mailoveのvenus maiです。今回は、三度の飯より漫画が好き!と思っているわたくしの、秋の夜長におすすめな漫画をご紹介いたします。
『金の国、水の国』で2017年の「このマンガがすごい!」オンナ編第1位に輝き、今もっとも新作を注目されている作家のひとりである岩本ナオさんの最新作。
『マロニエ王国の七人の騎士』。
公式ページからの紹介文を引用すると
マロニエ王国の女将軍・バリバラには七人の息子がいた。
それぞれの名前は…
「眠くない」「博愛」「暑がりや」「寒がりや」「獣使い」「剣自慢」「ハラペコ 」。
彼らの大義は
「いつかかっこよく我が国のお姫様を助けること!!」
そんな彼らに与えられた任務とは…!?
『金の国 水の国』の岩本ナオが贈る、中世騎士ものがたり。
読んで字のごとくな、ファンタジックな騎士ものがたりなのですが、その緻密な世界観とミステリアスなストーリー展開は完全に大人仕様。
『町でうわさの天狗の子』『雨無村役場産業課兼観光係』など、岩本さんの描く作品にはいつも、世界に対してどこか疎外感を感じているキャクターが出てきます。求められる理想像と違う自分を恥ずかしく思ったり、みんなと違う能力に悩んだり。体型、性格、秘密、時には才能や美貌ですらコンプレックスに感じていて。
つまりはこれって、誰でも抱えているような思いであり、大人になるとその思いに蓋をして、無理矢理にでもなかったことにしてしまうような、自分と他者との“ずれ”。この小さな、でもぬぐいきれない孤独をとても丁寧に、そしてセンスよくユーモラスにすくい上げているから、多くの人の共感を生むのではないかと思います。クスッと笑えるし、ほろっとするし、切ないし。
今回の作品は、その世界との“ずれ”、人との違いが、そのままキャラクターの名前になっているみたいで、それぞれのキャラクターがどのように他者と馴染んでいくか…今後の展開に期待!
個人的に、つねづね、よい漫画の基本条件は「キャラ立ち」だと思っていますが、今回は名前からしても一発で特徴がわかりますよね。このふざけた感じのゆる〜い名前も、岩本作品らしくて好きです。それぞれに違う魅力を持った7名のイケメン。謎に満ちた7つの国。物語の序盤から伏線がたくさん張られていて、どう回収されるのかも楽しみ。
いかにも等身大の30代を描きました!という漫画より、不思議とこんな寓話的物語のほうが、自分の心情と一致する感じがするんですよね。「普通じゃなくても構わない。それぞれの人生にそれぞれの物語があって、いびつな部分も含めて愛おしい」。そんな気持ちにさせてくれます。
ゆる〜いファンタジーのようでいて、読むと不思議とほっとする大人の女性のおクスリみたいな漫画。続刊を首を長〜くして待っています!