ハグで期待できる効果とは
ソーシャルディスタンスを保たなくてはならない今の生活。その不便さだけでなく、人との距離が離れることで、なんとなく不安感を感じている人も多いのでは。せめて、一緒に暮らす家族やパートナーと、また今は難しくても安心できる状況になったら、ハグでコミュニケーションを。そんなハグの効果を、総ざらいしてみましょう。
リラックスやストレス軽減
神経伝達物質の一種「β(ベータ)エンドルフィン」と呼ばれる脳内物質は、モルヒネの数倍にあたる鎮痛作用があります。「幸福ホルモン」「脳内麻薬」とも呼ばれるのを聞くこともありますが、気分が高揚したり幸福感が得られたりする作用もある物質として知られます。
βエンドルフィンが分泌されると、リラックス効果やストレスを軽減する効果が得られるとされています。
マラソンなどで苦しい状態を乗り越えた後に得られる「ランナーズハイ」も、βエンドルフィンの影響によるものです。また、ハグなど信頼できる相手との接触や、おいしいものを食べるなどの欲求が満たされて心地よく感じるときに、βエンドルフィンが分泌されると言われています。
参照:β-エンドルフィン | e-ヘルスネット(厚生労働省)
幸福感が増す
βエンドルフィンとは別に、「オキシトシン」と呼ばれるホルモンも脳内で分泌されています。オキシトシンも、「幸せホルモン」「愛情ホルモン」などの別名を持つ物質です。
オキシトシンが分泌されると、人は幸福感や安心感に包まれます。相手との間に愛情を感じさせ、愛による心のつながりを感じさせてくれます。
現代社会では、愛情や絆といった感情が希薄になっているとされます。現代社会の中で生活する人々にとってオキシトシンの分泌は、人々の社会的行動を高めてくれるメリットがあり、ますます必要とされているといえます。
参照:「タッチケアで絆を育む」…安らぎの物質オキシトシン|公益財団法人 母子健康協会
信頼関係が深まる
ハグをすることで、精神的に良い影響を与えるだけでなく、お互いの信頼関係が深まるという、人としてのつながりにも好影響を及ぼします。
ハグをしたくなったり、ハグをしてしまったりするということは、相手に愛情を持っていることが理由と言えます。相手はハグをしてきた人からの愛情を感じ取ることができます。
ハグを通じて相手からの信頼も得られ、相手からの信頼感は「大事にされている」という安心感へとつながります。
同時にハグをする側も「自分のことを信頼してほしい」という気持ちを相手に伝えられます。お互いの信頼関係をより深められる効果は大きいといえます。
ハグと相手について
親子や家族間で行うハグの効果など、ハグと相手について解説します。ハグする人がいない場合にできることも確認しておきましょう。
子どもには安心感を
母親が子どもに対してハグをすることは、特に大きな効果があるとされています。母親からハグされた子どもは安心感に包まれ、リラックスした精神状態になります。
ハグが子どもの成長に良い影響を与えることもポイントです。幼少期から母親に多くのハグを受けて育った子どもは、問題行動を起こしにくい上、情緒豊かな大人に育つ効果が期待できます。
ハグには良好な信頼関係を築ける効果があることから、子ども以外の家族とも積極的にハグをする習慣を持つと◎。家庭が幸福感に包まれ、円満な夫婦関係にもつながります。友人や恋人と行うハグも互いの信頼関係をより強くできます。
また、街頭に立ち「フリーハグ(FREE HUGS)」という看板を掲げて他人同士でハグを行うのは、近年世界各地で広がった活動です。