肌寒さを感じたことを表す「秋冷の候」
「秋冷の候」は、秋も深くなり寒さを感じる時期を表す時候の挨拶です。秋分(9月23日)頃から10月中旬まで使用されるのが一般的でしょう。秋が深まり、肌寒さが感じられた頃に使うのがおすすめです。「秋冷の折」「秋冷のみぎり」という表現もできます。
このように、時候の挨拶はさまざまありますが、実際の天候やその年の気候に合わせた選択をすることが大切です。また、相手のいる地域によっては、自分のいる地域の季節感と合わない場合もあるため、挨拶の選び方には注意しましょう。
【書き出し】「9月下旬」に使える挨拶例文
実際の書き出しで使える「9月下旬の挨拶」の例文をご紹介します。使う場面ごとに例文を取り上げたので参考にしてください。
お礼状など、改まった文書で使用する書き出し
記事の冒頭で述べた通り、改まった文書で使う書き出しの挨拶文は、漢語調が基本です。漢語調の挨拶例文は、以下の通りです。
・仲秋の候、皆様には一層ご活躍の由、お喜び申し上げます。
・秋晴の候、皆様におかれましては益々ご健勝のこととお慶び申し上げます。
・野分の折、貴社いっそうご清祥のことと慶賀の至りに存じます。
・秋冷のみぎり、〇〇様にはますますご壮健のこととお慶び申し上げます。
・秋晴のみぎり、〇〇様におかれましては一層ご清祥のこととお喜び申し上げます。
・良夜の候、ますますご隆昌のこととお慶び申し上げます。
・秋雨の候、貴店ますますご隆盛のこととお慶び申し上げます。
学校便りなど、一般的な文書での書き出し
学校校便りなどの一般的な文書で使う書き出しは、程よく親しみやすい挨拶文がおすすめです。9月下旬は、季節の移り変わりを感じるような文章を意識しましょう。挨拶例文を、以下にご紹介します。
・日中はまだまだ暑い日もありますが、日が落ちるのは随分と早くなってきました。
・夏の蒸し暑さもだんだんと薄れ、朝晩は過ごしやすくなってきました。
・真夏のセミの声がコオロギの声に変わり、季節は徐々に秋へと移り変わってきました。
・朝夕の涼しく心地よい風に、秋の訪れを感じる時期となりました。
・夏のなごりを感じながらも、秋の訪れによる自然の変化を楽しめる今日この頃。
・風にゆれるコスモスに秋の深まりを感じる時期となりました。
知人宛など、カジュアルな手紙の書き出し
知人や気の知れた相手に送る手紙は、季節を表す文章から書き始めましょう。砕けた表現の口語調の挨拶文は、相手へ親密さを表現できます。
口語調の挨拶例文は、以下の通りです。
・朝晩涼しくなり、過ごしやすい陽気となって参りました。いかがお過ごしでしょうか。
・草木が露で濡れ、肌寒さを感じる朝になりました。〇〇様のご活躍を拝聞しております。
・木々の葉も、徐々に秋色に染まり始めた今日この頃、お変わりはありませんか。
・秋の気配が次第に濃くなってまいりました。皆様にはますますご活躍のことと拝察いたしております。
・秋も深まり肌寒くなってまいりましたが、皆さまお健やかにお過ごしでしょうか。
・秋の長雨が降る時季となりましたが、お元気でいらっしゃいますか。
このように、同じ9月下旬に送る挨拶文でも、使うシーンによって表現方法が変わります。適切な表現を覚えておくと、生活に役立てられるでしょう。
▼あわせて読みたい
【結び】「9月下旬」に使える挨拶例文
次に「9月下旬」の結びの挨拶をご紹介します。手紙や文書の締めくくりをする文章である結びの挨拶では、冒頭に入れた時候の挨拶で使った表現やフレーズを繰り返さないようにしましょう。また、相手の体調を気遣う内容を入れることをおすすめします。特に親しい人に送る場合は、気遣う心が相手に伝わるため、円滑なコミュニケーションにつながるでしょう。
ビジネスメールで使用する結び
ビジネスメールや改まった文書で使用する結びの挨拶は、秋の季節感と相手への気遣いの言葉を組み合わせます。季節の変わり目になる9月下旬は、体調を思いやる表現を入れておくと、相手から好印象を得られるでしょう。フォーマルな結びの挨拶例文は、以下の通りです。
・残暑の厳しい季節ですが、健康にはくれぐれもご留意ください。
・実りを感じる秋となりました。貴社におかれましても実り多き秋になりますようお祈り申し上げます。
・爽やかな秋を満喫なさいますよう、お祈り申し上げます。
・秋冷の折、ますますご活躍されますことを心よりお祈りいたしております。
・新秋の折、末筆ながら皆様の益々のご健康とご多幸を、心よりお祈り申し上げます。
・秋たけなわの好季節、一層のご隆盛を心よりお祈り申し上げます。
お礼状など一般的な文書・手紙の結び
お礼状などの一般的な文書や手紙でも、季節を感じられる言葉とともに相手の幸せや健康を願う文章を取り入れるとよいでしょう。一般的な文書、手紙の結びの挨拶例文は、以下の通りです。
・残暑なお厳しき折、どうぞご自愛くださいませ。
・皆様お元気で、爽やかな秋を満喫されますことをお祈り申し上げます。
・秋の豊かな実りをお祈り申し上げます。
・秋の涼風とともに、幸多き日々を迎えられますようお祈りいたします。
・季節の変わり目ですので、皆様体調を崩されませんようご留意ください。
親しい間柄の手紙などのカジュアルな結び
親しい間柄の人への手紙やメールでは、少しくだけたカジュアルな結びの挨拶文を使います。文章全体の雰囲気や季節感に合わせた内容を取り入れましょう。カジュアルな結びの挨拶例文は、以下の通りです。
・朝夕の冷え込みも少しづつ感じる季節となりました。健康にはくれぐれもご留意ください。
・夏バテは秋に出るともいうので、お気をつけください。
・秋雨の季節、体調を崩されませんようご用心ください。
・夏の疲れはこの時分に出やすいようです。どうぞお体大切に。
・吹く風も心地よい季節、ますますご活躍ください。
このように、季節を表現した文章に、相手に向けた思いやりを持たせた文章を組み合わせます。書き出しの挨拶文と、季節の表現が被らないように注意しましょう。挨拶文のレパートリーがたくさんあると、結びに悩むことも少なくなります。
▼あわせて読みたい
時候の挨拶で季節の移り変わりを表現しよう
9月下旬に使う時候の挨拶は、そのときの気候や送る相手の土地の状況に合った言葉を選び、言葉と季節感にズレがないように注意しながら、季節の移り変わりを感じさせる表現を使いましょう。
また、フォーマルな場面とカジュアルな場面の使い分けを理解しておくと、大人として丁寧な文章を書けるようになります。9月下旬に文章を作る際は、時候の挨拶に夏から秋にかけての変化をうまく取り入れた表現を入れられるようになりましょう。
▼あわせて読みたい