Domani

働く40代は、明日も楽しい!

 

LIFESTYLE 季節を楽しむ

2025.10.26

『源氏物語』にも登場!「亥の子」の日について意味・由来・餅の文化を解説

「亥の子(いのこ)」をご存じですか? 旧暦十月の亥の日に健康や子孫繁栄を願って行われてきた、日本ならではの伝統行事です。『源氏物語』にも登場する「亥の子餅」や、地域ごとに歌い継がれる「亥の子唄」など、今に息づく文化が数多く残っています。この記事では、亥の子の意味・由来・餅や祭りの文化をわかりやすく解説します。

Tags:

Summary

  • 「亥の子」は旧暦10月の最初の亥の日に行う行事。2025年は11月2日(日)
  • 平安時代から続く行事で『源氏物語』にも登場する。
  • 新穀で作る「亥の子餅」は健康や子孫繁栄を願う縁起物。

「亥の子」という言葉を知っていますか? なんとなく季節行事のようでいて、詳しいことは知らない…、という人が多いかもしれませんね。秋から冬にかけて登場する「亥の子餅」や、地域の祭りなど、日本ならではの文化が詰まっています。

そんな「亥の子」の世界を分かりやすく見ていきましょう。

「亥の子」って何?|意味と背景を知ることで見えてくる文化

「亥の子」という言葉の意味や由来を知ると、日本の秋が奥深く感じられますよ。

「亥の子」とはどういう意味の言葉なの?

「亥の子(いのこ)」とは、旧暦十月の最初の「亥の日」を指す言葉です。現在の暦ではおおよそ11月初旬にあたります。亥の月の最初の亥の日を指すので、2025年は11月2日(日)が亥の日です。

「亥の日」は、病気を遠ざけ、家族の健康や子孫の繁栄を願う行事として知られてきました。

西日本ではこの日を「亥の子の祝(いわい)」とし、大豆・小豆・栗などの新穀で作った餅(亥の子餅)を食べる習わしがあります。

また、子どもたちが縄でくくった石を使って地面を叩きながら回る「亥の子突(いのこつき)」も各地で行われてきました。

この風習の起源は中国の宮中行事にさかのぼり、日本では平安時代から営まれていたとされています。やがて行事や、餅そのものまでを含めて、「亥の子」という言葉を使うようになりました。

参考:『デジタル大辞泉』、『日本の歳時記』、『全文全訳古語辞典』(小学館)

粟や小豆
(c) Adobe Stock

『源氏物語』に登場する「亥の子餅」の背景

「亥の子餅(いのこもち)」は、病魔退散や無病息災を願って亥の子の日に食べられる縁起物の餅です。

この餅は『源氏物語』葵の中にも「その夜さり、ゐのこもちゐまゐらせたり」というように描かれています。平安時代の文学作品に登場することからも、当時の人々にとって大切な年中行事の一つであったことがわかりますね。

参考:『デジタル大辞泉』、『日本の歳時記』、『日本国語大辞典』(小学館)

「亥の子」は旧暦十月の亥の日を指し、健康や繁栄を願う風習。

地域や家庭に息づく「亥の子」の行事や祭り

「亥の子」は、今でも一部の土地で、子どもたちによって親しまれています。

「亥の子祭り」とは?|地域で受け継がれる風習

「亥の子」は、一部の地域で行事として受け継がれています。西日本の農村部では、収穫を祝う行事として、「亥の子祭り」が広く行われてきました。

「亥の子祭り」では、旧暦十月の亥の日に、新穀の餅を食べるとともに、子どもたちがわら束や石を手に地面を打ちながら家々を回る風習があります。

こうした地域の祭りは、中国・四国地方をはじめとする地域によって特色があり、歌の内容や打つ動作、道具の形などに地域差が見られます。

収穫への感謝や災いを払うこの祭りでは、子どもたちが主役となり、地域の人々とともに季節の節目を祝う貴重な機会となっていますよ。

農村
(c) Adobe Stock

伝承される「亥の子唄」|今も残る子どもたちの声

地域ごとに歌詞は異なりますが、石を地面に打ちつける動作とともに節をつけて歌われる「亥の子唄」は、古くからの伝承を今に伝えるものです。

この「亥の子唄」には、病気や災厄を払い、土地の実りを願う思いが込められています。子どもたちの元気な声が響く中、地域の大人たちも耳を傾けながら見守る行事として、古くから現代まで受け継がれてきました。

参考:『デジタル大辞泉』、『日本の歳時記』(ともに小学館)

和菓子としての「亥の子餅」

11月ごろになると、和菓子店で目にする「亥の子餅」には、昔から続く祈りの気持ちが込められています。

「亥の子餅」の特徴と込められた意味

「亥の子餅」は、旧暦十月の亥の日に向けて作る和菓子です。大豆・小豆・栗などの新穀を用い、収穫の恵みへの感謝と、無病息災の願いが込められていますよ。

見た目は、黒・白・赤といった色の餅を重ねて作るものや、猪の子どもの形を模したものなどがあります。特に猪の姿に似せたものは人気で、「病魔を退ける力をもつ動物」とされる猪にあやかりたい、という願いも込められているそうです。

「亥の子餅」を贈る場面のヒント

「亥の子餅」は、和菓子店で期間限定の商品として販売されることもあります。季節を感じられる贈り物として選ばれる場面も多く、贈答の際にはぜひ、「この亥の子餅は病気を退け、家族の健康を願う意味があります」と一言添えてみましょう。昔ながらの習わしとして、趣がありますね。

出典:『日本の歳時記』、『小学館 全文全訳古語辞典』(ともに小学館)

亥の子餅
(c) Adobe Stock

「亥の子餅」は新穀で作る縁起餅で、無病息災や繁栄を祈る意味がある。

最後に

POINT

  • 「亥の子」は旧暦十月の最初の亥の日を指す
  • 平安期から続く行事で『源氏物語』にも描かれている
  • 「亥の子餅」は新穀を使い、病魔退散や健康を願う縁起物

「亥の子」という行事の中には、祈りだけでなく、地域とのつながりも込められています。言葉の意味を知ることで、より特別なものに感じられますね。誰かに話したくなる風習を、ぜひ暮らしの中に取り入れてくださいね。

TOP・アイキャッチ・吹き出し画像/(c) Adobe Stock

TEXT

Domani編集部

Domaniは1997年に小学館から創刊された30代・40代キャリア女性に向けたファッション雑誌。タイトルはイタリア語で「明日」を意味し、同じくイタリア語で「今日」を表す姉妹誌『Oggi』とともに働く女性を応援するコンテンツを発信している。現在 Domaniはデジタルメディアに特化し、「働くママ」に向けたファッション&ビューティをWEBサイトとSNSで展開。働く自分、家族と過ごす自分、その境目がないほどに忙しい毎日を送るワーキングマザーたちが、効率良くおしゃれや美容を楽しみ、子供との時間をハッピーに過ごすための多様な情報を、発信力のある個性豊かな人気ママモデルや読者モデル、ファッション感度の高いエディターを通して発信中。
https://domani.shogakukan.co.jp/

あわせて読みたい

Read Moreおすすめの関連記事

スマートフォンプレビュー

【登録無料】
Domaniメルマガ会員募集中

管理職世代の通勤コーデ、明日は何を着る?子供の受験や習い事、
どうする?人気モデル、ハイセンスなDomani読者モデル、教育のプロたちから
発信されるタイムリーなテーマをピックアップしてお届けします。
プレゼント企画やイベント参加のスペシャルなお知らせも!