも重要な節目を示すものです。しかし、その実態や位置づけについては誤解されることも少なくありません。ここでは、内々定の基本的な定義と、内定との違いを丁寧に解説します。

内定

(c) Adobe Stock

内々定の定義とその背景

まずは「内々定」の意味を辞書で確認しましょう。

ない‐ないてい【内内定】
《「内定前の内定」の意》就職を希望する新規学卒者などに対して企業が出す非公式の採用予定通知。
[補説]経団連の倫理憲章で、採用活動は最終学年に入ってから、内定通知は10月1日からと定められているため、4月から9月までは「内内定」となる。
引用:『デジタル大辞泉』(小学館)

内々定とは、企業が正式な内定を出す前に、採用候補者に対して採用の意思を非公式に伝える行為を指します。具体的には、電話やメールなどの形式で伝えられることが一般的です。内々定の文化は、採用市場の競争が激化する中で、優秀な人材を早期に確保する手段として確立されてきました。

この慣習は新卒採用市場に特に根強く、採用選考スケジュールの前倒しが要因となるケースもあります。近年では、企業間で候補者を取り合う動きが加速しているため、内々定の重要性が一層高まっています。

内定との違い|法的拘束力やタイミングの比較

「内定」の意味も辞書で確認しておきましょう。

ない‐てい【内定】
[名](スル)正式の発表の前に内々で定まること。また、その決定。「就任が―する」
引用:『デジタル大辞泉』(小学館)

内定と内々定の最も大きな違いは法的拘束力にあります。裁判例を含め一般的に、内定は一定の法律的効果(解約権留保付労働契約)が認められ、特定の条件下では解消が難しくなります。一方、内々定は正式な契約ではなく、あくまで「採用予定」の意思表示に過ぎません。

なお、労働者(学生)による辞退は、2週間の予告期間を置けば、自由に行うことができます。

参考:『法律用語辞典 第五版』(有斐閣)

新卒と転職における内々定の扱いの違い

新卒採用では、内々定は採用活動の核となる手段です。学生の意思決定を早期に確定させるため、企業は面接直後に内々定を通知することも少なくありません。特に、新卒採用スケジュールが厳格な業界では、内々定を経て内定式へと進む流れが一般化しています。

一方、転職市場では、内々定はあまり重視されません。即戦力を求める企業が多いため、候補者との合意を速やかに得る必要があり、内々定を省略して正式な内定を直接提示するケースが多いでしょう。この違いは、採用活動の目的や候補者の属性に起因しており、企業の採用戦略を練る際に重要なポイントとなります。

内々定で気をつけるポイント|取り消しリスクと対策

内々定は、採用活動における重要なステップですが、取り消しのリスクを内在している点には十分な注意が必要です。ここでは、取り消しが発生する背景やそれを防ぐための実践的な対策について深掘りします。

話す男女

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内々定の取り消しが発生する背景

内々定が取り消される背景には、経営環境や市場動向の変化が関与するケースが多く見られます。例えば、景気後退や業績不振に伴い、採用計画そのものを見直さざるを得ない状況が挙げられます。

また、候補者の選考過程における情報不足や確認不足が原因となることもあるでしょう。具体的には、候補者の提出した書類に不備があった場合や、面接時に確認されなかった要因が後から発覚するケースが含まれます。

これらのリスクは、採用プロセスの初期段階でのミスが後々大きな問題につながる典型例です。管理職としては、採用計画の柔軟性を確保しつつも、精度の高い選考を進める仕組み作りが重要です。

取り消しリスクを減らすためにできること

取り消しリスクを最小化するには、候補者との透明性の高いコミュニケーションが不可欠です。特に、内々定通知時に条件やスケジュールを明確に伝えることが重要。例えば、内々定の条件として、どのような基準が満たされるべきかを具体的に記載した文書を提示することで、候補者の理解を深めることができます。

また、候補者が抱える不安を解消するためのフォローアップ体制も必要です。ある企業では、内々定通知後に専用の窓口を設け、候補者からの質問や不明点に迅速に対応することで、トラブルの回避に成功した事例があります。こうしたフォローにより、候補者が企業に対する信頼を深めると同時に、取り消しリスクも低下させることができるでしょう。

内々定の取り消し事例|判例や実際のケース

過去の判例や実例を見ると、内々定の取り消しが争点となったケースでは、企業側の一方的な決定が問題視されることが少なくありません。例えば、候補者に具体的な理由を提示せず取り消しを行った場合、後に訴訟へ発展したケースが報告されています。

これらの事例から学ぶべきポイントは、取り消しが必要な場合でも、候補者に誠実な対応を取ることの重要性です。具体的には、取り消しに至る経緯を丁寧に説明し、候補者が納得できる形でコミュニケーションを図る必要があります。この姿勢が企業の評判を守る上で極めて重要です。

内々定の辞退や承諾の判断基準

内々定を提示する際、候補者がどのような理由で辞退や承諾を選ぶのか、その背景を把握することは採用成功のカギとなります。管理職として、候補者の意思決定を適切にサポートするための視点と対策を解説していきましょう。

面接

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内々定をとりあえず承諾するのはアリ?

候補者が内々定を「とりあえず承諾する」ケースでは、意思決定の猶予を得たいという心理が背景にあります。これに対して、企業側が候補者の心をつなぎとめるためには、内々定が持つ「本当の価値」を伝える努力が必要です。

例えば、内々定通知時に、候補者が入社後にどのような役割を担い、どのように成長できるかを具体的に描写することで、内々定の重みを認識させることが可能です。一方で、候補者が迷う理由として、他企業との比較や業界への不安が挙げられるため、業界動向や企業の差別化ポイントを丁寧に説明する場を設けることが有効です。

辞退する際の注意点と具体例

候補者が内々定を辞退する場合、その理由は多岐にわたります。例えば、条件面の不一致、他企業との比較結果、家庭や個人的な事情が挙げられます。管理職としては、候補者が辞退を決断する背景を理解し、可能であればその理由を改善する方法を検討する必要があるでしょう。

具体的なアプローチとして、辞退の申し出があった場合に詳細な面談を設定し、候補者の懸念点を明確にすることが効果的です。また、辞退理由に対する誠実な対応が将来的な信頼関係に寄与するケースもあるでしょう。

承諾後に辞退する場合のベストな対処法

候補者が内々定を承諾した後に辞退を申し出る状況は、企業にとっても心理的な衝撃が大きいものです。このような場合、感情的な対応を避け、冷静かつ論理的に状況を整理することが求められます。

例えば、辞退理由が候補者の職場環境への懸念に起因する場合、入社後のサポート体制やキャリアプランを再提示することで、候補者の不安を軽減できる可能性があります。一方で、候補者の意思が明確である場合には、潔く辞退を受け入れることも選択肢の一つです。このような対応が企業の信頼を守り、候補者が別の場面でポジティブな評価を広める可能性を高めます。

最後に

内々定は採用活動の中で柔軟性を持たせる重要な手段ですが、その運用には細心の注意が必要です。管理職としては、候補者との信頼関係を構築しつつ、企業の採用戦略を的確に遂行することが求められます。本記事を参考に、内々定を活用した採用活動を効果的に進めていただければ幸いです。

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