「回答」の意味や「解答」との違いとは
普段何気なく目にする「回答」には、同じ読みの「解答」という言葉があります。それぞれ具体的な意味が異なるため、使用時は注意が必要です。
まずは「回答」、「解答」それぞれの正しい意味について理解を深めていきましょう。
「回答」とは質問に答えること
「回答」とは、第三者からの質問や要求などに対する「答え」を意味する言葉です。また、質問や要求に「答える行為」そのものを表します。
後で詳しくご紹介しますが、「回答」の類語には「答え」や「返答」などが含まれています。このことからわかるように、「回答」という言葉が、質問への答えや、答えを返すという行為を表しています。
かい‐とう〔クワイタフ〕【回答】
[名](スル)質問・要求などに答えること。また、その答え。「調査に回答する」「満額回答」
→返事[用法]
(引用〈小学館 デジタル大辞泉〉より)
「回答」と「解答」の違いとは?
「回答」が他者からの質問に答える行為を意味するのに対し、「解答」は「問題を解く」行為を意味するという違いがあります。また、「解答」は解いた答えそのものを指す言葉です。
両者への理解を深めるため、「答え」という言葉の定義そのものについてみてみましょう。
【答(え)】こたえ
《「応え」と同語源》
1.呼びかけや問いに対して言葉で応じること。返事。返答。「呼んでもーがない」「口ー(くちごたえ)」
2.問題・設問などを解いて出される結果。解答。「-を出す」
(引用〈小学館 デジタル大辞泉〉より)
2つを比較すると、「回答」の意味合いは前者に近く、「解答」は問題を解く行為に関連することがわかります。
「数学の問題に解答する」、「解答用紙を受け取る」のように、問題を解くことにまつわる表現には「解答」を用いることを覚えておきましょう。
「回答」という言葉の使い方
「解答」との違いをふまえ、ここからは「回答」の使い方についてみていきましょう。前述したように、「回答」は質問に答える際に用いられる表現です。ビジネスシーンでの活用法も参考にしてください。
・突然の街頭インタビューに回答する。
・期日までに社内アンケートへの回答をお願いします。
・先日のプロジェクトに対して、クライアントから回答を求められている。
・その件につきましては、社内で検討し回答いたします。
・会議の日程について、今週中にご回答いただけますと幸いです。
・先日はお忙しいところ、質問へのご回答ありがとうございました。
「回答」の類語や言い換え表現
「回答」には、以下のような類語や言い換え表現があります。ビジネスや日常生活では、それぞれの違いを知り使い分けることが大切です。
なかには聞き慣れない表現もあるかもしれません。ここではそれぞれの意味とともに、使用例について確認していきましょう。
答え
前述したように、「答え」は呼びかけに応じることや、問題を解いて出された結果などを意味する言葉です。呼びかけに対する「答え」、問題の「答え」のように幅広い意味合いで用いられます。
・彼は質問に対し、笑顔で答えた。
・先生からは思っているような答えが得られなかった。
・口答えをするとは何事だ。
・答えはページの末尾に記してあります。
・専門ジャンルの問いに対し、なぜか答えがわからなかった。
答弁
「答弁」とは、質問に答え説明することです。「回答」との違いは説明の有無だといえます。
なぜその答えに至ったのか、より具体的な説明を得たいときは「答弁を求める」と表現するのが一般的です。
また「答弁」は裁判で用いられる機会が多く、被告が最初に提出する書面は「答弁書」と呼ばれます。
・今回の事態に至った明確な答弁を求めます。
・彼の知識と経験をもとにした実に巧みな答弁だった。
・彼女はとても答弁できる状態ではないと裁判官は判断した。
返答
「返答」は、質問に対する答えや、答える行為を表す言葉です。前述したように「回答」ととてもよく似た意味を持ちます。ビジネスや日常生活では、答えを返すといった意味合いで以下のように用いられます。
・先日の質問への返答をお待ちしています。
・返答をいただくまでは対応できません。
・先日お伺いした打ち合わせの期日に関しまして、近日中にご返答いただけますと幸いです。
・丁寧なご返答ありがとうございます。
応答
「応答」は、他者からの問いかけや呼びかけへ答えることを意味します。「回答」に比べ、答える行為を指す度合いがより強くなる表現です。また、以下のような機械による受け答えも「応答」と表します。
・サーバーからの応答が得られない。
・自動応答メッセージで対応いたします。
・何度も呼びかけたが応答がなかった。
・先方の応対時間が過ぎており、連絡に至らなかった。
解決
「解決」は、物事をうまく処理し片付けることを意味する言葉です。質問や要求に対し答えを出す点は「回答」と共通しますが、問題全般を納得のいく結果に導くという点に大きな違いがあります。
また、「解決」の対象には他者からの要求だけでなく、自身がもつ疑問も含まれます。以下の使用例のように、社会全般が抱える問題に対し用いるケースもあるでしょう。
・彼のアドバイスのおかげで、長年の疑問がやっと解決した。
・介護離職の問題が解決に至るには、まだまだ時間がかかりそうだ。
・クライアントからの課題を解決するには、彼女の力が必要だ。
・今回の問題が解決まで至ったのは、ひとえに皆さんのおかげです。
「回答」と「解答」の違いを知り正しく使おう
「回答」は、他者からの質問に答えることや、答えそのものを指す言葉です。一方、「解答」は問題を解く行為や解いた答えなどを表します。
ビジネスで先方とのやり取りに使用する際は「回答」を用いるのが一般的です。「回答をお待ちしています」、「回答をお願いいたします」のようにメールで使用する機会も多いでしょう。
問題文などを解く際は「数学の問題に回答する」、「解答用紙」のように「解答」を使用します。日常生活では、両者が混同しないように注意が必要です。
また、「回答」にはさまざまな類語や言い換え表現があります。それぞれの表現の違いを知り、ビジネスや日常生活で正しく活用していきましょう。
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