前人未踏(ぜんじんみとう)
「前人未踏」とは過去に誰も足を踏み入れたことがないことという意味の言葉です。「ぜんじんみとう」と読みます。登山や探検などで使われるだけでなく、誰もがやったことのないことに挑戦する場合にもよく使われる言葉といえるでしょう。
【例文】
・我が社と地方自治体とが共同で行っている今回の地方再生プロジェクトは新開発の技術を活用した【前人未踏】の取り組みなので、覚悟してのぞんでください。
・年間100本以上のコンサートを毎年やり続けていることは、実に素晴らしい【前人未踏】の記録だと思います。
ぜんじん‐みとう〔‐ミタフ|‐ミタウ〕【前人未踏/前人未到】
今までだれも足を踏み入れていないこと。また、だれもその境地に到達していないこと。「―の秘境」「―の記録」
(引用〈小学館 デジタル大辞泉〉より)
未曾有(みぞう)
「未曾有」とはいまだかつてなかったこと、非常に珍しいことという意味の言葉です。「みぞう」と読みます。良い意味で使うこともできますが、災害や不祥事などが起こったときに悪い意味で使われることのほうが多い言葉といえるでしょう。
【例文】
・日常的な消火設備の点検をないがしろにしていたことが、【未曾有】の大惨事をもたらしてしまいました。
・私の住んでいる選挙区の立候補者から一人だけでなく二人も選挙違反者が出るなんて、【未曾有】の事態です。
(引用〈小学館 デジタル大辞泉〉より)
空前絶後(くうぜんぜつご)
「空前絶後」とは過去にも例がなく、これからもほぼ起こりそうもない珍しいことという意味の言葉です。「くうぜんぜつご」と読みます。宣伝や広告の分野でよく使われる言葉といえるでしょう。あまり多用すると、言葉自体の説得力がなくなるため、注意が必要です。
【例文】
・当アミューズメントパークでは【空前絶後】のスケール感を備えたアトラクションをご用意しています。
・誰もが予想しえない意外な犯人と驚愕の結末。これは【空前絶後】のミステリー小説です。
(引用〈小学館 デジタル大辞泉〉より)
破天荒の対義語
「破天荒」の対義語は「踏襲」「準拠」「」などが挙げられます。それぞれの使い分けられるよう、意味と例文をご紹介します。
踏襲
踏襲は、「とうしゅう」と読みます。先人のやり方や考え方などをそのまま受け継ぐことを意味します。「破天荒」は前人のなしえなかったことを初めてすることを表す言葉ですから、「踏襲」は対義語と言えるでしょう。「踏」という字は「ふむ」と読むので、「ふしゅう」「ふうしゅう」「ふんしゅう」などと読み間違える人が多いため注意しましょう。
とう‐しゅう〔タフシフ|タウシフ〕【踏襲/×蹈襲】 の解説
[名](スル)前人のやり方などをそのまま受け継ぐこと。
(引用〈小学館 デジタル大辞泉〉より)
【例文】
・前社長の方針を【踏襲】する
・会社の伝統を【踏襲】し、新しいプロジェクトを進めていくつもりです。
準拠
準拠は、「じゅんきょ」と読みます。あるものを拠り所(よりどころ)としてそれに従うこと、もしくはそのよりどころを指す言葉です。「破天荒」はこれまでに誰もがやったことのなかったことを初めて行うことを表す言葉ですから、既存のものやルールに従う「準拠」は対義語と言えます。
じゅん‐きょ【準拠】 の解説
[名](スル)あるものをよりどころとしてそれに従うこと。また、そのよりどころ。
(引用〈小学館 デジタル大辞泉〉より)
【例文】
・史実に準拠した小説
・国際会計基準に準拠したソフトウェアを開発している。
平凡陳腐
平凡陳腐は「へいぼんちんぷ」と読みます。古臭くありふれており、面白みのないことを指す言葉で、今までだれもしなかったような事をする「破天荒」と対義語とも言えるでしょう。
へい‐ぼん【平凡】 の解説
[名・形動]これといったすぐれた特色もなく、ごくあたりまえなこと。また、そのさま。
(引用〈小学館 デジタル大辞泉〉より)
ちん‐ぷ【陳腐】 の解説
[名・形動]古くさいこと。ありふれていて、つまらないこと。また、そのさま。陳套 (ちんとう) 。
(引用〈小学館 デジタル大辞泉〉より)
【例文】
・平凡陳腐な作品
・こんな平凡陳腐なプロジェクトでは、成功が見込めない
まとめ
「破天荒」は誰もが成し得なかったことを達成することという意味で、中国の唐時代の逸話がもとになった故事成語です。
良い意味の言葉ですが、「大胆で型破り」「非常識」「枠の中に収まらない」など、誤った意味で覚えている人が多いので、注意が必要です。場合によっては、他の言葉に言い換えてみるといいでしょう。「破天荒」の意味を理解して、正しい使い方をしてください。
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