取りつく「暇」?「島」? 正しいのはどっち? 語源から考えてみよう
”頼りとしてすがるところ„や”取り付き所„がなくて困ったときなどに使われる慣用句で、【取り付く○○もない】という言葉があります。
普段の会話で頻繁に使うことはあまりないかもしれませんが、この○○の中に入る言葉、正しく使えていますか?
文化庁が発表した平成24年度「国語に関する世論調査」では、以下のような結果が!
・「取り付く暇がない」を使う人が41.6パーセント
・「取り付く島がない」を使う人が47.8パーセント
「暇」を使う人が約4割、「島」を使う人が約5割となり、「取り付く島がない」の方が若干上回る結果に。とはいえ、両者はほぼ同数。一体どちらが正しいのでしょうか?
とある一説によると、この慣用句の語源には「航海」が関係しています。
嵐の中、航海中の船が停泊できるところを探しています。海の上にいる船乗りとしては、一刻も早く陸にたどり着きたい状況です。しかし、周りには上陸できる場所がありません。荒れている海上から陸地へと非難したいときに上陸できる場所が見当たらないことから、”頼りとしてすがるところ„がないとして、この慣用句が生まれたそうです。
と考えると、「暇」と「島」、どちらが正しいか答えが出てきそうですね!
分かりましたでしょうか??
正解は…
取り付く【島】がない
でした!
【取り付く島:とりつくしま】
頼りとしてすがるところ。取り付き所。多く、あとに打消しの表現を伴って用いる。
「つっけんどんで―もない」
〔補説〕
文化庁が発表した平成24年度「国語に関する世論調査」では、本来の言い方とされる「取り付く島がない」を使う人が47.8パーセント、本来の言い方ではない「取り付く暇がない」を使う人が41.6パーセントという結果が出ている。
~この慣用句知ってますか?気まぐれ慣用句紹介~
その1:手の舞い足の踏む所を知らず
【手の舞い足の踏む所を知らず:てのまいあしのふむところをしらず】
《「礼記」楽記から》
1.非常に喜んで思わず小躍りするさま。有頂天になるようすにいう。
「劇的な逆転勝ちに―喜ぶ」
2.あわてふためくさま。
その2:短を舎て長を取る
【短を舎て長を取る:たんをすてちょうをえる】
《「漢書」芸文志から》
欠点や短所を除いて、美点や長所を参考とし、取り入れる。
その3:高きに登るは必ず低きよりす
【高きに登るは必ず低きよりす:たかきにのぼるはかならずひくきよりす】
《「書経」太甲下から》
物事を進めるには順序があり、まず手近なところから始めなければならないことのたとえ。
(引用すべて〈小学館 デジタル大辞泉〉より)
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