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2018.05.10

専業主婦からフリーランスの書籍PRへ!敏腕PRに学ぶ「好きを仕事にする」生き方〜前編

本が売れないと言われる今の時代。そんな中、〝フリーランスの書籍PR〟という耳なれない職種で、次々とベストセラーになる本を生み出している女性が居る。先日、「進む、書籍PR! たくさんの人に読んでほしい本があります」という書籍を出版した奥村知花さんだ。20代での離婚をきっかけに未経験の今の仕事に就いた彼女が、出版業界で知られる敏腕PRとなった成功の秘密とは?

Text:
さかいもゆる
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私が書籍PRというニッチな職種についたワケ

ちょっと想像してみて欲しい。あなたは銀行マンと20代で結婚し、転勤がいつあるかわからない彼のために仕事を辞めて専業主婦だ。永遠にこの生活が続くと思っていた。しかし結婚数年目のある日、夫は家を出て行き、あなたは突然主婦の肩書きを失い、働かないといけなくなる。――そんな人生の思わぬ事態から仕事を再開し、フリーランスの書籍PRという、耳慣れない職種で活躍しているのが、今回インタビューした奥村知花さんだ。

出版されるや否や口コミでその人気が広まり92万部を越える異例のベストセラーとなった子供の寝かしつけ本『おやすみ、ロジャー』や、ジュリア・ロバーツ主演で最近映画化された(日本では2018年6月公開予定)大ヒット児童小説『ワンダー』など、担当した作品が次々にミリオンセラーとなっている書籍PR、奥村さん。そもそも書籍PRとは、どういう仕事なのだろう?

「日本では、毎日250~300冊の新しい書籍が生まれています。その中から、出版社さんが『これはいい本だからなるべく多くの人に読んでもらいたい』と新刊のPR業務を私にご依頼くださったら、発売から3ヶ月間、TVやラジオ、雑誌など、あらゆる媒体を通してその本と読者の出会いの場を増やすのが私の仕事です」

もっとも、依頼が来た作品すべてのPR業務を受けられるわけではない。ゲラを3回は読み込んで、その本を自分が担当することでPR=パブリシティに向く作品かどうかを検討する。「PRというのは、やってみないとどれくらい売れるかという保証が出来ない仕事。だからこそ、メディアが取材してくれそうなとっかかりがある作品か、つまり私が売り込める要素があるかどうかの見極めがポイントになります」。現在、奥村さんに持ち込まれるゲラ(本になる前の校正刷り)の数は月に平均7~8本。それを仕事を受ける作品は3回も(しかもじっくり)読み直したうえ、それ以外にプライベートでも月に8~10冊は趣味の読書を嗜み、それだけでは飽き足らず、「本しゃべりすと」という肩書きで活動もしているという。

本しゃべりすと!? これまた、聞いたことのない肩書き

「書籍って、発売して2ヶ月経つと新刊としては扱われなくなるんです。雑誌の書評ページなどでも、基本的には新刊しか紹介されない。でも世の中には素晴らしい本がこんなにいっぱいあるし、新刊じゃなくても、その人が手に取ったときがその本との出会いでいいんじゃないか。そう思っていたときに、とある雑誌の編集長から『うちの雑誌の枠をあげるから、好きな作品の書評を好きに書いていいよ』と言われ、〝本しゃべりすと〟として活動するようになりました。これは言うなれば〝ひとり読書振興会〟のようなもの。依頼主は関係なく、例えば〝寒くなって来てお風呂で温まりながら読みたい本〟や、〝お散歩しながら公園で読みたい本〟などなど、様々な切り口で新旧こだわらずに私のおすすめの作品を紹介しています」

――これぞまさに、本好きには夢のような仕事ではないか! 

(写真)奥村さんが今までPRを担当した書籍の、これはほんの一部。どの本もすべて大事で、思い入れのある作品ばかり。

そもそも奥村さんが書籍PRの仕事に就いたのは、前述の元夫との離婚に端を発している。大学卒業後アパレル企業に勤務し、銀行員の夫と結婚して専業主婦になったものの、晴天の霹靂のような突然の離婚。

「その頃私は20代後半で、周りの友人たちは仕事で成果を出したり子供を産んだり、みんなキラキラして見えました。そんな中、私は専業主婦で『●●さんの妻』として生きて来た、自分のアイデンティティすらも失って…。あの頃は本当に、将来に何も希望が抱けなかった」

心身ともに衰弱した彼女は、療養のための入院中に転職雑誌『とらば~ゆ』で見つけた外食企業の、〝ひとり広報担当〟として就職した。

チャンスの女神は「話が来たらすぐ動く」人に微笑む!?

