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物に当たるほど怒るには訳がある
子どもだってイライラしたり、ストレスを溜めたりするのはわかります。泣く子もいれば、叫ぶ子も、中には逆にダンマリを決める子もいるかもしれません。中でも多いのは、物に当たる子ではないでしょうか。
鉛筆を噛んだり、定規を折ってみたり、ドアを力一杯閉める…いろんなパターンがあるかもしれませんが、親としてはこれがずっと続くかと思うと不安になりますよね。スクールカウンセラーとしても活動している、臨床心理士・吉田美智子さんに「物に当たる原因」をお聞きしました。
イライラ・怒りの原因は2つ
「まず、イライラや怒りを言葉にできず、物に当たる行為は、決して良いことではありませんが、大人でもあり得ることなので、子どもだけでなく、大人の皆さんも参考にしてみてください」
<1>急に強い怒りに襲われたから
「人は急に強い怒りに襲われたら、自然とその怒りをリリースしようとするものです。なので、反応としては自然なことなんですね。ただ、怒りを感じるかどうか、どのくらいの強さと瞬発力で感じるかは個人差があります」
<2>我慢続きで感情が溢れたから
「我慢し続けていると気持ちが溢れてしまい、結果、些細なことでも怒りを感じ、表に出してしまうことがあります。これも、自然な反応といえます」
子どもがどちらの状態で怒りをぶつけているのか見極めた上で、以下のような対処法が考えられるそう。
「叱る」でなく「一緒に考える」余裕を持って!
「<1>の場合、強い怒りを感じた事柄があるときは、まずは物に当たったことを責めるのではなく、何に怒りを感じたのか一緒に分析してみましょう。分析してみると、〝ムカつく〟意外にも〝悲しみ〟や〝苦しさ〟が隠れている場合も。子どもがどんな感情のときに、一番ショックを受けるのか理解できるようになります。
また、特定の事柄がなく衝動的に怒りやすい子どもの場合は、その性質を一旦受け入れます。そして、怒りを安心安全に表出する環境設定・約束を作ってみましょう。例えば、怒りを感じたらその場を離れる(どこに行くか決めておく)。叩いてもいいもの、方法を決めておく(家の中ならクッションなど)。こうすることで、手当たり次第、怒りをぶちまけることがなくなり、ルール化により少し冷静さを取り戻す時間も稼げます。
<2>の場合は、なかなか表面に出てくることがないので、出てきたときがチャンスです。【溜め込み続けた我慢】を焦点に話を深掘りしてみてください。家族の事情で我慢させていないか、塾や習い事がストレスになっていないか、子どもが親に遠慮せずに伝えられるよう、ゆったりと時間を確保してみてください。何かあれば『我慢させてしまって、気づかなくてごめんね』と伝えた上で、環境改善してくださいね。
物に当たったことを、力や恐怖で押さえつけると、その場は我慢するが、根本解決にならず悪化します。また〝ダメな子〟と決めつける行為はNGです。問題行動は、子どもからのSOSサインです。大切な我が子が心穏やかに過ごせるよう、手を差し伸べてください」
取材・文/福島孝代
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臨床心理士
吉田美智子
東京・青山のカウンセリングルーム「はこにわサロン東京」主宰。自分らく生きる、働く、子育てするを応援中。オンラインや電話でのご相談も受け付けております。
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