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2025.02.12

話題の「106万円の壁」とは? 壁の影響と最新動向、働き方の未来をわかりやすく解説【社労士監修】

106万円の壁は、一定の条件を満たした労働者が社会保険に加入する義務を負う収入ラインです。この制度を理解することで、自分にとって最適な働き方を見つけるための土台が作れるでしょう。この記事では、100万円の壁、103万円の壁、106万円の壁、130万円の壁についても解説いたします。

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「106万円の壁」は、短時間労働者にとって働き方や収入計画を考える上で重要な基準となる制度です。現在(2025年2月)も、この壁の撤廃が議論されており、労働者だけでなく、雇用主や社会全体にも影響を与える変化が進んでいます。

そこで本記事では、制度の基本から最新動向、さらに賢い働き方のヒントまでをわかりやすく解説していきますよ。

106万円の壁とは? 基礎からわかりやすく解説

106万円の壁は、一定の条件を満たした労働者が社会保険に加入する義務を負う収入ラインです。この制度を理解することで、自分にとって最適な働き方を見つけるための土台が作れるでしょう。

年収の壁

(c) Adobe Stock

106万円の壁とは何か? 仕組みを解説

106万円の壁は、従業員51人以上の企業で週20時間以上勤務した場合、106万円の年収を超える労働者が対象となります。これに該当すると、厚生年金や健康保険への加入が義務付けられ、手取り収入から保険料が差し引かれます

しかし、このことによって医療保障や将来の年金が充実するというメリットも得られますよ。この壁は特に、扶養内で働くことを希望する人々にとって、家族の収入計画に影響を与える重要な基準です。

100万円・103万円・130万円の壁と106万円の壁と違いとは?

100万円の壁、103万円の壁、106万円の壁、130万円の壁は、それぞれ異なる基準や目的を持つため、正確な理解が必要です。それぞれが適用される条件や影響する対象が異なるため、自分の状況に応じてこれらの違いを知ることが、最適な働き方を見つける上での手助けとなります。それぞれの壁について、見ていきましょう。

▷100万円の壁

100万円の壁は、住民税課税の壁です。

▷103万円の壁

103万円の壁は、所得税課税の壁です。103万円以下なら税法上の扶養になります。なお、配偶者の場合は、配偶者特別控除により年収150万円程度まで扶養からは外れません。ただし、配偶者(扶養している人)の年収要件があるので、注意が必要です。

▷106万円の壁

106万円の壁では、51人以上の企業に勤めている場合、社会保険加入義務が生じます。一方、50人以下の企業に勤めている場合は、130万円まで社会保険の加入義務はありません。

▷130万円の壁

130万円の壁は、社会保険上の扶養範囲に関する基準です。この壁を超えると、配偶者や扶養者が受けている社会保険の被扶養者資格を失うため、扶養内での医療保障がなくなります。

そのため、壁を超えた場合、配偶者の保険から外れ、自身で健康保険料や厚生年金を負担することになります。特にフルタイム勤務や高時給の短時間労働者に影響が大きい壁といえます。

106万円の壁が与える影響と最新動向

現在(2025年2月)、106万円の壁は、労働者や雇用主だけでなく、社会全体の仕組みにも影響を与える重要な議題となっています。この壁を巡る議論と改正の背景を押さえておくことが、今後の選択に役立ちます。

立ちはだかる壁

(c) Adobe Stock

なぜ106万円の壁が議論されているのか?

106万円の壁が注目される背景には、最低賃金の上昇と高齢化社会に伴う社会保障制度の課題があります。最低賃金が引き上げられる中、週20時間の労働で106万円を超えるケースが増え、多くの労働者が労働時間の調整を余儀なくされているのが現状です。

こうしたことが経済活動の制約となり、労働市場の効率性を損ねると指摘されています。さらに、社会保障の安定化を目指す中で、適用範囲を拡大し、公平な負担を求める動きが強まっていますよ。

撤廃の議論が進む106万円の壁|いつから変わる?

法改正により、2026年10月から106万円の壁の年収要件が撤廃され、2027年10月には企業規模要件も廃止される予定です。これにより、これまで対象外だった短時間労働者や小規模企業の労働者も社会保険の適用を受けることになります。

この改正により、就業調整を行なう基準となっていた賃金の要件がなくなることで、年収を気にせず働けるようになることが期待されています。

改正に伴うメリット・デメリット|働き方はどう変わる?

106万円の壁の改正により、多くの短時間労働者が社会保険の適用対象となる一方で、働き方に大きな変化が求められることが予想されます。以下では、具体的なメリットとデメリットを解説し、それが働き方にどのような影響を与えるかを説明します。


▷メリット|保障の充実と将来の安心感

改正による大きなメリットは、社会保険に加入することで得られる保障の拡充です。厚生年金に加入することで、老後の年金額が国民年金だけの場合と比べて増加します。特に長期的な視点で見ると、年金の受給額が大幅に変わる可能性があり、老後の生活設計がしやすくなります。

さらに、健康保険への加入により、病気やケガをした場合の医療費負担が軽減され、扶養内では利用できない保障も活用できるようになります。例えば、高額療養費制度の適用範囲が広がることで、万が一の医療費負担を抑えることが可能です。

▷デメリット|短期的な手取り減少と新たな負担

一方で、保険料の負担が増加することで、短期的には手取り収入が減少する可能性があります。特に収入が壁を少し超える程度の労働者にとって、支払う保険料が収入の増加分を上回る場合があり、これが「働き損」と感じられる主な原因となってしまうでしょう。

また、企業側には雇用コストの増加というデメリットがあります。特に中小企業では、社会保険料の負担増が採算に影響を及ぼし、雇用形態の見直しや人員削減が行われる可能性も考えられるでしょう。このような環境変化により、短時間労働者の働き方が限定されるリスクも懸念されています。

計算する手

(c) Adobe Stock

106万円の壁に対応する働き方のヒント

現在、制度改正が進む中で、自分にとって最も有利な働き方を見つけることが求められています。壁を意識しすぎず、長期的な視点で選択肢を考えることがポイントです。

「損しない働き方」を見つける方法

壁を超えない働き方を選ぶ場合、収入と労働時間を厳密に管理することが必要です。例えば、週20時間未満の勤務に調整することで、社会保険の加入を回避できます。一方、壁を超えて働く場合は、保険料の負担を受け入れる代わりに、厚生年金や健康保険のメリットを最大限に活用することで、将来の安心感を得られますね。

交通費や労働時間の計算で壁を意識しすぎない工夫

交通費が収入に含まれる場合、壁の影響が予想以上に大きくなることがあります。このような場合、働き方そのものを見直すのも一つの手です。例えば、時給が高い仕事にシフトすることで、短時間で効率よく収入を得ることが可能です。また、雇用主と相談して柔軟な働き方を模索することも解決策になります。

最後に

106万円の壁は、働き方や収入計画に大きな影響を与える重要な制度です。特に、現在(2025年2月)進行中の改正議論に注目することで、将来の選択肢を広げることができます。本記事を参考に、自分に合った働き方を考え、長期的なキャリア形成と生活の安定に役立ててください。


TOP画像/(c) Adobe Stock

画像ALT

監修

社会保険労務士 小田啓子(おだ・けいこ)さん

大学卒業後、外食チェーン本部総務部および建設コンサルタント企業の管理部を経て、2022年に「小田社会保険労務士事務所」を開業。現在人事・労務コンサルタントとして企業のサポートをする傍ら、「年金とライフプランの相談」や「ハラスメント研修」などを実施し、「働く人を支援する社労士」として活動中。趣味は、美術鑑賞。
ライター所属:京都メディアライン

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