「社内初の広報担当者として採用されたので先輩も居ないし社内の前例もない。もっというと、予算もない(笑)。何もかも手探りで、一からのスタートでした。そこから入社2年半年が経った頃、仕事は楽しかったのですが、会社のM&Aで企業方針などがすっかり変わってしまい…。転職を考えて居たときに声をかけてくださったのが、当時仕事で相談に乗っていただいていた、アップルシード・エージェンシーという作家のマネージメントをする会社の代表、鬼塚忠さん。ある日お電話をいただいて、『書籍のPRの仕事を紹介したいんだけど、今から15分で目黒の出版社に来られますか?』と。『はい!』とお返事して車で駆けつけて、そこから書籍PRとしてのキャリアが始まりました。鬼塚さんとはよく仕事以外でも好きな本の話で盛り上がっていて、私が本好きだということをご存知だったんです。それで、『奥村なら本のPRもできるだろう』ということで声をかけてくださった」

話を伺っていて、呼び出されて15分で駆けつける奥村さんの行動力がすごいな~と思う。仕事で成功している人へのインタビューで彼らに共通しているのが「チャンスが来たら逃さず素早く掴む反射能力」なのだけれど、彼女のもまさにそれだ。

奥村さんは著書『進む、書籍PR! たくさんの人に読んでほしい本があります 』の中でも、PRに欠かせない能力のひとつとして「フットワークの軽さ」というのを挙げている。「チャンスかどうかわからなくても、話が来たらすぐ動く」というのが彼女のモットー。それは営業職だけでなく、奥村さんのように天職をみつけることにも通じているのではないか。チャンスというものは、常に自分が思い描いていた見た目で訪れるとは限らない。だから〝面白そう〟と少しでもピンと来たら、どこに繋がっているのかはまだ見えなくとも、目の前に垂らされた細い糸を素早く掴んで注意深く手繰り寄せて行く。きっとその好奇心と勇気と行動力がある者だけに、チャンスの女神は微笑んでくれるのだ。

――外食会社のひとり広報担当から、全く未知の世界である、書籍のPRという職種への転職。そこで孤軍奮闘して、現在では博報堂と業務提携して籍をおき、『希望のごはん』や『肺炎がいやなら、のどを鍛えなさい』など数々のヒット書籍を手がけてきた奥村さんのPRのノウハウを、後編ではご紹介したいと思う。

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進む、書籍PR! たくさんの人に読んでほしい本があります 

一冊一冊の感動を届ける、「書籍PR」という仕事とは? 書店、出版社、メディア、読者をつなぐ「巻き込み仕事術」から、転んでもタダで起きない「結果オーライの神様」を味方につける生き方まで。フリーランスの書籍PRとして数々のベストセラー書籍を手がけて来た奥村さんの、今の時代に物を売るノウハウが詰まった一冊。著:奥村知花 1,400円(税別) PHP刊


▲後ろにある本棚は、「本のフェス」という奥村さんが広報を務めるイベントの第一回目開催の際に、彼女がDIYしたもの。「初めての開催のため、事前に告知に使える素材が、当時は事前に何もなくて。どうしたら早い段階からイベントに興味を持ってもらえるかを考えて、私がこの〝厨子本棚〟を作るところを毎日動画で撮影したものをSNSにアップして、開催前からイベントへのカウントダウン感を盛り上げる工夫をしました」。出来上がった本棚には、おすすめの書籍を並べて展示。人がひとり収まるサイズで、イベントでは、この中に入り記念撮影する人が続出した。奥村さんと一緒に写っている猫は、「エキゾチック・ショートヘア」のドゥドゥちゃん。

撮影/目黒智子 取材・文/さかいもゆる

さかいもゆる/出版社勤務を経て、フリーランスライターに転身。——と思ったらアラフォーでバツイチになり、意図せず、ある意味全方位フリーダムなステイタスになる。女性誌を中心に、海外セレブ情報からファッションまで幅広いジャンルを手掛ける。著書に「やせたければお尻を鍛えなさい」(講談社刊)。講談社mi-mollet「セレブ胸キュン通信」で連載中。withオンラインの恋愛コラム「教えて!バツイチ先生」ではアラサーの婚活女子たちからの共感を得ている。


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