「時候の挨拶」の基本を確認
時候の挨拶とは、各々の季節の気候や行事などに触れたもので、手紙などの文書やメールの最初に入れる言葉です。また、ビジネスなどのかしこまったシーンで使うか、プライベートで親しい友人知人などに使うかで使用される言葉が変わります。
親しい間柄の人にビジネス文書のような時候の挨拶を入れると、相手は距離を取られたような気持ちになり、せっかくの気遣いの気持ちも伝わりません。時候のあいさつは使う相手や場面によって、表現を使い分けることが大切なのです。まずは時候の挨拶の基本についておさらいしておきましょう。
時候の挨拶は手紙やメールの冒頭に記載
時候の挨拶は基本的に手紙やメールなど、文章の冒頭に書くものです。共通した話題となる季節の話を取り入れ、コミュニケーションを展開するのが目的といえます。
特にビジネスシーンで使われるメールや文書には、時候の挨拶を取り入れる場合が多いです。また改まった内容の文章をつくる場合にも、冒頭に記載するのが一般的でしょう。時候の挨拶は相手と季節の話題でやりとりするための、きっかけの文章といえます。
丁寧な印象を与えたい場合は漢語調
時候のあいさつで丁寧な印象を与えたい場合は「漢語調」の文を使うとよいでしょう。漢語調とは、「○○の候」、「○○のみぎり」といったもので、格調高い文章の書き方です。漢語調は、目上の人に向けた手紙や、改まったシーンで使われます。
また、漢語調の時候の挨拶はそれぞれ使える時期が決まっているため、使用前に確認するようにしましょう。使える時候の挨拶の確認ができたら、ビジネスメールや改まった文書の冒頭に時候の挨拶を入れます。
カジュアルな印象を与えたい場合は口語調
親しい友人知人などにあてた手紙やメールであれば、カジュアルな印象を与えられる「口語調」の時候の挨拶を使いましょう。漢語調のように決まりはありません。
季節に関する言葉を織り込みながら相手の安否や活躍を祈る内容にすると、相手への気遣いが伝わります。漢語調に比べ柔らかく温かい印象を与えるため、相手とのコミュニケーションも円滑なものとなるでしょう。
「9月下旬」に使える4つの「時候の挨拶」
9月下旬に使える時候の挨拶には「秋晴の候」「仲秋の候」「野分の候」「秋冷の候」などが挙げられます。いずれも季節の変わり目である9月下旬の季節を表すものです。ここからは、それぞれの挨拶について解説します。
晴れ渡る秋の天気を表す「秋晴の候」
季語でもある秋晴を使った「秋晴の候」は晴れ渡る秋晴れの天気を表し、9月の初旬から10月いっぱいまで使用できる時候の挨拶です。秋晴れが続くような時期に広く使えますが、秋雨が続くような天候の場合には適していません。手紙やメールを出す際の、実際の天候や気温に合わせるようにしましょう。
白露から寒露の期間に用いる「仲秋の候」
「仲秋の候」は秋も深まってきた季節であることを表現した時候の挨拶です。白露(9月7日)から寒露の前日(10月7日)まで使えます。秋の真っただ中で、過ごしやすい気候になってきた際に使うとよいでしょう。
風が強く吹く様を表す「野分の候」
秋に吹く強い風である「野分」を使った「野分の候」も9月下旬に使用できる時候の挨拶として挙げられます。野分の語源は、野の草をかき分けるような暴風、つまり台風です。台風が吹き荒れる9月の間使える時候の挨拶です。天候が不安定で台風が続くような時期に使います。