【目次】
・「時候の挨拶」の基本を確認
・「9月下旬」に使える4つの「時候の挨拶」
・【書き出し】「9月下旬」に使える挨拶例文
・【結び】「9月下旬」に使える挨拶例文
・時候の挨拶で季節の移り変わりを表現しよう
「時候の挨拶」の基本を確認
時候の挨拶とは、各々の季節の気候や行事などに触れたもので、手紙などの文書やメールの最初に入れる言葉です。また、ビジネスなどのかしこまったシーンで使うか、プライベートで親しい友人知人などに使うかで使用される言葉が変わります。
親しい間柄の人にビジネス文書のような時候の挨拶を入れると、相手は距離を取られたような気持ちになり、せっかくの気遣いの気持ちも伝わりません。時候のあいさつは使う相手や場面によって、表現を使い分けることが大切なのです。まずは時候の挨拶の基本についておさらいしておきましょう。
1. 時候の挨拶は手紙やメールの冒頭に記載
時候の挨拶は基本的に手紙やメールなど、文章の冒頭に書くものです。共通した話題となる季節の話を取り入れ、コミュニケーションを展開するのが目的といえます。
特にビジネスシーンで使われるメールや文書には、時候の挨拶を取り入れる場合が多いです。また改まった内容の文章をつくる場合にも、冒頭に記載するのが一般的でしょう。時候の挨拶は相手と季節の話題でやりとりするための、きっかけの文章といえます。
2. 丁寧な印象を与えたい場合は漢語調
時候のあいさつで丁寧な印象を与えたい場合は「漢語調」の文を使うとよいでしょう。漢語調とは、「○○の候」、「○○のみぎり」といったもので、格調高い文章の書き方です。漢語調は、目上の人に向けた手紙や、改まったシーンで使われます。
また、漢語調の時候の挨拶はそれぞれ使える時期が決まっているため、使用前に確認するようにしましょう。使える時候の挨拶の確認ができたら、ビジネスメールや改まった文書の冒頭に時候の挨拶を入れます。
3. カジュアルな印象を与えたい場合は口語調
親しい友人知人などにあてた手紙やメールであれば、カジュアルな印象を与えられる「口語調」の時候の挨拶を使いましょう。漢語調のように決まりはありません。
季節に関する言葉を織り込みながら相手の安否や活躍を祈る内容にすると、相手への気遣いが伝わります。漢語調に比べ柔らかく温かい印象を与えるため、相手とのコミュニケーションも円滑なものとなるでしょう。
「9月下旬」に使える4つの「時候の挨拶」
9月下旬に使える時候の挨拶には「秋晴の候」「仲秋の候」「野分の候」「秋冷の候」などが挙げられます。いずれも季節の変わり目である9月下旬の季節を表すものです。ここからは、それぞれの挨拶について解説します。
1. 晴れ渡る秋の天気を表す「秋晴の候」
季語でもある秋晴を使った「秋晴の候」は晴れ渡る秋晴れの天気を表し、9月の初旬から10月いっぱいまで使用できる時候の挨拶です。秋晴れが続くような時期に広く使えますが、秋雨が続くような天候の場合には適していません。手紙やメールを出す際の、実際の天候や気温に合わせるようにしましょう。
2. 白露から寒露の期間に用いる「仲秋の候」
「仲秋の候」は秋も深まってきた季節であることを表現した時候の挨拶です。白露(9月7日)から寒露の前日(10月7日)まで使えます。秋の真っただ中で、過ごしやすい気候になってきた際に使うとよいでしょう。
3. 風が強く吹く様を表す「野分の候」
秋に吹く強い風である「野分」を使った「野分の候」も9月下旬に使用できる時候の挨拶として挙げられます。野分の語源は、野の草をかき分けるような暴風、つまり台風です。台風が吹き荒れる9月の間使える時候の挨拶です。天候が不安定で台風が続くような時期に使います。
4. 肌寒さを感じたことを表す「秋冷の候」
「秋冷の候」は、秋も深くなり寒さを感じる時期を表す時候の挨拶です。秋分(9月23日)頃から10月中旬まで使用されるのが一般的でしょう。秋が深まり、肌寒さが感じられた頃に使うのがおすすめです。「秋冷の折」「秋冷のみぎり」という表現もできます。
このように、時候の挨拶はさまざまありますが、実際の天候やその年の気候に合わせた選択をすることが大切です。また、相手のいる地域によっては、自分のいる地域の季節感と合わない場合もあるため、挨拶の選び方には注意しましょう。
【書き出し】「9月下旬」に使える挨拶例文
実際の書き出しで使える「9月下旬の挨拶」の例文をご紹介します。使う場面ごとに例文を取り上げたので参考にしてください。
■お礼状など、改まった文書で使用する書き出し
記事の冒頭で述べた通り、改まった文書で使う書き出しの挨拶文は、漢語調が基本です。漢語調の挨拶例文は、以下の通りです。
・仲秋の候、皆様には一層ご活躍の由、お喜び申し上げます。
・秋晴の候、皆様におかれましては益々ご健勝のこととお慶び申し上げます。
・野分の折、貴社いっそうご清祥のことと慶賀の至りに存じます。
