目処にする
目標達成に向けて、期限や成果物などの目安をつくることを「目処にする」と表現する場合があります。たとえば次のように使うことができるでしょう。
【例文】
・とりあえず100社を【目処にして】飛び込み営業をしてみましょう。営業のコツをつかむことができるはずです。
・300人を【目処にして】モニターキャンペーンを実施しました。顧客の反応から製品の問題点が明らかになり、より良い商品づくりに活かせています。
目処をつける
おおよその到達点を決めることを「目処をつける」と表現することができます。
【例文】
・「この辺り」と【目処をつけて】パスポートを探した。案の定、本の間に挟まっていた。
・明日の授業で当てられそうなところの【目処をつけて】勉強した。しかし予想が外れて、うまく答えることができなかった。
なお、自然と到達点が定まるというニュアンスの「目処がつく」に比べ、「目処をつける」はより主体的に到達点を決める際に使用するといいでしょう。
「目処」の言い換え表現
ここからは、さまざまなシーンで使える代表的な言い換え表現を詳しく解説します。それぞれの言葉が持つニュアンスの違いを理解して、より豊かな表現力を身につけましょう。
見込み
「見込み」は、物事が実現する可能性や、そうなるだろうという推測を表します。「目処」よりも将来の予測というニュアンスが強く、実現する可能性が高い場合に用いることが多い言葉です。
【例文】
・プロジェクト完了の見込みがある。
・試験合格の見込みがある。
目安
「目安」は、何かを判断したり評価するための基準となるものを指します。「目処」が示す到達点や予測というより、数量や期間など、具体的な基準を示す際に用いられる傾向にあります。
【例文】
・作業時間の目安
・費用の目安
・作業人数の目安
見当
「見当」は、おおよその予測や、物事のおおよその方向性を示す言葉です。「目処」よりも不確実な、初期段階の予測というニュアンスを含むことがあります。
【例文】
・犯人の見当がついた。
・解決策の見当がつく。
「目処」の英語表現
目処の英語表現には「an outlook」や「an aim」「sight」が挙げられます。
「an outlook」
outlookの意味
(将来への)展望,見通し,予想;前途≪for≫
『プログレッシブ英和中辞典』(小学館)より一部引用
「an outlook」は、将来の見通しや、何かがどうなりそうかという見込み、予測を示す際に名詞として用いられます。日本語の「目処」が持つ「完了の時期の目安」といったニュアンスよりは、将来の状況に対する予測という意味合いが強いです。
【例文】
・The outlook for the work is still vague.(仕事のめどがまだつかない)
「an aim」
aimの意味
他〔しばしば受身形で〕〈計画・行為などの〉目標[対象]を(…に)定める,置く,〈批判などを〉(…に)向ける≪at≫(…を)目的[目標]とする≪at,toward≫,(…を/…することを)目ざす≪for/to do≫
『プログレッシブ英和中辞典』(小学館)より一部引用
名詞としての「aim」は、主に「目標」「目的」という意味で使われるものの、文脈によっては「見込み」「目処」に近いニュアンスを持つこともあります。ただし、「目処」が持つ完了時期の目安といった意味合いは「aim」にはあまり含まれません。
【例文】
・We are aiming at doubling production.(生産の倍増をめどにしている)
「sight」
sightの意味
知見,見解,見通し,判断
『プログレッシブ英和中辞典』(小学館)より一部引用
名詞としての「sight」は、主に「視界」「見えること」という意味で使われますが、比喩的に「見込み」「兆し」といった意味合いを持つことがあります。日本語の「目処が立つ」という表現に近いニュアンスで使われることもあります。
【例文】
・At last the completion of my research is in sight.(ようやく研究完成のめどがついた)
「no knowing」「don’t know」
これまでの言葉と反対に「目処がつかないこと」を表す場合には、見通しが立たない旨を表現すればOKです。具体的には「わからない」という意味の「no knowing」や「don’t know」などを使うことができます。
knowの意味
