「目処(めど)」とは目標やおおよその見当のこと
「目処(めど)」とは、目標や見通しを指す言葉です。おおよその見当も「目処」と呼ぶことがあります。
「目」には「目印となるもの」という意味があるので、「目処」は「目印となるものがある処(ところ)」と解釈することができるでしょう。例えば「5分を目処に、このテストを解いてみて」といえば、5分を問題を解く時間の目印と定めることができます。
【目処】めど
目指すところ。目当て。また、物事の見通し。「九月実施を―に細部を詰める」
(引用〈小学館 デジタル大辞泉〉より)
「目途(めど)」との違い
「目途」も、「目処」と同じく「めど」と読みます。どちらも目標や見通し、おおよその見当の意味で用いられる言葉なので、ほとんど同じといえるでしょう。
あえて使い分けるのであれば、「目処」は目指すところ、「目途」は目標とすることができます。とはいえ実際はどの場面でどちらを記載しても間違いではありません。日常生活では「処」と書くことが多いですが、役所などでは「途」の漢字を用いることが多い傾向にあります。
「目処」の使い方を例文でご紹介
「目処」を使った例文をいくつか紹介します。例文を通して、おおよその使い方を理解していきましょう。
・10時半を【目処】に戻ってくるから、それまでには出かける用意をしておいてね。
・ここら辺を【目処】にして、作業を切り上げよう。
「目処」という言葉は、特定の動詞を組み合わせて使うことが多いです。特によく使われる組み合わせとしては、次の5つが挙げられます。
それぞれの組み合わせの使い方を、例文を通して見ていきましょう。
目処が立つ
「目処が立つ」とは、将来のおおよその様子がわかってくることを指す言葉です。実現可能性が見えたときにも「目処が立つ」と表現することがあります。
・一時はどうなることかと思ったが、ようやく【目処が立って】きた。
・おおよその【目処が立つ】までは、皆で話し合ったほうが良いと思う。
・今月の目標値を達成できる【目処が立った】。一安心だ。
なお、「目処が立つ」の語源は、「めどはぎ」と呼ばれる食物の茎を使って占いをしたことにあるといわれています。「めどはぎ」が立つと将来の見通しが見えることから、「めどが立つ」=「将来の見通しが立つ」となったようです。
また、針の頭についている穴(目孔、めど)から、「目処が立つ」という言葉が生まれたという説もあります。「目孔」に糸を通すの意味で、「めどが立つ」=「目標がわかる」あるいは「将来の見通しが立つ」と表現するようになったのかもしれません。
【類語】見通しが立つ
「目処が立つ」という表現の類語として「見通しが立つ」が挙げられるでしょう。この場合の「立つ」は「物事が新しく定まる」を意味します。
・ようやく家に帰れる【見通しが立った】。今まで大変だったが、仕事がひと段落つくまでもう少し頑張ろう。
・このようなペースで販売していては、いつまで経っても目標値に届かない。【見通しを立て直す】ほうが良いのではないだろうか。
目処が立たない
将来の見通しが立たない状態を「目処が立たない」と表現することがあります。例えば次のように使えるでしょう。
・いつまでも完成の【目処が立たない】。どのスタッフの顔からも疲労の色が色濃く見えている。
・倉庫を見ると在庫品が山積みだ。再利用の【目処も立たない】ので、大きな赤字になるだろう。
なお、「目処が立つ」も「目処が立たない」も、いずれも敬語表現がありません。ビジネスで使用するときなどの敬語が適したシチュエーションでは、「です」や「ます」を語尾につけて丁寧語として話すようにしましょう。
・ようやく【目処が立ちました】。ご協力に感謝いたします。
・このままでは再開の【目処が立ちません】。ご指示をいただけますでしょうか。
目処がつく
目標達成の見通しが立つことを「目処がつく」と表現し、「目処が立つ」とほぼ同じ意味で使用できます。
・A社の買収を計画して1年経つが、ようやく【目処がついて】きた。
・ある程度【目処がついて】から質問してください。具体的なことが決まっていない状態で質問されても、何も答えることができません。