Summary
- 「鎌をかける」は、相手の本音を探るために、言葉巧みに問いかける行為を意味。
- 由来は「火打ち鎌」や「刈り取る鎌」にあり、本音を「引き出す」動作をたとえた表現。
- ビジネスや恋愛などで使われるが、使い方を誤ると不信感を招くリスクもある。
Contents
会話の中で相手の「本音」を知りたいとき。さりげなく探りを入れる言い回しとして使われるのが、「鎌をかける」という言葉。ビジネスシーンや日常のコミュニケーションで耳にすることはあっても、「具体的にはどんな意味?」「『鎌』ってどういうこと?」と疑問に思う人も多いでしょう。
そこで、この記事では、辞書の情報を元に、意味・由来を踏まえて「鎌をかける」の使い方や言い換え表現について解説していきます。
「鎌をかける」の意味と成り立ちを理解する
相手の本音や考えを引き出したいときに使われる、「鎌をかける」。語源を知ることで、意味の理解が深まるものです。ここでは、「鎌をかける」の意味と由来を見ていきましょう。
「鎌をかける」の意味とは?
「鎌をかける」とは、相手に本当のことを白状させるために、それとなく問いかけることを指します。単なる質問ではなく、相手の反応を見ながら本音を引き出そうとするのが目的です。
探る・試すという要素を含みつつも、疑いではなく状況を見極めるための働きかけといえます。
辞書では次のように説明されていますよ。
鎌(かま)を掛(か)・ける
相手に本当のことを白状させるために、それとなく言葉巧みに問いかける。「―・けて本心を聞き出す」
引用:『デジタル大辞泉』(小学館)

語源は?
「鎌をかける」の「鎌」は火打ち石と打ち合わせて火を起こす道具である「火打ち鎌」を指すとされます。この火打ち鎌で「火種を引き出す」動作を、相手の本音を引き出すことになぞらえたのが語源の一説です。
この他、鎌で対象に引っ掛けて刈り取る動作になぞらえ、「言葉を引っ掛けて真意をつかむ」という意味へと発展したという説もあります。
二つの説はいずれも「相手の内側にあるものを引き出す」イメージに基づいているといえますね。
参考:imidas(集英社)
「鎌をかける」とは相手の本音を巧みに引き出すこと。
「鎌をかける」の使い方を例文でチェック
意味と由来がわかったところで、実際の使い方を例文とともに確認していきましょう。
「昨日の会議、早めに切り上がったみたいだね?」と鎌をかけてみた。
相手が何かを知っていそうだと感じたとき、軽く探りを入れるための「遠回しな質問」。自分は詳しく知らないふりをしつつ、相手の反応を見る使い方です。
上司は私の反応を見るために、「この企画、本当に自信ある?」と鎌をかけてきた。
立場が上の人が、部下の本心や覚悟を引き出すために使うこともあります。「試すような質問」というニュアンスがより強く表れる例です。
彼がプレゼントの袋を隠していたので、「何かいいことあった?」と鎌をかけてみた。
相手が話したがっているかもしれない内容を、やんわり引き出すときの表現。「あえて気づかないふり」をしながら反応を確かめるニュアンスが感じられます。

ビジネスや人間関係で「鎌をかける」ときの注意点
探る意図があるからこそ、使い方を誤ると相手に不信感を与えかねないのが「鎌をかける」行為。相手の本音を引き出すためのテクニックではありますが、場面や相手との関係性を慎重に選ぶ必要があります。
ここでは、「鎌をかける」行為が効果的に働くケースと使用時に注意したいポイントを整理して解説します。
「鎌をかける」ことが効果的な場面とは?
「相手が情報を持っていそうだが、自分からは言い出してこない」「こちらの意図をあえて伝えず、反応を見たい」といった場面で「鎌をかける」行為は役に立ちます。
例えば、仕事でプロジェクトの進捗に不安を感じたときや、相手が「何か隠している気がする」と感じたとき、本心を引き出す糸口として機能することがあります。ただし、あくまでも「軽い探り」として行うのが前提です。
上手な「鎌をかける」方法の具体例
自分が「少しだけ知っている」ように見せる
例:「〇〇さんから、進捗で少し気になる話を聞いたんだけど…」
→ 相手は「どこまで共有されているのか」を意識しつつも、詳細を話しやすくなる。
軽い推測の形にして反応を見る
例:「もしかして、まだ調整中だったりする?」
→ 相手が否定・肯定する流れで、状況を掴みやすくなる。


