中国語づくめの日々に頭はパンク状態
入社するときに「中国語は訓練中に勉強するから大丈夫よ」とはいわれてはいたものの、社会人になってからの新しい言語の習得は思った以上に大変でした。
離着陸時や緊急脱出時に乗客に出す指示やサービス会話を毎日呪文のようにブツブツ…。訓練の最後のほうはついには寝言までもが中国語になっていました。ただその甲斐あって、3か月間の訓練を終えたころにはなんとか中国語っぽい言葉を発せるようになっていました。
やっと訓練生バッジがとれ、一端の客室乗務員になれたある日のこと。
またもや同期のKMが後々まで語り継がれることになる「クロワッサン事件」を起こしたのです。(前回の話はこちらから)
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咳嗽 (カーソウ) と可頌 (カーソン)、似ているけれど間違えると…
いつものように食事のサービスをしていると、台湾人のお客さんに声をかけられたKM。
台湾人の乗客:「小姐 我在咳嗽 (カーソウ)、機上有藥嗎?」(すいません、咳が出るんですけど、機内に薬ってありますか?)
咳嗽 (カーソウ) は機内ではあまり聞かない応用単語なのですが、実はKM、運よく先日のパリ便でもお客さんに同じことを聞かれていたのでこの日は迷うことなく対応。
KM:「不好意思 沒有可頌 (カーソン)。一般的麵包可以嗎?」(すみません、クロワッサンはないんです。普通のパンでもいいですか?」
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咳=咳嗽 (Késòu)
クロワッサン=可頌 (Kěsòng)
同期の中でもとりわけしくじり回数が多いKM、CA歴が15年を超えた今でも伝説をつくり続けています。
【続】
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美容ライター
有田 千幸
外資系航空会社のCA、建築設計事務所の秘書・広報を経て美容ライターに。ニュージーランド・台湾在住経験がある日・英・中の トリリンガル。環境を意識したシンプルな暮らしを心がけている。プライベートでは一児の母。ワインエキスパート。薬膳コーディネーター。