「一寸の虫にも五分の魂」を使う際の注意点
「一寸の虫にも五分の魂」を使う際には2つ注意点があります。1つ目は先述したように一寸の虫として表現している対象が自分かそうでないかによって、表現しているニュアンスが異なることです。もう1つ、一寸の虫として表現する相手に対して失礼になっていないかも注意しましょう。
相手のことを「小さな虫」としてたとえる表現のため、場合によっては失礼に当たります。目上の人に向かって「一寸の虫にも五分の魂」とたとえないようにすること、特定の弱い相手をかばったつもりでも、一寸の虫にたとえないように注意してください。
「一寸の虫」としてたとえる相手は、特定の人ではないほうが無難でしょう。
「一寸の虫にも五分の魂」の類語と対義語
「一寸の虫にも五分の魂」と言い換えられる類語と、反対の意味を持つ対義語は、以下のとおりです。
関連する言葉もあわせて覚えると、言葉の表現力を高められます。「一寸の虫にも五分の魂」の類語や対義語について、一緒にチェックしていきましょう。
「一寸の虫にも五分の魂」の類語
「一寸の虫にも五分の魂」の類語の例とその意味は以下のとおりです。
【山椒(さんしょう)は小粒(こつぶ)でもぴりりと辛(から)い】
からだは小さくても、気性や才能が鋭くすぐれていて、侮れないこと。
【痩(や)せ腕(うで)にも骨(ほね)】
痩せていて貧弱そうな腕でも骨があること。
なお、言い換えの際には自分が伝えたい内容と同じような意味の言葉を選ぶように注意しましょう。
「一寸の虫にも五分の魂」と反対の意味の言葉
「一寸の虫にも五分の魂」の対義語の例とその意味は以下のとおりです。
【弱肉強食(じゃくにくきょうしょく)】
弱者が強者の犠牲になること。それにより、強い者が繁栄すること。
【独活(うど)の大木(たいぼく)】
からだばかり大きくて、なにも役に立たない人のたとえ。
【大男(おおおとこ)総身(そうみ)に知恵が回りかね】
体は大きいが、知恵が回っていないとあざけること。
まとめ
「一寸の虫にも五分の魂」とは、小さくて弱いものや地位の低いものであっても意地や考えがあるため、侮ってはならないという意味の言葉です。「一寸の虫」とたとえる相手によって、忠告のためのメッセージになったり、強い相手に向かっていくために自らの意地を見せようと奮い立たせる意味になったりします。
しかし、「一寸の虫にも五分の魂」を使用する際には、弱い相手をかばっているつもりで失礼な言い方になっていないか注意が必要です。ほかの言葉に言い換えたい場合には、山椒は小粒でもぴりりと辛い・痩せ腕にも骨などの類語を使って表現しましょう。
言葉が持っている意味や語源、使い方、類語などをしっかりとチェックして、さまざまな言葉を正しく使えるようになりましょう。
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