研鑽の意味とは?
上司や成功者のスピーチで「研鑽」という言葉を耳にしたことがあるでしょう。しかし、どんな意味なのか、よく分かっていない人が多いかもしれません。まずは言葉の意味を解説します。
知識や技術を極めるために自分を磨くこと
「研鑽(けんさん)」とは、自分の知識や技術を極めるために、自分を磨くことです。
もともと「研」という字には、とぐ・磨く以外に、物の道理を調べる・物の道理を極める・努力して向上する、という意味があり「研究」や「研修」に用いられています。
「鑽」は、きり・たがね・のみなど、穴を開ける工具を表すと同時に、物事を深く極める、という意味があります。
この2つの文字が合わさることで、「技術や能力を磨く」「物事を極めようと必死に取り組む」といった意味で使われるようになりました。
「研鑽」の英語表現
「研鑽」を一言で表す英単語はありません。一般的な翻訳では「study」と表現されることがありますが、これでは「研鑽」が持つニュアンスが伝わりにくくなります。より正確に伝えたい場合は、「diligent study」や「devote oneself to one’s studies」と表現するとよさそうです。
「diligent」には勤勉な・真面目なという意味があり、「devote」には専念する・費やす・捧げるという意味があります。そうすれば、単に「学ぶ」だけではなく「心も時間もかけて真剣に取り組む」というニュアンスが伝わるでしょう。
研鑽の使い方
「研鑽」の意味は分かったものの、どんなときに使えばふさわしいのか分かりにくいかもしれません。間違った使い方をして恥をかかないよう、「研鑽」の使い方を確認しましょう。
上を目指して努力を継続しているときに使う
「研鑽」は、技能の上達を目指して努力を継続しているときに使う言葉です。学問や技術のトレーニング、仕事など、自分自身が必死で取り組んでいることであれば対象は問いません。ただし、常に自分自身を見つめ、たとえ他人から見てハイレベルな状態にあっても油断せず、情熱を持って取り組んでいるときにこそふさわしい言葉です。
「研鑽」は短期間の努力に対してではなく、「自分の人生を捧げてもいい」と思うくらい大きな情熱を持っている状態の表現であるとともに、自分の未熟さを自覚しているという謙虚さを表す表現でもあります。
「研鑽」の間違った使い方
「研鑽」は、物事への熱心さや情熱を表しますが、同時に「より高いレベルを見据えている」ことも表しています。そのため、努力を始めたばかりの時期に使うと不自然に。もちろん始めたばかりであっても情熱を持って取り組む姿勢は大切なことです。しかし、最初に学ぶ基礎知識に取り組んでいる段階では「おこがましい」と受け取られてしまうでしょう。
また、「研鑽」には自主的なニュアンスが含まれています。職場などからの指示で研修に励んでいる場合も、「研鑽」は使わない方が無難です。
研鑽の類義語をチェック
「研鑽」は、ある程度高いレベルになってから使う方が好ましい言葉です。そこで、「研鑽」と同じような意味を持つ言葉を知り、上手に使い分けましょう。
心身を磨く「修練」
「修練」とは、学問や技能の向上のために、自分の心身・技術を磨き、厳しく鍛え上げることです。学問や技能のレベルが上がるだけでなく、精神を鍛えることで人間的な成長をすることも目的にしています。伝統的な技術や武道など、「精神性を大切にしているもの」に対して用いるとよいでしょう。
●剣術を極めるため、山に登って修練の日々を過ごした
●その集中力は、日頃の修練の賜物だ
●納得がいく作品ができないのは、まだまだ修練が足りないのだろう