大九明子監督の作品はキャラクターがみんな生き生きしているんです
──不器用すぎる花屋の青年という役柄ですが、とても爽やかで素敵でした。
ありがとうございます。でも仕事はあんまりできない感じなので大丈夫かなって(笑)。
──井之脇さんが演じていることもあって、不器用なところもチャーミングに見えました。この〝青年〟をご自身ではどのような人物だと捉えて演じましたか?
大九(明子)監督と相談しながらキャラクター作りをしていったのですが、最終的に“彼は一生懸命にお客さんのことを考えすぎてしまうからこそ不器用になってしまう人なんだ”と捉えて演じていました。
──2話までは、お花屋さんということ以外は明かされていないのでミステリアスな存在に感じました。 物語の舞台も丸々区三角町という架空の町ですし謎が多いドラマですよね。
僕が演じる青年は役名がなくて、各話のゲストも広瀬アリスさん演じる主人公のミキがあだ名をつけて呼ぶので役名がないんです。だからこそ、ふわっと演じてしまうと中身がない人に見えてしまうので、劇中では描かれていない役の背景を自分の中で考えながら演じるようにしていたんです。
──例えばどんな背景を考えたのですか?
台本には載っていないことなので僕の勝手な想像ですが、彼は親の愛を受けて育ったひとりっ子で、何かの事件をきっかけに家を飛び出して、花屋になる夢を叶えるために丸々区三角町にやってきたんじゃないかと。そういった背景を考えながら演じていました。あと名前も考えたのですが、それは胸の内にしまっておこうと思います(笑)。
──ドラマの後半では彼がどういう人なのか明かされていくのでしょうか?
青年の過去の失恋が少しだけ描かれるので楽しみにしていてください。
──大九監督の演出はいかがでしたか?
現場で起きたアクシデントをも楽しむ余裕があるというか、むしろちょっと役者の素が出てしまうぐらいのほうがおもしろいと考えているような印象でした。人間ドラマとシュールな笑いをバランスよく物語に落とし込んで作品作りをされているように感じたのは、僕自身も安心して作品の世界に飛び込めたような気がします。それに「こんな風に演じてみたい」という役者側の意見も積極的に受け入れてくださるので、のびのびと演じることができました。
──実際に色々なシーンでその提案が生かされているんですね。
提案は、事前に監督に相談してからやる時がほとんどですが、実は本番でいきなりやってみたこともあるんです(笑)。もちろん、その提案がダメな時はハッキリ「今のはダメ」と言ってくださるので、どうすれば作品がおもしろくなるかを考えながらいろいろ挑戦させてもらって。監督が器の大きい方だからこそ、作品のキャラクターがみんな生き生きしているんだなと今回実感しました。
──普段、現場ではどんなことを大事にしていますか?
僕の中で役者というのは、〝チームの中の俳優部という部に属している人〟という認識です。なので、監督や他の役者さんだけでなく、いろんな〝部〟のスタッフさんとコミュニケーションを取るようにしています。そのほうが情報交換できて有意義ですし、僕の出番ではない撮影の時でも〝今、現場にいたほうがいいかも〟という空気を感じ取れたりするので、「僕でよければなんでも使ってください」という気持ちでいるようにしています。