透明性のある契約が重要
契約時に、しっかり透明性がある内容で契約を結ぶことも重要です。例えば、みなし残業がある場合でも、時間数や計算方法などが明かされていないという場合は、どうでしょうか? これでは、一体何時間分のみなし残業なのか、確認のしようがありませんよね。
なお、厚生労働省は、事業主へ固定残業代(みなし残業代)を賃金に含める場合の適切な表示についての呼びかけをしていますよ。みなし残業が適用される方は、契約内容に不透明な箇所がないか、一度チェックしてみるのもよいでしょう。
参考:厚生労働省リーフレット「固定残業代を賃金に含める場合は、適切な表示をお願いします」

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なお、時折、みなし残業と裁量労働制などの他の制度を混同してしまうケースも見られます。裁量労働制とは、かんたんに言うと、働いた時間ではなく、成果などで評価を決める制度のこと。裁量労働制は、仕事の進め方や時間の配分なども含めて、働く人に裁量があり、みなし残業とは異なる制度です。
なお、裁量労働制には、法律上、職種や適用方法などに細かい制限や種類がありますので、誰でも適用されるわけではありません。詳しく知りたい方は、厚生労働省が解説資料を公開していますので、参考にしてみてくださいね。
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みなし残業をうまく活用する方法
みなし残業は、うまく活用できればメリットもある制度です。ここからは、みなし残業の活用をうまくしていくためにおさえておきたいポイントを見ていきましょう。
自分の働き方に合った契約を選ぶ
まず、自分の働き方にあった契約を選ぶことが重要なポイントとなります。例えば、みなし残業の場合でも何時間分なのかによって働き方が大きく変わってくる可能性も。
みなし残業が10時間分なのか、40時間分なのかでは、仕事の量やペースがかなり違いますよね。自分のキャリアプランや健康状態、家庭事情などに合った働き方ができるかは、チェックしたい点です。
トラブルを未然に防ぐための相談窓口
みなし残業は、働く時間やお金のことに直結するので、トラブルも少なくありません。トラブルを未然に防ぐために大切なのは、みなし残業の認識が合っているかの確認です。
もちろん、会社が誤解して運用しているケースや、正しく運用できていないケースもありますが、働く側も自分の認識が合っているのかなどを確認しておくのがおすすめですよ。また、みなし残業についてのトラブルがあった場合は、労働基準監督署への相談も視野に入れてみるのがいいでしょう。
最後に
この記事では、みなし残業の基本知識やメリット、デメリット、違法になるケースや注意点などを解説しました。働く上で重要なキーワードですので、基本をおさえておくと安心ですね。
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執筆
塚原社会保険労務士事務所代表 塚原美彩(つかはら・みさ)
行政機関にて健康保険や厚生年金、労働基準法に関する業務を経験。2016年社会保険労務士資格を取得後、企業の人事労務コンサル、ポジティブ心理学をベースとした研修講師として活動中。趣味は日本酒酒蔵巡り。
事務所ホームページ:塚原社会保険労務士事務所
ライター所属:京都メディアライン
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