夫の前と妻の前では、別人のように態度を変える義母
美雪さん(仮名・40歳)と義母とは結婚当初からお世辞にも「仲がいい」とは言えない関係が続いています。その理由は、義母の性格。息子である夫の前と、妻の前では「別人」とも言えるほど態度が異なる義母に対して、美雪さんは「正直、ついていけない」と感じ続けています。
「二重人格って言葉では表せないくらい、とにかくひどいです。カメレオンというか、なんというか。夫の前では私に対して“良き義母”を演じますが、夫がいないときには罵声を浴びせたり嫌味を連発したりと、性悪そのものです」
あまりにも義母の態度がひどく、義母と会うたびにストレスが溜まる美雪さん。ここ数年は「義母と顔を合わせる」と思っただけで体調が悪くなるほどです。
「夫になんとかしてもらうしかないって思って、何回か口頭で伝えたのですが、自分の前では私に対して“良き義母”でいるものだから、私の話は全く信じてもらえずでした。それどころか『君、母さんのことハメようとしてるの!?』なんて怒られる始末で、私の話をちゃんと聞こうともしないんです」
夫に事実を知ってもらうため「義母との会話を録音」…事態は思わぬ展開に
度重なる義母からの嫌がらせに耐えかね、なんとかして夫に真実を知ってもらおうとした美雪さんは、スマホを使って義母との会話を音声録音して、その様子を夫に聞かせたこともあるそうなのですが…。
「これは夫もぐうの音も出ないだろうと思って、こちらは堂々と音声を聞かせたのですが…。最初の数分を聞いただけで『これは、母さんの機嫌がたまたま悪い時?』なんていう言い方で反発してきて、まともに聞こうともしませんでした。そこで私は、夫はもしやマザコンでは?という疑惑も抱くようになりましたね」
何度か同じように夫に直訴したものの、「母さんの機嫌が悪い時でしょ」「母さんがたまたま不機嫌な瞬間を切り取っているだけ」などと母親の肩を持ち、夫は美雪さんが置かれている立場を理解しようとしませんでした。そのうちに、たまりかねた美雪さんが出た行動とは…。
「もうこれは家族内では解決できないと思い、意を決して自治体の市民相談に行きました。音声だけでしたが証拠を聞いてもらったところ『モラハラですね』ということになったのですが…。相談員も家族の問題に介入するのはためらっているようで、具体的な介入はしてもらえず慰められただけで終わってしまいました。夫はもちろん、いまだに義母のことには知らん顔。というよりも、本気で私が義母を陥れようとしていると思っているようで、夫婦関係もだんだんと冷えてきています。
子どもがいるので離婚は避けたいと思っていますが、今の状態が続いたり悪化したりするようであれば、こんな生活は続けられないし、どうしたらいいのか困っています」
夫がマザコン、義母がモラハラというパターンは、残念ながらもたびたび見受けられます。夫が公平な判断ができず、母親に肩入れするタイプだと、こういった問題は解決しないばかりかエスカレートしやすいのも傾向でしょう。妻の身も心も壊れてしまってからでは遅いので、早い段階で解決したい問題。可能な限り夫以外の身内など周囲の人の助けを借りて、妻の味方になってくれる人が見つけることができれば、解決の糸口を探せるかもしれません。
取材・文/並木まき
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