他〔進行形不可〕〈事実・状況・情報などを〉知っている(解説的語義)
わかっている,気づいている;〈…ということを/…かを〉知っている≪that節/wh節≫;〔通例受身形で〕…が(…であると/…すると)わかっている≪to be/to do≫
『プログレッシブ英和中辞典』(小学館)より一部引用
「no knowing」と「don’t know」は、どちらも「わからない」という意味合いを持ちますが、「目処」の英語表現としては少し異なります。
「no knowing」は、「いつ完了するか目処が立たない」「どうなるか見当もつかない」といった状況を表す際に、その不確実性を強調する形で関連します。直接的な「目処」の言い換えというよりは、「目処がない」状態の説明として使えるでしょう。
「don’t know」は、単純に何かを知らない、理解していないという直接的な表現です。「don’t know」自体は単に情報がないことを示すため、「目処」が持つ「見込み」や「目安」といったニュアンスは薄めです。
【例文】
・There is no knowing when the economy will recover.(景気回復のめどが立たない)
・I still don’t know when I’ll be able to find a place to live a house.(住まいが見つかるめどはまだ立たない)
「目処」に関するよくある質問
最後に、「目処」という言葉に関するよくある質問に答えていきます。
Q1. 「目処が立ちましたら」の例文は?
「目処が立ちましたら」は物事が完了する見込みや、次の段階に進む準備が整った時点でお知らせする、という丁寧な表現です。ビジネスシーンをはじめ、様々な状況で使われます。
【例文】
・資料の準備の目処が立ちましたら、改めてご連絡いたします。
・修理の目処が立ちましたら、ご連絡差し上げます。
・詳細が確認でき、目処が立ちましたら、改めてご回答いたします。
Q2. 「目途」と「目処」、ビジネスに用いるならどちらが正しいですか?
現代のビジネスシーンにおいては「目処(めど)」と書くのが一般的です。文化庁が発表している「常用漢字表」にも「処」の字が採用されており、公用文や一般的なビジネス文書でも「目処」が用いられます。
したがって、ビジネス文書やメールなどで「めど」と表現する場合は、「目処」を使用するのが適切といえるでしょう。ちなみに、かつて「目途(もくと)」という読み方も存在しましたが、今はあまり使いません。
正しい使い方を理解して「目処」を使おう

- 「目途」は目標やおおよその到達点を指すが、ビジネスでは「目処」を使うのが一般的
- 「目処」の使い方としては、「目処が立つ」「目処が立たない」「目処がつく」など
- 「目処」の言い換え表現には「見込み」「目安」「見当」などがある
「目処」という言葉は、目標やおおよその到達点を指します。「目処」だけを用いることもありますが、「目処をつける」や「目処がつく」のように特定の動詞とセットで使うことが一般的です。
また、「目処」は「目途」と書くこともできます。どちらもほぼ同じ意味なので、特段使い分けを意識する必要はありません。正しい使い方を理解して、日常生活で「目処」という言葉を使っていきましょう。
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Domani編集部
Domaniは1997年に小学館から創刊された30代・40代キャリア女性に向けたファッション雑誌。タイトルはイタリア語で「明日」を意味し、同じくイタリア語で「今日」を表す姉妹誌『Oggi』とともに働く女性を応援するコンテンツを発信している。現在 Domaniはデジタルメディアに特化し、「働くママ」に向けた「明日」も楽しむライフスタイルをWEBサイトとSNSで展開。働く自分、家族と過ごす自分、その境目がないほどに忙しい毎日を送るワーキングマザーたちが、効率良くおしゃれも美容も仕事も楽しみ、子供との時間をハッピーに過ごすための多様な情報を、発信力のある個性豊かな人気ママモデルや読者モデル、ファッションのみならずライフスタイルやビジネス・デジタルスキルにも関心が高いエディターたちを通して発信中。https://domani.shogakukan.co.jp/
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