・秋冷のみぎり、〇〇様にはますますご壮健のこととお慶び申し上げます。
・秋晴のみぎり、〇〇様におかれましては一層ご清祥のこととお喜び申し上げます。
■学校便りなど、一般的な文書での書き出し
学校校便りなどの一般的な文書で使う書き出しは、程よく親しみやすい挨拶文がおすすめです。9月下旬は、季節の移り変わりを感じるような文章を意識しましょう。挨拶例文を、以下にご紹介します。
・日中はまだまだ暑い日もありますが、日が落ちるのは随分と早くなってきました。
・夏の蒸し暑さもだんだんと薄れ、朝晩は過ごしやすくなってきました。
・真夏のセミの声がコオロギの声に変わり、季節は徐々に秋へと移り変わってきました。
・朝夕の涼しく心地よい風に、秋の訪れを感じる時期となりました。
・夏のなごりを感じながらも、秋の訪れによる自然の変化を楽しめる今日この頃。
■知人宛など、カジュアルな手紙の書き出し
知人や気の知れた相手に送る手紙は、季節を表す文章から書き始めましょう。砕けた表現の口語調の挨拶文は、相手へ親密さを表現できます。
口語調の挨拶例文は、以下の通りです。
・朝晩涼しくなり、過ごしやすい陽気となって参りました。いかがお過ごしでしょうか。
・草木が露で濡れ、肌寒さを感じる朝になりました。〇〇様のご活躍を拝聞しております。
・木々の葉も、徐々に秋色に染まり始めた今日この頃、お変わりはありませんか。
・秋の気配が次第に濃くなってまいりました。皆様にはますますご活躍のことと拝察いたしております。
このように、同じ9月下旬に送る挨拶文でも、使うシーンによって表現方法が変わります。適切な表現を覚えておくと、生活に役立てられるでしょう。
【結び】「9月下旬」に使える挨拶例文
次に「9月下旬」の結びの挨拶をご紹介します。手紙や文書の締めくくりをする文章である結びの挨拶では、冒頭に入れた時候の挨拶で使った表現やフレーズを繰り返さないようにしましょう。また、相手の体調を気遣う内容を入れることをおすすめします。特に親しい人に送る場合は、気遣う心が相手に伝わるため、円滑なコミュニケーションにつながるでしょう。
■ビジネスメールで使用する結び
ビジネスメールや改まった文書で使用する結びの挨拶は、秋の季節感と相手への気遣いの言葉を組み合わせます。季節の変わり目になる9月下旬は、体調を思いやる表現を入れておくと、相手から好印象を得られるでしょう。フォーマルな結びの挨拶例文は、以下の通りです。
・残暑の厳しい季節ですが、健康にはくれぐれもご留意ください。
・実りを感じる秋となりました。貴社におかれましても実り多き秋になりますようお祈り申し上げます。
・爽やかな秋を満喫なさいますよう、お祈り申し上げます。
・秋冷の折、ますますご活躍されますことを心よりお祈りいたしております。
・新秋の折、末筆ながら皆様の益々のご健康とご多幸を、心よりお祈り申し上げます。
■お礼状など一般的な文書・手紙の結び
お礼状などの一般的な文書や手紙でも、季節を感じられる言葉とともに相手の幸せや健康を願う文章を取り入れるとよいでしょう。一般的な文書、手紙の結びの挨拶例文は、以下の通りです。
・残暑なお厳しき折、どうぞご自愛くださいませ。
・皆様お元気で、爽やかな秋を満喫されますことをお祈り申し上げます。
・秋の豊かな実りをお祈り申し上げます。
・秋の涼風とともに、幸多き日々を迎えられますようお祈りいたします。
■親しい間柄の手紙などのカジュアルな結び
親しい間柄の人への手紙やメールでは、少しくだけたカジュアルな結びの挨拶文を使います。文章全体の雰囲気や季節感に合わせた内容を取り入れましょう。カジュアルな結びの挨拶例文は、以下の通りです。
・朝夕の冷え込みも少しづつ感じる季節となりました。健康にはくれぐれもご留意ください。
・夏バテは秋に出るともいうので、お気をつけください。
・秋雨の季節、体調を崩されませんようご用心ください。
・夏の疲れはこの時分に出やすいようです。どうぞお体大切に。
このように、季節を表現した文章に、相手に向けた思いやりを持たせた文章を組み合わせます。書き出しの挨拶文と、季節の表現が被らないように注意しましょう。挨拶文のレパートリーがたくさんあると、結びに悩むことも少なくなります。
時候の挨拶で季節の移り変わりを表現しよう
9月下旬に使う時候の挨拶は、そのときの気候や送る相手の土地の状況に合った言葉を選び、言葉と季節感にズレがないように注意しながら、季節の移り変わりを感じさせる表現を使いましょう。
また、フォーマルな場面とカジュアルな場面の使い分けを理解しておくと、大人として丁寧な文章を書けるようになります。9月下旬に文章を作る際は、時候の挨拶に夏から秋にかけての変化をうまく取り入れた表現を入れられるようになりましょう。
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