ビジネスクラスを担当したくなかった新人時代
私が勤めていた航空会社は、業界でも珍しく訓練生にもビジネスクラスを担当させるというコワイモノ知らず (!) の制度がありました。
ビジネスクラスとエコノミークラスでは、座席から食事からサービスから何もかもが違うので、新人にとっては非常にタフ。もちろん使う中国語もレベルアップします。
そんなビジネスクラスのサービスの中でもとりわけチャレンジングなのが、オーダー取り。ドリンクの種類は、エコノミークラスの3倍以上もあります。
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香檳 (シャンビン) と香片 (シャンピェン)、似ているけれど間違えると…
そんなある日、台北から東京への朝一フライトで、同期のKMがてんてこまいになりながらビジネスクラスのオーダーを取り終えギャレーに戻ってくると、先輩たちはすでに急ピッチでドリンクを準備中。(KMについては前回のエピソードを)
この日はまだ朝の8:30だっていうのにシャンパンのオーダー多数。KMも慌ててエプロンに着替え、なみなみと注がれたシャンパングラスたちをトレイに載せ、そろりそろりと配り始めました。
KM:「先生 讓您久等了 您的香檳 請慢用」(お待たせいたしました、シャンパンです。ごゆっくりどうぞ)
するとお客さんがKMにひと言。
台湾人の乗客:「小姐 我沒有點這個耶 我要的是香片」(あの、これ頼んでないです。頼んだのはジャスミン茶です)
そう、KMがシャンパンだと思っていたのは実はジャスミン茶だったのです。
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シャンパン=香檳 (Xiāngbīn)
ジャスミン茶=香片 (Xiāngpiàn)
飛行時間も限られている満席フライトでドリンクをつくり間違える (しかもひとつ以上!) というのは、先輩方のゴキゲンを損ねること間違いなしの案件。
これに懲りたKMはそれから15年経った今でも、ジャスミン茶らしきオーダーを受けるたびに「お茶ですか?お酒ですか?」とダブルチェックをしています。
【続】
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美容ライター
有田 千幸
外資系航空会社のCA、建築設計事務所の秘書・広報を経て美容ライターに。ニュージーランド・台湾在住経験がある日・英・中の トリリンガル。環境を意識したシンプルな暮らしを心がけている。プライベートでは一児の母。ワインエキスパート。薬膳コーディネーター。