スピリチュアルビューティコンサルタントmailoveのvenus maiです。
「いい靴は、いい場所に連れて行ってくれる」。これは、ファッションエディターとしてバリバリ仕事をしていた頃に、何度となく聞いたお話。スタイリストさんも、先輩エディターも、PRの人も、女性たちはこぞってこの同じセリフを言っていました。
それぐらい、靴って特別な存在。私自身、世にファッションアイテムは数多くあれど、洋服よりも、バッグよりも、ジュエリーよりも心を捉えて離さないのは「靴」です。特に、ハイヒールを愛してやみません。靴すべてが好き、というよりも、ヒールが好き。実際に「歩く」という意味においては、ある意味不必要なものなのだけれど、その美を追求したからこその意味のなさが、たまらないのです。つまり、ヒールの靴って、それだけでとてもファンタジックでロマンティックな存在。
シンデレラのガラスの靴、オズの魔法使いのドロシーの銀の靴、アンデルセンの赤い靴は怖い話だったけれど、おとぎ話の中でも靴にはいつも、特別な力があるとされていますよね。
「いい靴は、いい場所に連れていってくれる」。そして「いい靴は、女性を最高に美しくセクシーにしてくれる」。足元から運気も自信も運んできてくれる、私たちの相棒。
そんな”いい靴”の中でも、もっとも憧れられている一つ「マノロ・ブラニク」のドキュメンタリー映画に行ってまいりました。
20代にSATCにどハマりした世代としては、”マノロ・ブラニク”にはキャリーのイメージとともに特別な憧れが。でもそのデザイナーの人となりは意外と知らない。なので、世界観に浸れるであろうこの映画を楽しみにしていました。
とにかく、デザイナーご本人も映画も、とってもキュートでチャーミング!
こだわりが人一倍強くて、友人はとても多くてフレンドリーだけど人と過ごすのは好きじゃなくて、今でも靴のサンプルはすべて自分でつくっていて、皮肉屋さんで、パープルやグリーンの美しいスーツを着て、美しい庭園の中で暮らしている。恋愛なんて興味がなくて、誰かと暮らすなんて考えるだけで無理!
どこか現実味のない、まるでおとぎ話の中で生きているかのような、不思議な人物だったマノロ・ブラニク氏。だからこそ、あの夢のように美しい靴をつくりあげることができるのかも。
デザイナー本人と40年来の友人という監督は、ファッションエディター&イラストレーターでもあるそうでセンス抜群! 音楽も映像も軽快で洒脱、ところどころ出てくるイラストもおしゃれで、映画自体がカラフルな絵本のようです。
リアーナや、アナ・ウィンター、パロマ・ピカソなど豪華セレブリティがインタビューで出ているのも楽しいし、故デヴィッド・ボウイの妻であるスーパーモデル・イマンの、60歳オーバーとは思えない美しさにびっくり! ルパート・エヴェレットがイギリス人らしいウィットたっぷりに語る赤裸々話も興味深かったです。
思えば、私自身が初めて購入した”マノロ・ブラニク”のパンプスは、黒の表革の超シンプルな9センチヒール。基本ディテールがあるものが好きで、靴にもカラフルさやエナメル素材を選びがちな私にしては、ものすごく珍しい選択でした。でも、その超ベーシックでも選びたくなるぐらい、置いてあるだけでなんとも言えない品格とエレガンスがあった。ちょうど、30歳になる手前ぐらいの時期で、今思えばあの靴を思いきって手に入れたことが、「大人になる」という自分の意識の表れだったのかもしれない。以来、10年近くずっと愛用しています。
↑映画館に飾られていた日本限定シューズ。
今でもすべてが手作業で仕上げられているという、”マノロ・ブラニク”の靴。醸し出されるその優雅さと品は、デザイナー自身のそれから来ているんだなと、はっきりとわかる映画。
自分のロマンと美学とともに生きる幸福を教えてくれます。目に映るものすべてがため息が出るほどに美しくて、まさに目のお正月をしました(笑)。靴好きでなくても、うっとりすること間違いなし!
2018年、よい映画初めになりました!
『マノロ・ブラニク トカゲに靴を作った少年』@渋谷 ル・シネマ
venus mai
元ファッションエディター。同じ“マイ”という名前のneffy maiと共に、スピリチュアルビューティコンサルタント“mailove”として活動。東京大学文学部美学芸術学科を卒業。アートやカルチャーに造詣が深く、ライフスタイルにも独特の美意識を発揮する。1979年生まれ・いて座・AB型。Domaniウェブサイトにて『ふたりの女の官能カラーパレット12か月』『ふたりの魔女の恋愛タロットリーディング』なども担当。
mailoveHP:http://www.mailove.jp